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いちばんしんどい人をいちばん大切にする -THEATRE for ALLインタビューに寄せて-

スウィングにはモットー? ポリシー? 哲学? とにかくそういう感じのがいくつかありますが、そのひとつが「いちばんしんどい人をいちばん大切にする」です。

とはいえ「いちばんしんどい人」を数値化して相対的に判断したり、全員一致で決定するのは難しいし無理。あくまでそれぞれの主観ということになります。「ギリギリアウトを狙う」の「ギリギリ」も同じです。

絶対的な正解はなくとも「今いちばんしんどい人は誰かな?」といつも心の片隅で想像し、その人が少しでも気を楽に、安心して過ごせるよう、できる範囲で配慮したり工夫するのが大切。そしてそれぞれがそのような態度を持つことが、スウィングの自由や文化を健全に機能させ、保ち続けるために大きな要素だと考えています。

その場の自由を謳歌し、楽しい気分でいられる人を優先したり、そっちに目を奪われすぎると場は見る間に乱れます。

そして「いちばんしんどい人」の対象を、しんどさが比較的分かりやすく表れる利用者に限定せず、ついつい助ける側に立ちがちなスタッフを除外しないことも大切です。

利用者も(障害者も)スタッフも(健常者も)ただの社会的な枠組みにすぎません。

誰だってしんどくなる。しんどくなったらどんな立場であろうと助けてもらえる。

この視点や実感があってはじめて公平に助け合える環境や関係性が、文化として根づいてゆきます。

少しずつ、少しずつ。

「いちばんしんどい人をいちばん大切にする」という言葉をこれ見よがしに壁に貼り出したりしない理由は、それを当たり前にしたいという願いがいちばんなのですが、もうひとつは「いちばんしんどい人は私だ!論争(?)」が常に起こってしまいそうだからです。

「いちばんしんどい人」のポジション争いってなんだか面白くもありますが、そもそも「それが誰か」を確定することが目的ではありませんし、いちばんしんどい人を一方的に助けてもらう人にしてしまうのも、とっても失礼な話。

あくまで助け合うという公平性を探り続けるためには安易に役割を固定化しないことも大事なポイントです。

さて、先日「THEATRE for ALL」の武者圭さんにインタビューをしていただきました。


★THEATRE for ALLとは

だれでも、いつでも、どこからでも。

ひとりひとりが繋がれる “劇場”。

劇場体験に、アクセシビリティを。それが『THEATRE for ALL』のミッションです。

子どもから大人、そして、お年寄り。聴こえない人、見えない人、車椅子で移動する人。使う言葉が異なる人、育児・介護をしている人、海の向こうで暮らしている人。

環境や身体のちがいから劇場を訪れなかった人が、別の方法で“劇場”にアクセスできるようになれば、ひとりひとりの日常もひとつひとつの作品も、もっとおもしろくなるはず。『THEATRE for ALL』はそんな思いから生まれた、アクセシビリティに特化したオンライン劇場です。

<THEATRE for ALL WEBサイトより>


★THEATRE for ALL WEBサイト https://theatreforall.net/

★twitter https://twitter.com/THEATRE_for_ALL

★facebook https://www.facebook.com/THEATREforALLproject

★instagram https://www.instagram.com/theatre_for_all


本当に共感します。素晴らしい試みだと思います。

これまであらゆる劇場は、社会的マジョリティに合わせて作られ、運営されてきました。

でも、それっておかしいんじゃないだろうか?? と疑問を持ちはじめた人たちが様々なアクションを起こしはじめています。

が、マジョリティの側から「素晴らしい試みだと思います」なんて言ってしまう自分を死ぬほど恥じなければいけません。

こういう口の聞き方をするバカが、いい顔をしながらマジョリティという立場を、くだらない分断を強化し更新し続けてきたのですから。

ともあれTHEATRE for ALLという試みは、スウィングの在り方や「いちばんしんどい人をいちばん大切にする」という考え方と近いものがあると感じます。だからこそインタビューをしてくださったんだろうと思います。

社会への違和感、ギリギリアウト、自由について等丁寧に聴いていただきました。

ありがとうございました。是非ご一読ください。


★100の回路#28 「生き方は、ひとつじゃないぜ。」NPOスウィング代表の木ノ戸昌幸さん

<アメブロ> https://ameblo.jp/theatre-for-all/entry-12713267284.html

※ 同じ内容の記事が2つのWEBメディアで紹介されています。

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