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アメリカンスナイパーの考察

前書き


この映画はイラク戦争をとりあげている事も在り。
観る人によって様々な角度からの解釈が考えられる。
今回は序盤の方を中心にシーンの構成の意味を
自分なりに解釈してみようと思う。


クリス・カイルの因縁


米国海兵隊SEALsのクリスはスナイパー華々しい業績をあげる。
しかし彼の初仕事は、戦車榴弾砲をもった親子を狙撃する事に、
一体どうしてこのようなことになってしまったのか…
その因縁は彼の子供時代まで遡る。

クリスの宿命
子供時代の彼にとって印象に深く残ったことは
厳格な父親が教えてくれた

・ライフルを地面に置いてはいけない事

・狼(悪)から羊を守る番犬である事

である。

生涯、銃を扱う職務を全うし、
スナイパーとして部隊を見守る等の彼の役目を
暗示しているように思える。

そしてもう一つ彼にとって印象深かった事は
教会で神父が語っていた使徒行元録のパウロについての言及

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使徒言行録で

パウロは何度も信じる者のため

裁きを受ける

我々もそうだ

神の目で見ないと

神の御意志がわからない

人生が鏡に映る

おぼろげな影に思える

最後の審判の時

神の御意志を理解する

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クリスはパウロ(伝道師)としての役目をここで監督に示唆される。

後にギャンブルが止められず、神父になれなかった兵士に出会うが
それは、彼(彼ら兵士)が神の目(聖書を基にした視点)を
持つことが出来なかった事を暗示している様に思える。
またクリスも熱心に聖書を読まなかったようだ。

・パウロは何度も信じる者のため裁きを受ける
 SEALsや父親、PTSD障碍者として過酷な試練を受ける。

・人生が鏡に映るおぼろげな影に思える
 彼が苦しんだPTSDの経験を通して戦争で壊れてく
 退役軍人達の体と心を癒す役目を負うことの暗示。

・最後の審判の時神の御意志を理解する
 死んだ後、自らの一生の意味を理解する。

パウロの生涯 
wikipedeia「パウロ」抜粋


パウロはキリスト教徒を迫害する側についており
ステファノ(キリスト教徒)を殺すことにも賛同していた。

サウロ(パウロ)の回心
ダマスコ(シリアの首都)の途上にて
「サウロ、サウロ、なぜ私を迫害するのか」と天から光と共に
キリストの声を聴いた。
その後、目が見えなくなった。アナニアというキリスト教徒が
神のお告げによってパウロのために祈ると
パウロの目から鱗のようなものが落ちて、目が見えるようになった。
こうしてパウロはキリスト教徒になった。
これをサウロの回心という。

*サウローユダヤ名(ヘブライ語) パウローギリシア語「パウロス」

回心後の伝道活動
その後、かつてさんざん迫害していた使徒たちに受け入れられるまでに、
ユダヤ人たちから何度も激しく拒絶され命を狙われたが、
やがてアンティオキアを拠点として小アジア、マケドニアなどローマ帝国領内へ赴き、
会堂(シナゴーグ)を拠点にしながらバルナバやテモテ、
マルコといった弟子や協力者と共に布教活動を行った。
復活の奇跡を行った事もある。特に異邦人に伝道したことが重要である。
『使徒行伝』によれば3回の伝道旅行を行ったのち、
エルサレムで捕縛され、裁判のためローマに送られた。
伝承によれば皇帝ネロのとき60年代後半にローマで殉教したとされる。

パウロになぞらえた映画のストーリー


おおまかに上で開設した記事のパウロの生涯になぞらえて映画の解釈すると
多少故事付がましく聞こえるかもしれませんがこうなります。

「サウロ、サウロ、なぜ私を迫害するのか」というキリストの声ー
劇中のアメリカ大使館爆破テロを観てSEALsに入隊する主人公、
つまり人の世が乱れる原因の究明に着手を始めたという意味でなぞらえ。

目が見えなくなるー記録的なスナイピング(奇跡)の後に出会う砂嵐

目から鱗が落ちるー戦場を去り、故郷に帰ることを誓う。

復活の奇跡ー戦場で救った兵士と故郷で再開する。

皇帝ネロの代での殉教ークリスの最後、兵士に銃殺される。


最後の審判の時、彼は何を思ったのか


クリスは彼が救おうとした元兵士に銃殺されます。
牧師が述べた「最後の審判の時、神の御意志を理解する」の
言葉どうりであれば彼は最後に何を理解したのか…
それについて直接、言及されてはいません。

それは、キリスト教で云われる律法(この場合は戦争の仕組み等)と
神の意志(人の心の仕組み)の対立の事なのか
はたまた人間が関わるカルマについて述べたものなのか
それとも、もっと他の事について述べたものなのか

それはクリスの目線で物語を観た観客に判断を委ねる形で
映画を終えているように思えます。

この記事が何か気付きの切っ掛けになれば幸いです。

ではまた。


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