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#32『”冬の片想いソング”SHISHAMO「冬の唄」を語る』

今回は2013年にデビューアルバムの発売に合わせてリリースされた、SHISHAMOの高校生時代の自主制作CD「卒業制作」の中から「冬の唄」という曲について語っていきます。

この曲は簡単に説明すると、”片想いしている女の子の心情”がテーマに描かれています。この「冬の唄」はかなりのマイナー曲の為、初期の頃からSHISHAMOファンの人でないと知らない一曲なのではないかと思います。残念ながらMVはありませんが、YouTubeにて音源がありますので載せておきます。

それでは語っていきます。

冒頭の歌詞

一体この先あとどれくらいそばにいれるんだろう
冷えた耳の奥 君の足音 まだそこにいるの?

「冬の唄」作詞:宮崎朝子

主人公には片想いをしている男の子がいることがわかります。「どれくらいそばにいれるんだろう」という歌詞から、男女だけど親友くらいの関係性があると読み取れますよね。この曲の舞台は卒業制作のため学生だと思うので、主人公は卒業をしたら今みたいに彼と一緒にいれなくなってしまうという不安な気持ちを抱いているように思います。

「冬の唄」というタイトルであるため季節が冬であることは一目でわかるんですけど「冷えた耳の奥」というフレーズがより冬の寒い感じを表現していますよね。SHISHAMOはこういった季節感をだす描写が上手いなと思います。

「君の足音 まだそこにいるの?」というフレーズ。歩いてる音で彼がいることがわかるんでしょうか?いつも一緒にいるし、大好きだから彼の気配に気づくのかも知れませんね。

一番Aメロの歌詞

歩幅もうまく合わないし
待ち合わせを決めるのにも時間がかかるし
意地を張ってばかりじゃどうにもならないの分かってるのに
どうしてかな うまくできない

「冬の唄」作詞:宮崎朝子

「歩幅もうまく合わないし 待ち合わせを決めるのにも時間がかかるし」というフレーズ。何をするにも不器用な主人公の性格が見えてきますね。

その後の「意地を張ってばかりじゃどうにもならないの分かってるのに どうしてかな うまくできない」は、彼のことは大好きだけれど、なぜか好きな気持ちを隠してしまうような行動ばかりをしてしまう…素直になれない自分に悩んでいるといったところでしょうか。

一番Bメロの歌詞

この先地球がぐらついたって
君には死んでも嫌われたくない
なんでか分かるけど 言えないの

「冬の唄」作詞:宮崎朝子

「この先地球がぐらついたって 君には死んでも嫌われたくない」は彼のことを想う気持ちの大きさを表していますよね。「なんでか分かるけど」というフレーズは彼のことが好きという心情に気づき始めた主人公を表現しているように思えます。

一番サビの歌詞

恋人にもなれてない君とのあれこれを考えるなんて
恥ずかしくって 情けないけど
次に君と二人になれたら言うって決めた言葉
「好きだよ ずっと一緒にいたいよ」
おちゃらけてしか言えないけどね

「冬の唄」作詞:宮崎朝子

まだ付き合ってもないのに、好きな人との妄想を膨らませてしまうという歌詞には共感しますよね。人に言うのは恥ずかしいけれど、そういうところが片想いの楽しい部分でもありますよね。

主人公は好きだと言うと決めたみたいですけど、「おちゃらけでしか言えないけどね」というのが、冗談まじりで言えばもしかしたら彼があっさりOKしてくるかもしれないし、最悪断られても誤魔化しやすいかなという主人公の心理が見え隠れしているように思います。ハッキリと言って断られたら今後の関係が気まずくなるし、それだったら友達でもいいから一緒にいたいと主人公の女の子は思っているのかも知れませんね。

二番Aメロの歌詞

いつでもそばにはいれないし
そんなことちゃんと分かってるよ
だから…だから…
離れてる時も私のこと
少しくらいは思い出してくれるのなら嬉しいんだけど 

「冬の唄」作詞:宮崎朝子

学生時代だと部活動だったり、勉強したり、友達との約束があったりと何かと忙しい時期ですよね。「離れてる時も私のこと少しくらいは思い出してくれるのなら嬉しいんだけど」というフレーズはそのままの意味ではあると思うんですけど、”少しくらい”が入っているのが裏返すと主人公は彼のことを常に想ってやまないということが読み取れますね。

二番Bメロの歌詞

君のいない冬の帰り道は
いつもより少し肌寒いから
だからもう少し そばにいよう

「冬の唄」作詞:宮崎朝子

好きな人がいる帰り道といない帰り道とでは温度差が格段に違いますよね。冬だから物理的には寒くても、きっと好きな人が横にいるだけで気持ちの面で温かくなれますよね。

「だからもう少しそばにいよう」というのは一番の歌詞では好きだと言うと決めていましたが、もし断られてしまって今後帰り道を彼と歩く日常が無くなってしまうことを考えるとあまりにも寂しいですよね。だから、もう少しだけ気持ちを伝えるのを先延ばしにして彼とそばにいる時間を確保したいという心理が描かれてるように思います。

二番サビの歌詞

恋人にもなれてない君との二人でいれる時間は
君を好きな私にとっては一番大切なんだよ
だけど君にとっては退屈じゃないか考える
寂しい私 どうにかして

「冬の唄」作詞:宮崎朝子

まさに片想いの心境だなと思います。好きな人と居れて嬉しい反面、私といて楽しいかなと不安になってしまうんですよね。私ばっかりが好きなだけなんじゃないか…どうにかしてって言いたくなるのも分かります。

最後のサビの歌詞

恋人にもなれてない君とのあれこれを考えるなんて
恥ずかしくって 情けないけど
次に君と二人になれたら言うって決めた言葉
「好きだよ ずっと一緒にいたいよ」
おちゃらけてしか言えないけどね

「冬の唄」作詞:宮崎朝子

結局は最後、今後も彼とずっと一緒にいるために好きだと言うと決めたというところでこの曲は終わります。

まとめ

好きが言えない片想いの女の子の気持ちがストレートに描かれていましたね。具体的には歌詞に出てこないけれど、不思議と二人並んで雪が積もった帰り道をジャリジャリ音を立てながら歩いている絵が浮かんでくるんですよね。曲調もバラードで自然と冬だなと感じさせるメロディーになっていて、片想いというテーマにもハマってるなと思います。これを高校時代に作成して歌っていたなんて宮崎朝子はこの時からすでに才能を発揮していますよね。

この曲をライブで披露することは二度とないだろうなと思って、曲の存在は知っていたものの、個人的にあまりじっくりと聴いてこなかった一曲だったんですね。でも、2020年の11月に行われたFC限定ツアー「しゃもサポだけの秘密やで2020」に参戦した際に「冬の唄」を歌ってくれたんですよね。驚いたのはもちろん、生で聴いたらそれが凄く響いたんです。それ以来、この曲結構好きになったんですよね。また歌って欲しいなんて思います。

寒い冬にピッタリな一曲です。是非皆さんも聴いてみて下さい。

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