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2月短歌

縦笛の優しい音色のアレンジでAdoの強めの曲流れてくる

バイトくんって彼女はいるの? えー、ウソ!と盛り上がりを見せていくおばちゃん

海苔で巻き食う行為には特別な幸せ感じる効用がある

あの人は鬼だといわれる人が飲む鬼ころし二本 そんなつもりじゃ

「鬼!悪魔!人間!」とうとう人間も鬼らを意味する悪口となる

日本中の追い出されてきた鬼たちを優しく迎える居酒屋がある

俺の死にたいを勝手に晴天の青に中和しようとすんなよ

手書きだと思いが伝わるらしいから遺書を葉書に赤ペンで書く

生活が最も満たされてる瞬間 朝9時 起床 ペペロンチーノ

あの日々にありがとうと言えるくらい大人になったね わたしも、あなたも

ありがとう、ありがとうねと繰り返す隘路を多く生きてきた祖母

雪だるま作れるかなあ 寒波にも負けずときめく南国の子ら

死にたいじゃなくてただただくたびれた ただこの苦痛を降りたいだけで

痛みなくこのはさみにて動脈を断つ技がほしい自分に試す

ゆるふわな人だと思っているだろう? 怒っていると思ってないだろ?

勘違いするなよ頭を下げるのはお前に対する「殺すぞ」の比喩

ぐちゃぐちゃと御託を並べて仕事せぬあいつの給料俺の何倍?

夕焼け小焼けの赤色 平和だね 何で染まっているかも知らずに

なぜ他の男とそんなところから出てきたのかを問い詰めてみる

「まが差した」とすきだった君が言ったからお望み通りすまきにしてやる

新緑が焼き畑の下から芽吹くように燃えつきた俺もいつの日か立つ

夕焼けを背にして足元から伸びる陰は燃えつきた自分の残滓

筋トレをさせたいのかな?唐突に画面に出てくる横川尚隆

秒速5センチで動く点Pをわざわざ追いかけていく弟

温かい誰かの胸の中で泣きながら溺れて溶けてゆきたい

安いパスタ安いソース安い酒 犬用の肉、美味そうに見え

だんだんと広がっていく感情の延焼によって焼き尽くされる

あの高さから降ってくる慈雨のようなあなたの声もう一度聞きたい

ギザギザの部分が合わず捻れ切れたあなたが刺さったままの鍵穴

ごほうびに食べるラーメン寿司牛丼大好きなものも時に苦痛で

屋根もない無人駅にも人がいて無人駅へと運ばれてゆく

俺のターン! この場から俺を除外して あとは勝手にしといてください

別れ際せめて良い人になろうとするズルい奴を殴って離職

そうやって今日を生き抜きそうやって明日を拒むまた夜が来る

君と見る月を「綺麗だ」なんてもう下手に言えないよ 意味、わかるでしょう?

俺たちの予報では俺が真っ先に結婚してそうだったんだけどな

予報では悲しみに暮れる涙さえ隠してくれる桜雨が降る

私から集めた花粉で作られた蜂蜜は濁り味は渋くなる

もし蜂が私から蜜を集めたら巣には眠れぬ夜が来るでしょう

金魚でも金でできていないように社でも会でもない人の俺

ふるさとはとほしと言へど帰りてむ我待つ人ぞここにをらんや

「ありがとう」「ごめんなさい」「愛してるよ」とあえて言うほど愛してるよ、君

あえて言うだけの力は出せなくて私は部屋の隅のサボテン

もう全部どうでもいいやと思うのに「死」は変換して検索している

誰もいない山道を行く ハイビーム下げる車に感じる人情

誰もいない山道を行くごくまれにハイビーム下げてくれる車

ライスオンザエッグオンザビーフオンザベーコン最も幸せな密度

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