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雇用保険ってなんだっけ?

本日は社会保険の一つ、「雇用保険制度」全般について綴っていきます。いつも通り給付の詳しい中身は別記事で、保育士試験に出題される範囲は太字で記載します。

◆そもそも雇用保険って?

雇用保険とは「働く人のための保険」です。そのまんま!
ではこの雇用保険は誰が誰の為にどこで提供するかというとコチラ。

保険者=日本政府
加入者=事業主(企業)
被保険者=雇用されている従業員
根拠法=雇用保険法
窓口=加入者の所在する地域の公共職業安定所(ハローワーク)

労働者が一人でも雇用されているなら、原則としてその業種や事業規模を問わず全て適用事業となり雇用保険に強制加入となります。(農林水産事業等例外はあります)それだけ働く人を守るというのは大事だよという事です。

雇用保険は正社員で働く会社員だけでなく、パートやアルバイトも加入できます。ただし、働く人全てが雇用保険の加入対象者ではないというのがポイント。

◆雇用保険の被保険者って?

雇用保険の加入条件は二つです。

①1週間の所定労働時間が20時間以上
②同一の事業所に継続して31日以上雇用される見込みである事

1週間の所定労働時間とは企業が就業規則や雇用契約書などに基づいて定めた労働時間の事を指します。「就業規則?何それ知らん…」の方はオフィスに置いてあるはず。(社員が10人以上の会社は就業規則の作成義務が労働基準法で定められています)会社のルールブックである就業規則は労働者がいつでも確認できるようにしておくべきものです。ぜひ一度ご覧になって下さいね!
話が逸れましたがこの条件に外れる方は被保険者にはなれません。(「適用除外」と言います)また、昼間学生(昼は通学、夜はバイトなど)・個人事業主と同居する親族・季節的に雇用される人で4ヶ月以内の期間を定めて雇用される人なども原則として適用除外となります。詳しくは雇用保険法第6条に記載があります。

被保険者は4つの種類に分けて区別されます。

①一般被保険者:②~④以外の人
②高年齢被保険者:65歳以上の人
③短期雇用特例被保険者:4ヶ月以内の期間を定めて雇用されず1週間の所定労働時間が30時間未満の人(短期バイトで働く人など)
④日雇労働被保険者:日々雇用される人、30日以内の期間を定めて雇用される人

※②の高年齢被保険者に対しては2022年1月に雇用保険法が改正され、特例として要件を満たした場合に65歳以上の方の加入条件範囲が広がります。保育士試験にはそこまで絶対出ませんので割愛します。私も勉強不足なので…(小声)

事業主は雇用保険の加入条件に適用する従業員に対してはその手続きをする義務があります。
社会福祉でおなじみ、義務か努力義務かですね。もう一度書きます。雇用保険の加入条件に適用する従業員に対して、事業主はその手続きをする義務があります。
先ほど書いた通り窓口はハローワークです。ハローワークには求職者用ブースの他に事業主向けのブースがあり、ぺろよしみたいな労務担当者はそちらで雇用保険全般の申請手続きをしています。健康保険とは違ってe-Govなど国の提供するシステムやAPIソフト(スマート○事とか)を使って電子申請も出来ます。e-GOVは超使いにくい&APIソフト導入はコストがかかると会社に却下された為、ぺろよしは定期的にハローワークに行っています。アナログですがなんだかんだで窓口のがその場で手続きしてくれて早いんですよね。特に4月は加入手続きと年度末の退職者処理で労務担当者もハロワも大忙しです。

◆雇用保険に入ってるとどうなるの?

次に雇用保険に入るとどんな給付が受けられるのか見てみましょう。
雇用保険というと「失業手当」のイメージが強いのですが、それだけではありません。
雇用保険は①「失業等給付」②「雇用保険二事業」の二つに分けられています。

①失業等給付

雇用保険法第1条
雇用保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合及び労働者が子を養育するための休業をした場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。
出典:e-Gov法令検索(https://www.e-gov.go.jp/)

長い文章です。でも法律の目的ってとても大事。
失業等給付は以下4つに分類されます。

①求職者給付:失業中の生活を安定する
②就職促進給付:早期再就職の支援
③教育訓練給付:資格取得等のスキルアップ費用支援
④雇用継続給付:高齢者の就業促進・介護で休業する時の保障

①の求職者給付には基本手当・傷病手当・寄宿手当・技能習得手当があります。基本手当=失業手当と言えばわかりやすいでしょうか?また、傷病手当とは、ハローワークで求職手続き後働けなくなった場合に基本手当の代わりに支給される手当です。健康保険の傷病手当金とはまた別物ですのでご注意を。
②の就職促進給付には再就職手当・就業促進定着手当・就業手当・常用就職支度手当があります。一定の条件を満たした場合に基本手当の給付残に応じて支給されるお祝い金システムになります。
③の教育訓練給付は厚生労働大臣が指定する教育訓練の受講費用の一部を負担してもらえます。それぞれ専門・特定・一般とあり、レベルに応じて負担額が変わります。こちらは現在絶賛労働中の方も適用となり、我らが保育士資格もこの制度を利用する事が出来ます。スキルアップを目指す方は、ぜひ調べてみて下さいね。
④の雇用継続給付は高年齢雇用継続給付・高年齢再就職給付金・介護休業給付金などがあります。高齢や介護で働けなくなった際に給付されます。ここで「介護だけ?育児は?」と思われた方はナイスです!育児休業給付金は2020年より雇用継続給付から独立した給付金制度となりました。つい最近の事ですね。

②雇用保険二事業

雇用保険法第3条
雇用保険は、第一条の目的を達成するため、失業等給付及び育児休業給付を行うほか、雇用安定事業及び能力開発事業を行うことができる。

①の失業等給付が特定の労働者を対象としたものに対して、「雇用保険二事業」とは事業主や労働者全体を対象としたものになります。雇用保険法第1条の後半部分と第3条がこれに当てはまります。
雇用安定事業(失業の予防・雇用機会の増進)・能力開発事業(労働者の能力向上など)を実施するという部分を知っておきましょう。

◆雇用保険のお金って…

雇用保険も社会保険の一つですので保険料が発生します。給与明細を実際に見てみると健康保険料や厚生年金と比べると安くなっております。
雇用保険料の内、失業等給付は事業主と労働者で負担しますが、事業主の方が負担割合は大きいです。雇用保険二事業は事業主負担となります。
総支給額×雇用保険料率=雇用保険料ですが、この保険料率は年度ごとに変わります。健康保険料や厚生年金と比べると負担は少ないのですが、つい先日に雇用保険料率の引き上げが決定してしまいました…。コロナの影響により現行の0.9%から2022年4月には0.95%、10月にはさらに1.35%へ引き上げられるそうです。Oh…。

雇用保険も色々ありますね。失業した時のための保障という意味合いが強くありますが、私たちの雇用環境を守るために、実は広い目的を持っているんだなーとこの記事を書いて改めて実感しました。労務の部分でも雇用保険は加入と資格喪失(退職処理)がメインになってきます。私は幸いながらまだ退職したことがないので失業手当をもらうには具体的にどうすればよいのかもよく知らず…。退職した暁にはレポできるように頑張ります。今回もご覧下さりありがとうございました。

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