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忙しいをポジティブに捉える

絶え間なく努力する自分は自分にしか分からない

「人間は、忙しい時にどれだけ勉強できるかで、価値が決まる」
映画監督の山田洋次さんが、ある俳優に向かって言った言葉である。
人というのは、暇な時には誰でも努力するし、誰でも勉強するものである。
ところが、いざ忙しくなってくると、途端に「忙しい」ことを盾にして、自分のことを甘やかしてしまうものである。

山田洋次監督の言葉によると、「忙しい」というものには、ポジティブな意味合いと、ネガティブな意味合いが存在しているようである。
ポジティブな意味合いとしては、「おかげさまで」という感謝の気落ちが前面に出ている場合である。
その一方で、ネガティブな意味合いには、「忙しくて疲れた」と疲弊した心というものが前面に出ている場合が多い。
多くの人にとって、忙しいというのは、後者の場合が多いようである。
「最近、忙しくて、参ったよ」
という友人に会った時には、自分が疲れてもいないのに、共感しなくてはいけないような気持ちになる。自分は、忙しいとはいえ、満たされていて充実した毎日を送っているとは、到底言い難い。
こうした、ネガティブな意味合いによる「忙しい」という言葉には、周囲の人を巻き込む要素が多分にあることを体験いているため、私は忙しいと人に言うことを避けている。
「最近忙しい?」
と他人から聞かれた時、忙しいと言う言葉を使わずに、「おかげさまで」と言うことにしただけで、周囲の人に与える雰囲気が変わったのだ。
なんだか、ホッとした空気が流れるようになった。
こうしたことを考えてみると、最近忙しいのか否かを聞くと言う行為には、最近忙しいのかを聞くことを目的としていないことがわかる。
では、何を聞いているのかといえば、「今日もいい天気ですね」と言うくらいの、軽い気持ちで挨拶をしている感覚なのだろう。

そもそも、「忙しい、忙しい」と、忙しいを連発している人は、何を訴えているのかと考えてみると、「僕はこんなに忙しい生活をしているんだ、慰めてほしい」という、ある種の母親に甘えるような感覚で訴えているのではないかと思う。少なくとも、自分が「忙しい」と言う言葉を発している時の気持ちとしては、そうであった。

思えば、時間がないことを時間する人というのが、いつも一定数周囲には存在していたし、寝ていない自慢をする人というのも、一定数いた。
これらも、同様に、忙しさを自慢する人というものと同じく、「自分はこんなに苦労しているんだ」ということを、他人に知ってほしい。もっとみんなに褒めてほしいという願望からくるものだと推察される。
その延長線上に存在するのが、SNSであろう。
今や、SNSのカウントを持っていない人を探す方が難しくなってきている。
仕事で活用している人は別として、個人で活用している人が多いのは、共感してほしという欲求が先行している証拠だろうと思う。それほどまでに、多くの人は「誰かと思いを共感したいし、もっと褒めてほしい」という気持ちがあるのだろうと思う。
だからこそ、SNSには、承認欲求が目立ってしまうのだろう。

このような社会であある以上、陰で努力することは難しくなっている。
ましてや、忙しい中で時間を削って勉強するなどということをしていると、周囲から心配されることが多い。これもSNSの弊害であると思う。ネットの中には、無理をしていることが原因で、疲弊している人が多く目立つからだろう。
SNSや、ネットによって、あまりにもネガティブな忙しさというものが、目立ちすぎていると感じるのだ。
もちろん精神を病んでまで頑張る必要はないが、現代社会は選択肢が多く存在するために、人生の時間というものは間違いなく少なくなっている。人生80年では足らないのだ。
山田洋次監督がおっしゃるように、忙しいときに勉強することができるか否かによって、その価値が決まってくることは現代においても本質だろうと思う。

「そんなに無理しちゃダメだよ」
という言葉をかけることも、かけられることも、以前に比べたら大変多くなった。
このような言葉の裏には、精神的に疲れた人が、表面的にはわからないという意味合いが含まれている。
そして、自分が疲れてるのか、忙しいのかを決めることができるのは、自分しかいない。それならば、自分は、頑張れる限りは頑張って努力しなくてはならないのではないかと思うのだ。
山田洋次監督が本当の意味で言われているのは、勉強し続けるということなのである。
忙しい時に勉強したかによって決まると、わざわざ言っているということは、暇な時にはもちろん勉強していることが前提であろうと思う。
忙しいとか、暇だとかをジャッジしていることに、あまり意味はなく、常に絶え間なく努力していくことが重要なのだ。
休養を、甘えなのか、癒しなのかを判断するのは、自分自身しかない。

「人間は、忙しい時にどれだけ勉強できるかで、価値が決まる」
これは、自分への戒めとして、常に問いかけるべき言葉なのである。

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