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心を洗い流したいときはトム・ハンクスを観る。

「ママはこういう心が洗われるような映画が観たいのよーー」
子どもに言い聞かせるというより、何か自分を納得させるような口調で『グリーンマイル』のDVDを片手に持った若いママを、地元のTSUTAYAで見かけたことがあった。
どちらかというと"ヤンママ"という風貌で、連れている子どものはしゃぎっぷりを見るに、家で落ち着いて映画なんか鑑賞できるのかよ、と言いたくなるような様子だったが、間違いなくその手に持っていたのは『グリーンマイル』だった。あの女性とはきっと友達になれただろうと思う。

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心が洗われるような映画体験、とは、そう簡単に訪れるものではない。泣ける映画、面白い映画、わくわくする映画はすぐに思い付くだろうが、"心が洗われる映画"と聞いて、皆さんはどんな作品を思い浮かべることができるだろうか。

わたしにとってのそれは、トム・ハンクスである。
これは母親に刷り込まれた価値観といって間違いないだろう。わたしの母親はトム・ハンクスの映画を観ると、いつも「良い気持ちになったわ」と言っていた。特別顔がかっこいいわけでもないし、スマートな身のこなしを披露する役者でもないが、彼の醸し出す雰囲気はいつだって優しさや穏やかさといった言葉と直結するような、包容力のある演技を魅せてくれる。その魅力は70歳を目前に控えた今もなお健在だ。

あの時見かけた若いママも、間違いなくトム・ハンクスの優しさに身を委ねたひとりだったのだろう。あのひと言と、『グリーンマイル』をレンタルしたその裏に、一体どんなドラマがあったのか…そんなことを詮索するのは野暮というものだが、名優トム・ハンクスには、そんな名もなき人々の人生にまで、物語を吹き込む力があるのかもしれない。どんなファンタジーでも、どんなSFでも、どんなラブコメでも、日常に溶け込み、すべてを許してくれるような、そんな気持ち。心が汚れてしまったとき、疲れてしまったときは、少し落ち着いて彼の物語に流されてしまってみても良いかもしれない。


個人的心が洗われるトム・ハンクスのおすすめリスト10選




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