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短期集中主観的看護師ルポタージュ

そういえばこの病院のナース服は白でも薄いピンクでもない。

いつしかだんだん白ではなくなってきて、最近は薄いピンクやブルーが多いなあとボンヤリ感じてきたがそのどれでもない。
が、何の違和感もなく(当たり前だが)看護師は変わらず看護師だ。イメージとして固定化された色やデザインにさしたる意味がないことを再確認する。

一方でこの病棟のスタッフは看護師含め(医師以外)全員女性。昨日からお世話になっている別の階のリハビリ室は8割方男性スタッフ。職業における性差をはっきりと感じる。良い悪いは分からないけれど。

看護師はとにかくとても忙しそうだ。実際次から次にやることがあり(あるように見え)、頻繁に患者も入れ替わる。しかもゴールデンウィーク前の今はいわば「手術の繁忙期」らしく、ストレッチャーに乗せられて手術室に向かうとき、同じ目線で数台のストレッチャーとすれ違ったのには驚いた。

いやいやこの状況で思いやりとか丁寧さとか会話とか、ほんと難しいだろうなと感じる。そう考えると随分と良くしてもらっている。差し入れの袋に毎度謎のヒモをくくりつけたり、それ要るのかな? と思う仕事も散見されるが……。

担当看護師は毎日変わるので名前を覚えることさえ難しい。けれど人がコロコロ変わるのもそれはそれで面白い。
やっぱりベテランは安定感が違うとか若手は頼りないとか、いやベテランは慣れてるから手荒だとか若手は遅いが丁寧だとか、いや別にそうでもないな、結局合う合わないだなとか、ついつい無意味な値踏みのようなことをしてしまう。

が、動かぬベッドという定点からしか見えないものはきっとある。

テキパキとしてキレもよくとても親切だが、患者を子ども扱いする「ああ、なんか知ってる。。。」と既視感溢れる人たちには苦笑する。「ちょっとおかしいと思いますよ」「そうだよね~つらいよね~。でももう少し頑張れは必ず良くなるから!」こんな感じになりそうだ。

ひとり、「この詩いいですね」とテレビ画面に立てかけたQの詩を眺め、腰をかがめてベッド脇に飾ったゴミブルー娘(ゴミブルー仲間)からの手紙を興味深そうに読む人がいた。最初うわあ苦手かなあと感じた人だっただけに尚更嬉しかった。相変わらず先入観という病気がひどい。 

僕が看護師ならどんなナース服を着たいだろうか。入院生活にもってこいのヒョウ柄のワイドパンツ(足をケガするとガバッと裾からまくれるパンツが必須)を「いいですね、私も欲しい!」とさっき採血をしてくれた看護師に誉められたので総ヒョウ柄なんてどうだろう。

それくらい規定値をぶっ壊して「正しさ」を脱却したほうが明るく気持ちよく、のびのびと動けそうな気がする。

幸い経過は良好。
当初予定どおりヒョウ柄で明日退院する。

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