見出し画像

【感想50】ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー

 『ヴィレッジ』を見た時ちょうど同じフロアで吹き替え版の上映があったらしく、去年の秋ごろにシネマシティに『ファンタジア』を見に行った時、半券確認で入り口前に長蛇の列が出来ていたのを思い出すぐらい入場口前で人が並んでるのを見た。
人気過ぎてビビったけれど、字幕版選んだおかげでそこそこピンで見に来ているもの好きは自分以外にいたのが助かった。家族連れメインの客層映画は一番肩身狭くなるので。

 見終わった後に久々に「怖ェ~~~~~~」て思いながら退館した。

 マリオシリーズの小ネタ祭りになっているのにキャラクターはしっかり取捨選択されていて、話や場面に合わないようなキャラはカメオレベルでも出てこない。
次作も次々作も作るネタの余力を残して90点ぐらいの傑作をお出しされる、隙がないエンタメ映画を提供されるのでエンドロールで時間が過ぎれば過ぎるほどこれヤバいな・・・ていうのを理解していく。


 ストーリーは「会社から独立したばかりのマリオとルイージが家族からキャリアパスの理解を得づらい中、あるきっかけでキノコ王国やクッパ城のある、所謂みんなの知っているマリオの世界に迷い込む。道中はぐれたルイージがクッパに捕まったのを知ったマリオがピーチと協力してクッパを倒しに行く」というのが大筋。
根本のお話自体は王道中の王道なんだけれど、味付けされているのがマリオシリーズのオマージュなのでそこで大量に加点される映画になってくる。

 例えばカートに乗ってレインボーロードを移動する前の準備でドックに入って自分のマシンを作ろう、てシーンの時に流れる音楽が『マリオカート』シリーズのメニュー画面で流れるアレ。
ピーチ城が引きで写されるときには64でのBGMアレンジが流れていたりと、細かいところでゲーム内BGMのアレンジが多用されている。

 音楽以外でもクッパの衣装が『マリオオデッセイ』ラスボスとしてクッパが着ているタキシードで登場したり、マメキノコや青トゲ甲羅が出てきたりと何かゲームさえ触れていればすぐ気づく小ネタが毎秒登場する。
しかもその小ネタ自体はこの映画だけでも全然消化しきれていないので、いくらでもこんな感じの作れますよ、という余力をビシビシと感じてしまう。

 ただ根本のノリや話は良くも悪くも古臭いので終盤はだいぶ勢いに乗ってくれることに任せた大味展開だったり、マリオ題材だしみんな知ってるでしょ、という圧はより強い(何なら知らないわけないッショwレベルの説明のなさ)のでほとんどマリオをやったことないかつ細かい物語の齟齬が気になる人が楽しめるかは微妙。


 より詳しい人の考察を読んで初めて気づく要素、ていうのがエヴァやMCUシリーズでは多くの人がやっているけれど、この映画ではゲームをよくやる人ならだれでも「より詳しい人」の視聴体験ができるので『トップガン マーベリック』以上に王道かつ純粋に面白い映画として太鼓判を押せる。
国内産ならこういう感じには仕上がらなかっただろうなあ。ていう寂しさはあるけれど、これぐらい満足できるもの出されたら野暮なことは言う必要ないなと。そう思えるぐらいには満足度高い90分間だった。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?