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紅白の演歌歌手とトレンドの心理学。ついていけない『焦燥感』

心理学が解き明かす音楽の選好に関する研究は、私たちがなぜ年齢とともに異なるジャンルや曲に惹かれるのかについての深く考えてみました。

音楽の好みと心理学

私たちは10代~20代の青年期に好んだ音楽は、その人が社会的アイデンティティを築く上での基礎を形成します。

この時期には、ポップやロックといったジャンルが、反抗的で自由な精神の象徴としてしばしば選ばれます。しかし、時間が経つにつれて、私たちの音楽の嗜好は成熟し、ソウルやジャズ、クラシックといったより洗練された選択に傾くことが多くなります。

一方で、心理学者ディアナ・ボーマンは、「音楽と自己理解」という2015年の論文で、音楽選好が私たちの感情状態と密接に関連していることを発見しました。

悲しみを感じるとき、人はしばしば静かな音楽を選び、喜びを感じるときはアップテンポの曲を好む傾向にあります。これは、音楽が私たちの内面的な感情の鏡であり、現在の感情状態を反映するメディアであることを示しています。

記憶に結び付く音楽

さらに興味深いことに、ジョンズ・ホプキンス大学の研究によると、音楽は記憶とも深く結びついています。特定の曲は、過去の出来事や人々、さらには失われた感情を思い起こさせる能力があります。

この変遷はまた、生物学的な変化ともリンクしています。研究では、歳をとるにつれて感じる情動の範囲が広がり、それが音楽選好にも反映されると指摘しています。歳を重ねることで感じる幅広い感情は、私たちが音楽に対してより複雑な理解を深め、多様なジャンルに対する嗜好を形成することを助けるのです。


若者の音楽から乖離する感覚

しばしば、年長者は若者の音楽に乖離を感じます。この感覚は単なる好みの違いではなく、私たちの身元と経験に根ざした深い心理学的過程を反映しています。

ハーバード大学の研究は、私たちが20代の早い段階で形成した音楽の好みが、私たちの一生を通じて持続する傾向にあることを示しています。

若者の音楽についていけない感覚は、この時期に築かれた音楽的アイデンティティの強固な基盤に起因しています。私たちが青春時代に好んだ音楽は、しばしば私たちの内面的な自己と結びつき、新しい音楽への理解と受容を困難にすることがあります。

新しい音楽に対する感受性

この現象を裏付けるものとして、オックスフォード大学の研究があります。研究者たちは、年齢が上がるにつれて新しい音楽に対する感受性が低下することを発見しました。

これは、脳が新しい情報よりも既存の情報を優先する「認知的保守主義」の結果と考えられています。世代間のギャップは、古いメロディーが新しいリズムに取って代わられるときに生じる、文化的な断層としての役割も果たしています。

音楽は時に世代を超えた絆を築くことができます。
親と子が同じ曲を聴き、異なる理由でそれを愛することは、共通の理解を深める美しい瞬間です。音楽は年を取るごとに変化するかもしれませんが、感動を与えるその力は普遍的なのです。


トレンドに追いつかなくてもいい

新しいトレンドに追いつけない心理的影響

トレンドに追いつこうとする心の駆け引きは、まるで速く満ち引く波のなかで平衡を保とうとするかのようです。新しい波が来るたびに、私たちはしっかりと足場を探さなければなりません。

現代心理学は、トレンドに追いつけない時の焦燥感に光を当てています。
トレンドへの参加が個人の社会的アイデンティティを形成する重要な要素であることを明らかにしています。トレンドに敏感であることは、社会的連帯感や所属意識を強化する一方で、置いていかれたときの孤独感や違和感も増大させると指摘しています。

また、トレンドを追いかけすぎると、私たちは本当に大切なものを見失うかもしれません。スタンフォード大学の研究では、「マインドフルネスとトレンドの追求」という観点から、トレンドに流されることなく、自分自身の価値観や欲求に基づいた選択をすることの重要性が強調されています。マインドフルネスの実践は、トレンドに振り回される感覚から解放されるための有効な方法として提示されています。

焦燥感の背後にある心理的メカニズム

心理学の研究によれば、焦燥感は単に不快な感情ではなく、私たちの心が成長と進化を求めるシグナルなのです。

スタンフォード大学の研究者たちは、「成果への道」という理論を提唱しています。これは、目標に向かって進む過程で生じる心理的な緊張感が、実は私たちを前進させる重要な動機づけ要因であると説明しています。焦燥感は、達成感との間で綱引きをしており、この緊張が行動を促進するのです。

例えば、プロジェクトの締め切りが迫る中で、多くの人々が「プレッシャー」を感じます。このプレッシャーは、実際には私たちが最終的な成果を出すための「燃料」と機能します。

スポーツ選手の緊張感

感情の規制に関する研究では、焦燥感が感情の認識と処理において中心的な役割を果たしていることが示されています。カリフォルニア大学の心理学者たちは、焦燥感を「感情的なエネルギー」と位置づけ、これを有効に管理することで目標達成に結び付けることができると指摘しています。

そして、実世界の具体例としては、スポーツ選手が競技前の「ジッター」(緊張感)を利用してパフォーマンスを向上させることが挙げられます。オリンピック選手たちは、この緊張感をポジティブな刺激として利用し、彼らの集中力を高め、最高の成績を収めるための糧としています。

変化に対応する「レジリエンス」

レジリエンスとは、直訳すると「回復力」や「弾力性」という意味ですが、人間の心理的な文脈においては、困難や変化に直面した際に、その打撃から立ち直り、成長する能力を指します。この力は、単なる固い意志や精神力とは異なり、環境との相互作用、個人の認識のプロセス、そして支持システムを通じて培われます。

たとえば、ハーバード大学の研究では、レジリエンスがトラウマや逆境に直面した人々の回復において中心的な役割を果たしていることを明らかにしています。この研究では、特に人間関係の質がレジリエンスを育む上で重要な要素であることが強調されています。

感動的なのは、レジリエンスが私たち全員の内に潜在する力であり、それを引き出し育てることができるという事実です。変化は避けられないものですが、レジリエンスを通じて私たちは変化を乗り越え、時にはそれを成長の糧とすることができます。

レジリエンスは私たちが持つ最も強力な内なる資源の一つであり、その力を最大限に引き出すことができれば、人生のどんな困難も乗り越えられるのです。


最後に。

トレンドに取り残されたときに感じる不安や焦りは、私たちの成長と進化の一部です。これらの感情は、私たちが自己の内面と向き合い、新たな道を見出すための糧となり得ます。トレンドの速度についていけないときこそ、私たちが真に価値を置くものに気づく機会なのです。

時代とともに変わるトレンドの波に翻弄されることなく、自己の核となる価値観に根ざしながら、変化を受け入れる心の準備をしていきましょう。そうすることで、私たちは不変の幸福へと一歩近づくことができるのです。


紅白歌合戦で毎年思うこと

おわりに

この記事を最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。皆さんに、「トレンドへの焦燥感」というテーマについて新たな視点を提供できたことを嬉しく思います。

新たな視点と冒険を恐れず、自分の人生を豊かにしていくために、今後も一緒に学び、成長していきましょう。お読みいただき、応援していただき、ありがとうございます。
皆さんの未来が輝かしいものであることを心より願っております。


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先にこれだけは伝えたい。「ありがとうございます!!」 パワー注入してもらえて、いつも以上にがんばれます!!