「塔」2018年11月号(月詠)

副業を持てと謳へる広告のSNSにばらばらと降る

酔ふまへにもう泣きさうだ 取り敢へずビールの人を数へ上げつつ

死ぬことの容易からずや黙々と真夜に飲み干す水の一杯

まぼろしの一人となりて校庭に花の重さを見届けてゐる

特急の通過待ちたる鈍行に赤きシートのつややかに見ゆ

泣き虫を囃す子供も泣き出して夏の終はりの海は遠のく

(p.182)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?