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今夜、すべてのバーで

 相変わらず酒量が多い日々を過ごしている。
 妻は健康に関する本を読んでいて、いけない習慣として列挙されるものには、私に当てはまる部分が多いと忠告をくれる。何事も加減が大事であって、食生活も偏ってはいけないとのことだ。週に3日程度は好きな暮らしをして良いが、週に4日程度は節制を心掛けよ、と。健康的とされる水の摂取は、度が過ぎるとかえって内蔵に負担をかけるし、冷たいものの飲み過ぎはいけないのだ。
 私は白湯をこまめに飲むことを心掛けているし、家での飲酒は焼酎をお湯割りで飲むことがほとんどだ、ということを、やや反論のように云うと、「飲み会では冷たいビールやハイボールを飲むやろ」との返答で、あ、確かにそうだね。となった。
 ありがたい情報で、気を付けるべきだと思う。自分の身に落とし込めば、概ね週に3日は宴席があるので、それ以外に節制を心掛ければ良いだろう。だが、その宴席に充当する3日は別に「好きな暮らし」というわけではない。私の中に、そんなにドロドロしたものではないけれど、少なからず溜まっていくフラストレーションの取扱いはどうなる??家で気兼ねなくアルコールを体に注ぎ込んだり、食べたり、動画を見ながら夜更かしもしたいのだが。
 そもそも私は、意思が弱いわけではないと思う。仕事が忙しくて難しくて、こりゃぁ、本気で取り組まないとダメだと思った時期には、酒を断ち、良き食事や睡眠を心掛けた。その期間はある程度徹底していたと思う。賛否あると思うが、16時間何も食べずにオートファジーを促すような試みも半月以上継続したことがある。気のせいかもしれないが、ウェルビーイングな時期だったと思う。愚鈍な頭は少しだけ晴れやかになって、体重は減っていった。
 しかしそれは、ALL or NOTHING的な思考に近いものがあって、私は週7日のうち、4日はダメみたいな縛りは苦手だ。筋トレだって、週に数回ではなく、部位を変えつつ毎日した方が続く。宴席でしこたま飲んでしまった
次の日は、積み上げたものはぶち壊しになった気持ちになって、やる気なんてものは泡沫に遠のいている。習慣化することの重要性はいろんな書籍のタイトルで見たことがある。習慣化のコツは、習慣をぶち壊すことを排除することだ。私も先輩に言ってみたい。「お酒ですか?お酒ならやめときますわ!」
 今の期間限定的な職場においては、飲むことが仕事なので、そんなところで尖るつもりはない。なので、毎日のように飲み続けるより他ないから、せめて泥のように酔っ払うことは避けていこう。
 中島らもを読んでいる。まだ前半なのだが、これを読んでいると、まだまだ自分はそのレベルには達していない、正しくは、陥っていないと思うので、毎日飲むことを止める気になれない。夜になると酒が欲しくなる。幸い、夜だけだ。
 中島らも、酒をたくさん飲んでいたのに、いや、飲んでいたからか、かなり身体を蝕まれていたにしては、文章にスネた感じはなくて面白い。

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