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50点で及第点のスタエフはこうして始まった

音声配信を始めるためにはとにかく話す事

学生だった頃から、ラジオが好きだった。
聞き始めたきっかっけは、リビングにしかテレビが無かったため、やむなくラジオという媒体に目を向けたのだった。
しかし聞いてみたら、これがまた面白くて、やみつきになった。

父もラジオが好きだった。
我が家では、テレビが日常的についていることは少なく、むしろ音と言えば、ラジオから流れてくる“声”と“音楽”だった。
父は、教育番組が好きで、「英会話講座」のような番組を好んで聞いていた。「Lesson One! ……」という、女性の声が聞こえてくるのは、父が自宅でくつろいで勉強しているということを表していた。
ジャズが聞こえてくることもあり、私が音楽に日常的に触れていたのは、父がラジオで流している教育番組から流れてくるものがほとんどだった。

こんな環境だったのもあって、初めはやむなくであったとしても、私は自然とラジオを聞くようになっていったのかもしれない。
ラジオの魅力は、何と言っても“声”が聞こえてくるところにある。
「何を当たり前のことを言っているのだ」
と言われそうだが、人の声というものを馬鹿にしてはいけない。
世の中には『声フェチ』という人種が一定数存在する。これは、“人の声に自分の気持ちが高ぶる人たち”のことを言う。“自分にとって好きな声”というものが存在するのだ。
私が声フェチであるかどうかは不明であるが、人の声を聞くことが好きなのは否定しない。
人の声を聞いていると、何と言っても安心するのだ。
自分はこの世の中に一人じゃない。そう思わせてくれる。
いつまでも聞いていたい気持ちになる声がある。そうした人の放送は、特に聞き逃したくない。
24時間テレビというものが、テレビでは一年に一度くらいのペースでやっているが、ラジオでも、私の好きな声の人がメインパーソナリティとなって、やってほしいくらいである。24時間、その人の声を聞いていられるなんて、とても幸せで、考えただけで鼻血が出る。

このように、人の声を聞いていたい気持ちと、“ラジオパーソナリティのように話すことができる憧れ”のようなものもある。
私が好きなのは、流暢に話す人ではなく、じっくりと、言葉を選んで話す人だ。話していない時の“間”が、その人の頭の中で繰り広げられている思考のプロセスを感じることができているような錯覚が起きるところに、とてつもない魅力を感じてしまう。
「……次は、……えーっと、……そうですね……」
この、「……」のところで、時間を噛みしめたくなるのだ。いつまでもこの時間が続けばいいのに、と思ってしまう。
だから、私はラジオパーソナリティに憧れている。
“間”を感じる話し方ができる、ラジオパーソナリティになりたいと思っていた。

しかし現実には、ラジオパーソナリティになれるチャンスは、そこらへんに転がっていない。
それならばと、手っ取り早く、音声配信のSNSを始めることにした。
「テーマは何にしようか?」
とにかく、話せることが無限に出てくるテーマにしようと思った。ちょっと話したら、すぐに“ネタ切れ”になっては、続けられない。
そこで、好きだった本や、読書について話すことにした。これなら、私は比較的無限に話すことが出てくる気がする。
アカウントを作って、始めた!

配信を録音することにした。LIVE配信はさすがに怖い。いきなりはハードルが高い。
録音したのだが、上手く言葉が出てこない。
つっかえ、つっかえ、なんとか話すことができても、途中で集中力が切れてしまう。録音された声を聞いてみた。
「誰? この声は、私の声なの?」
不思議な感覚だった。声が自分ではないように聞こえるし、途中途中で聞こえる「ま、」という合いの手のような口癖も気になった。
何かを話す度に、「ま、」という一言が入っている。直そうと試みるが、「ま、」という一言をなくすことに集中しすぎて、本来話すことを忘れてしまう。
台本を作ってみた。
話すことを忘れないように、台本を作り、「ま、」という口癖も直し、何とか最後まで完走することができた。
「やった」
と思って、聞いてみる。するとそこには、私が好きなラジオパーソナリティの話し方には似ても似つかない、棒読みで、心に全く響かない話をしている知らない誰かの声が入っていた。
「これではダメだ」
そう思って、何度もやり直す。しかし、結果は変わらなかった。
「パーソナリティって難しいんだな。話し方の学校とかがある理由がわかった気がする」
そんな感想をもって、ふと思った。
「いきなり、初めから上手く話せるわけがない」
そう思った途端、何かが吹っ切れた。台本もやめた。
すると、流暢ではない、しかし、一生懸命話している私が、録音されていた。
それからは、ハードルを下げ、50点で及第点とした私は、段々と話すことが楽しくなった。

やはり、楽しくやることで、続けることができるのだ。
何事も、楽しく続けていけば、結果はそのうちついてくる。

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