sycamore_aoi

自分勝手に書いてます。

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最近の記事

映画『アイヌモシリ』感想

 ※HPに出ている情報以上のネタバレは無し。 北米のNetflixで、11月16日に配信が終了してしまう映画、『アイヌモシリ』を見た。 YouTubeで検索するとすぐ英語字幕付きの予告編がヒットする本作は、広く世界に向けて現代アイヌを語る映画だと感じた。 冷え込む季節に見る映画を探している人、ゴールデンカムイでアイヌやイオマンテに興味を持った人、アイヌの民芸品や文化、音楽、言語に興味のある人、北海道阿寒湖の景色や空気感を味わいその日常を垣間見たい人、出自や歴史とアイデン

    • 『戦場のヴァルキュリア』一周目プレイ後感想

      『戦場のヴァルキュリア』(無印)のSwitch移植版をクリアした。 一周目クリアまでのプレイ時間は41時間26分。 クリア後要素など残すところも色々とあるけれど、一周目を完走し切っての感想を書き留めておこうと思う。 ゲームをなかなか最後までクリアしきれない私(ポケモンスカーレットもFE風花雪月もずっと前に買ったのに未クリア…)が珍しく、久々に長編ゲームをクリアできた。 新しくプレイするゲームを探していたり、戦ヴァルちょっと気になってるという方へもぜひおすすめしたい気持ちを

      • ただ「正しい側」に居たかっただけの話

        日々の習慣。 継続100日を超えたポケモンスリープのリサーチを進めて寝ぼけ眼を光に慣らす。 水分補給やトイレから、昨日洗って乾いた食器の片付け、朝食の支度や片付けを、普段周回している3、4つのゲームアプリを回りながらこなす。 その休憩や手の空いたタイミングで、ふと、SNSを開く。 そのまま最初の画面をスクロール。アルゴリズムに「おすすめ」としてまとめられたタイムラインや、10年以上前に引っ越した地域の人々がストーリーで共有する日常やニュースの断片を。 タップ、ロール、ス

        • 『正欲』感想—思ったよりもずっと、気持ちの良い話だった

          朝井リョウの作家生活10周年記念作品、『正欲』。 性欲をもじった「正しい欲」と題された本について知ったのは、インスタのストーリーだった。 大学生の頃、同じ学部である発表に居合わせたということ以外ほとんど繋がりのない先輩。知り合いと呼べるかも微妙なほどの関係のその人は、ストーリーにたびたび本を載せる。 「気持ちの良い話じゃないし、気軽におすすめできる本じゃないけど、凄かった」といった趣旨の感想が載っていた気がする。 表面上でしか知らないその人の表面は、ビール好きで彼女持ち、

        映画『アイヌモシリ』感想

          Netflixドラマ『YOU ー君がすべてー』シーズン1-4感想

          最終シーズンとなる第5シーズンが2024年に配信予定であると発表されているネットフリックスオリジナルドラマ作品、『YOU ー君がすべてー』。 やっと、本当にやっとの思いでシーズン4まで見終えた感想を記す。 ※微バレ含む。 細かい出来事には触れませんが、ハッピーエンドかバッドエンドか、及び各シーズンの舞台や登場人物などあらすじ程度のネタバレを含みます。気にしない人向け。 シーズンがまだ1か2しか出ていなかった頃におすすめに出てきてネットフリックスの仕様で勝手に再生される予

          Netflixドラマ『YOU ー君がすべてー』シーズン1-4感想

          6分で泣いた、『あの頃をもう一度』

          ディズニープラスで配信中のショートアニメーション、『あの頃をもう一度』。 たった一曲分程度の短さなのだけど、リズムにのって楽しくなって、切なくなって、涙が流れて笑顔になれる最高のショートアニメーション。 予告編はYouTubeで公開中。 原題は“Us Again”。 Usとは「私たち」のこと。この物語では夫婦である二人のことを示す。 6分なので話の概説のみでほとんどのストーリーをカバーしてしまうけれど、年老いた夫婦が不思議な天気雨に濡れてる間だけ若い頃の体を取り戻すと

          6分で泣いた、『あの頃をもう一度』

          『マイ・エレメント』のエンバーとウェイドが尊すぎた

          ディズニープラスでの配信も開始された『マイ・エレメント』。 韓国系移民の子として育った監督が自身の体験もふんだんに取り入れてるとのことで、 『私ときどきレッサーパンダ』が素晴らしかったのもありアジアンアメリカン的な背景も含めて楽しみにしていた作品。 備忘録として、視聴直後のフレッシュな好きの感情を鮮度優先でぶちまけていきたい。 移民としての経験や現実社会と鏡にして見てももちろん素晴らしい映画なのだが、予想以上にキャラに引き込まれてしまった。 火の移民はほとんどいないよ

          『マイ・エレメント』のエンバーとウェイドが尊すぎた

          タッパーを使いたくなるバディ映画、『僕と幽霊が家族になった件』

          ※ネタバレ無し Netflixで配信中の台湾映画、 英題“MARRY MY DEAD BODY“こと 邦題『僕と幽霊が家族になった件』がめっちゃよかった。 原題は「關於我和鬼變成家人的那件事」で、邦題の方が原題そのままに訳されている。 ぶっきらぼうでつっけんどん、少年のような正義感と傲慢さを見せる警察官のミンハンが、 ひょんなところからゲイの幽霊と“冥婚”するハメになり、 なんやかんやと言いながら事件解決のため協力し合うというバディもの。 日本語字幕付きの映画予告はこち

          タッパーを使いたくなるバディ映画、『僕と幽霊が家族になった件』

          『コーヒートーク』とかいう神ゲー

          『コーヒートーク』をクリアした。 1週目をクリアした瞬間えええええ!??と思わず声をあげ、2週目クリア後はうおお……とこれまた声をあげ。 (以下ネタバレ無し、少しでも興味のわいたあなたにコーヒートークをプレイしてもらいたいだけの紹介・感想を記す。) 魅力的なキャラの会話をバリスタになって楽しむゲーム、には違いないのだが、それ以上すぎてとりあえずみんな無料体験版をダウンロードしてほしい。 デモ版でも素敵な音楽や寝る前のひと時に癒されに行くカフェのような雰囲気は味わえるのだけ

          『コーヒートーク』とかいう神ゲー

          『バービー』考察:「アレン」という個人≒マイノリティ

          タイトル通り、映画『バービー』はマーゴット・ロビー演じる「典型的なバービー人形」を主軸に据えた物語だ。 現実世界の女性に夢と希望を与え、女性差別を無くして世直しに成功したと信じるバービーと、バービー人形のアクセサリーであるケン。 しかし、様々な職業やルックスで多種多様に展開されているバービーやケンと違い、一度発売されたがお蔵入りになった人形が本作には登場する。 妊婦のミッジや、ケンの友達として売り出されたアレンだ。 映画『バービー』において、「アレン」とは誰だったのか。 こ

          『バービー』考察:「アレン」という個人≒マイノリティ

          『白い砂のアクアトープ』製作陣に感謝したい話 (全話視聴後感想)

          なんとなく録画した「白い砂のアクアトープ」。 再生したら見慣れた白地に虹色模様の見慣れたバスが飛び込んできて、可愛らしいきじむなあまで登場して、鮮やかな映像に心躍った。 24話まで見終わって、心の暖かくなる素敵な作品を届けてくれてありがとうと製作陣に感謝したくなった想いを文字にしたいと思う。 ※内容に関するネタバレはほぼ無し。微バレ程度でも大丈夫な方向け。 最初はただ、安直に語尾に「さー」をつけるだけじゃない沖縄の言葉と景色を描いた作品が放映されてるのを見るだけで嬉しか

          『白い砂のアクアトープ』製作陣に感謝したい話 (全話視聴後感想)

          「ストレンジ・ワールド」で描かれる持続可能な社会への希望と理想

          ディズニー+で配信中の、「ストレンジ・ワールド/もう一つの世界」。 「ストレンジ」には変な、怪奇なといった意味以外にも、見知らぬ、未知のという意味がある。 予告を見る限りは、3世代の親子感の葛藤を交えた冒険譚。 これだけだと、ディズニー・ピクサーの映像美が無ければそこまで興味をそそられなかったのだが、とにかく見てほしいという評判が気になった。 結果、父と息子とそのまた息子の葛藤だけでなく、現実世界で私たちが直面しているエネルギーと持続可能性の問題と気候変動問題における閉塞

          「ストレンジ・ワールド」で描かれる持続可能な社会への希望と理想

          アジア人差別発言をした高校教師に言いたかったこと

          “You don’t have to be quiet Asian girl just cause you are” 「アジア人だからって静かなアジア系女子でいなくてもいいのに」 真っ向からのヘイトを向けられたわけではないかもしれない。クラスの半数以上の笑いを誘った、偏見を用いたジョーク。 彼、そして笑ったクラスメイトの多くにとってジョークであっただろうその発言は、私にとっては全くもって冗談じゃなかった。 もう6年以上経つというのに、思い返すとはらわたが煮え繰り返ってしまう

          アジア人差別発言をした高校教師に言いたかったこと

          惑星系の中心 「ワンダー 君は太陽」を見て

          中学生の頃、図書委員をしていたことがある。 これは日本的な言い方で、実際のところは、3年間のミドルスクールの最終学年である8年生の時、選択科目として図書委員を選んだ。 英語の本はまだ苦手でほとんど読まなかったけれど、それでも本に囲まれるのは心地よかった。 背表紙をなぞって、どの棚にどんな本があるのかが段々と分かっていくのが楽しかった。 選択科目のその時間、1日の最後の校時に返却された本を棚に戻したり、本の整理などがおわったら後はカウンターで自分の好きな本を読みながら時折貸出手

          惑星系の中心 「ワンダー 君は太陽」を見て

          泣いて元気になる

          私は結構泣き虫だ。 でも泣き虫にも波があって、15秒のCMで涙してしまうような時期もあれば、感動系の映画で涙目になる程度で済むこともある。 小さい頃から泣き顔を他人に晒すことには抵抗があった。 弱さを見せることに対する危機意識が働いていたのかもしれない。 けれどそれは、理由を問いただされたり、私の涙を他人に勝手に解釈されるのが嫌だったのだと思う。 「こんなことで泣くなんて」=情けない、みっともない、 「なんで泣くの」=私が泣かせたから私が悪いのね といった具合に。 大体

          泣いて元気になる