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本気の言葉はどこに消えるのだろう

※ この記事は『不適切にもほどがある 』第4話のネタバレになっている可能性があります。気になる方はブラウザバックを推奨いたします。



ウィーンに行く直前に見始めた『不適切にもほどがある 』を、帰国してから昨日(3/14)-今日(3/15)で一気見した。

端的に言うと、昭和のおじさん小川市郎(阿部サダヲ)が、ひょんなことから1986年から2024年にタイムスリップしてしまうお話。

未来へ行くタイムマシンがバスで、過去へ帰るとなぜか行きつけの喫茶店のトイレなことも、
コンプラ重視の令和の世の中で、小川が昭和の価値観で不適切発言を連発して、それによって生じる議論が毎回ミュージカルなことも、タイムパラドックスについての設定も、新鮮でおもしろく、毎回なにかしらの気づきを得ている。

interesting, funny, fun, 全てが揃っている。とにかく次から次へと展開が用意されていて、しんみりと爆笑のバランスもよく、テンポがいい。高校以降、ここ数年の連ドラは正直、1クールに1〜2本見たらいい方になっていたけれど、今クールは『新空港占拠』『おっさんずらぶ』に加え、『不適切にもほどがある』にも楽しませてもらえて嬉しい。企画・設定・脚本の力でここまでいいものを作れるんだって思わされる。

(まだ見てない方は、Netflixで全話見られるのでぜひ見てください!名作です。)


このドラマの中で、こんなセリフに出会った。


大丈夫、SNSは本気で向き合う場所じゃない

第4話 既読スルーしちゃダメですか?


この言葉に多くの人が救われたのだと思う。実際「救われた」側の投稿もTwitterやnoteで、たくさん拝見した。


だけど、ふと思ってしまった。


じゃあ、私たちの「本気」ってどこに行くの?


わかっている。ドラマでは、LINEの既読スルーやスタンプ、リアクションによる「返信」、その後の経過について聞かれているのに上司を差し置いて回答するのもどうかと考えた若手社員による「承知しました」しか返さない事例、誰かの誕生日をSNS(インスタの投稿やLINEグループのメッセージ上)で祝う=「祝ってあげている優しい私アピール」であることについて取り上げられており、その流れでこの発言に至っていたことは。「本気ではない」という言葉は、字面から受ける印象よりかは、「間に受けないで」「気にしすぎないで」「もっと軽く考えて」「自己満の世界だから」というニュアンスであったことは。

SNSという場所がそういう場所であるという考え方も、私自身、理解できるし共感できる、納得できる。実際、その後の回で、不倫を”世間”は一生許さないという話や、SNSの誹謗中傷、エゴサといったトピックについても触れられていて、そういう人たちにとってはSNSとはまさに、「本気」ではない世界なのかもしれない。


そして、第4話では「本気」の向かう先の1つとして「本当に(相手の誕生日を)祝う気持ちがあるのなら、SNSでみんなが見るようなところに書き込んでアピールするのではなく、個人でプレゼントを贈るものだ」と登場人物の1人が言っていた。


だけど。


自分が文字で、言葉で送ったメッセージに、スタンプだけで返されることに”軽んじられている”と感じる気持ちも、自分が親身になって相談に応じたことに対する後日談・報告・お礼がないと虚しくなる気持ちもわかる。「本気」のプレゼントでのお祝いでなく、アピールだったとしてもSNSで伝えられる「おめでとう」だって十分に嬉しかったりもする。


それに、なにより、SNSだからこそ「ほんとうのこと」「本音」「本気」を、伝えられることだってあるのだと思う。



真面目がバカにされ、重い話・真剣な話が敬遠されがちで、考えられることが損に繋がることがあるこの世の中で、自分の考えや想いを「飲み込む」ことは多い。伝えられる人には伝えるけれど負担になっていないか気になったり、伝えたあとでやっぱり後悔したりといったこともある。

だけど、大学に入ってnoteをはじめて、自分の考えや想いをここに綴るようになって、やっと軽くなった気がする。飲み込んだ「本気の言葉」を吐き出せる場所があって、吐き出したものを聴いてくれる人が、この世界のどこかにいると思えたら、現実で飲み込むことが平気になったし、軽くゆるい返しをすることも、あえて素のままで返事をすることもできるようになった。


それはSNS(note)が私にとって本気で向き合う場所でもあるから。だから、SNSは本気で向き合う場所じゃない、と言われるとやっぱり少し、虚しい。


現実だってほんとうのことだけど、
SNS でのことだってほんとうのことだから。








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