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唎酒師の私が日本酒選びに心がけていること

どうも唎酒師syo-taです。
私は数店舗の飲食店さん・結婚式などのイベント等でお酒の提案をさせていただいているのですが、その中の1店舗は実父が経営する飲食店で、そこではいろいろな挑戦をさせてもらっています。

この店舗での日本酒メニューは基本的には定番酒が1銘柄、レギュラーの銘柄が9銘柄(変動あり)、それに、おすすめのお酒というのを2〜4銘柄で置かせてもらっています。居酒屋ではないのでそこまで多く提供しているわけでは有りません。

定番酒に関しては私が懇意にさせていただいている蔵元さんで、実際にお店の料理を食べていただいて判断してもらった上で置いていただいています。忖度では有りませんw

「レギュラー」・「おすすめのお酒」として置かせていただいているのものはタイプを3つに分けていて【お店の料理に合うお酒】【辛口のお酒】【ビギナー向けのお酒】となっています。

【お店の料理に合うお酒】は飲食店にとっては絶対条件ですので言うまでもないですね。

【辛口のお酒】これは以前もお話した通りの私なりの回答となっています。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。(こちらもなるべくお店の料理に合うお酒を選んでいます。)

最後に【ビギナー向けのお酒】これはお店の料理に合う合わないではなく初めて飲んだ人がまた日本酒を飲みたくなるようなモノを基準に選んでいます。ですので、上記の2つとは違いお店の料理に合わせては考えていません。

もちろん日本酒は料理とのペアリングで飲めば美味しさがぐっと変わるものですが、果たして日本酒に興味を持ち始めた方がそこまで意識して飲むかと言ったら微妙だなと私は考えています。

ある程度飲み慣れてきて、いろいろな日本酒にチャレンジしているときにペアリングを意識すれば美味しさの幅が広がりますし、今まで苦手だった系統のお酒も料理と合わせることで飲めるようになったり好きになったりすることはあります。

ただ、この【ビギナー向けのお酒】はそういうことではなく、ただ純粋に日本酒の味だけで飲んだ場合を想定しています。

日本酒に興味があるor日本酒苦手だったけどチャレンジしてみたという多くの方は日本酒らしい「酒感」が苦手と聞きます。
私もいろいろな方の話を聞くことがありますが、苦手と答える人の多くはそのように答えます。

だいたい「The 酒」って匂いがちょっと。となんとも抽象的な答えですが。

じゃあその「The 酒」ってなんだって聞くと「学生時代に飲んだ安居酒屋(やチェーン等)で飲んだ味」って言います。

今はチェーンの居酒屋さんもお酒に力を入れているところも多くてそんなことは少なくなってきましたが、安いところなどだと「日本酒一合」「日本酒燗酒」みたいにしか書いてない所があればそれはだいたい合成清酒だと思って良いと思います。合成清酒は清酒と表記することができないのです。

合成清酒とは
合成清酒とは、アルコールに糖類、有機酸、アミノ酸などを加えて、清酒のような風味にしたアルコール飲料である。清酒に比べて酒税の税率が低く、価格が安いことから、清酒の代用として普及しており、料理酒としてもよく使われている。風味付けのために、醸造された日本酒の成分を数%添加した製品が多い。
また、日本の酒税法では合成清酒のアルコール度数は「16度未満」であることが求められる(酒税法第3条8項)
※Wikipedia参照

とまぁWikipediaさんにはこう書かれています。
ビールとかに置き換えると第三のビールです。
なので厳密には日本酒ではありません。日本酒に似せたなにかです。

または三倍増醸清酒という日本酒です。ですが、こちらは2006年の酒税法改正により造ることが不可能となったため現在は流通していません。

三倍増醸清酒
三倍増醸清酒とは、第二次世界大戦後の米不足の際に導入された清酒に類似した酒の一種、増醸酒の通称のことである。
※Wikipedia参照

この合成清酒や三倍増醸清酒を学生時代に飲んでしまうとこれが日本酒と頭の中に植え付けられて日本酒=酒の匂いがきつくて甘ったるいものと思うようになってしまうようです。合成清酒が悪いわけではありませんが。
辛口好きの年配者が多い理由はこの三倍増醸清酒が原因だったりもします…
この辺(日本酒ブーム)は別のときにお話できれば良いなと思います。

そこで私が心がけているのはそのイメージを覆せる日本酒を紹介すること。

いや、まぁ、合成清酒じゃなければ大半はこのイメージを覆せるほど美味しいんですけどね。

ビギナーさんの特徴として「日本酒に興味がある」「チャレンジしてみたい」という気持ちと「日本酒って酒臭い」「日本酒は悪酔いする」という気持ちが混在していると思います。
ですが、悪いイメージを持ちつつも興味が勝るため飲もうと至るんだと思います(もちろん違う方もいます。)

日本酒で美味しいお酒をビギナーさんが想像するとだいたいは【淡麗辛口】です。
これは昔、新潟のお酒が流行った名残ですね。実際美味しいですし。

ただ、これは想像しやすいし飲んだことがある方も多い。

ビギナーさんは更にそれより美味しいお酒を求めていることのほうが多いです。

その美味しさは何なのか【淡麗辛口】の中で美味しいということなのか…
ここらへんは飲み手によって変わりますのでなんとも言えませんが…

ですので最初の方に書いたように私は【お店の料理に合う日本酒】【辛口のお酒】【ビギナー向けのお酒】を用意するようにしているのです。

【ビギナー向けのお酒】は個人的には飲みやすいお酒や季節を感じられるお酒を言うようにしています。
香りが良い・甘い・低アルコール・スパークリング・夏酒・ひやおろし等々…
流行りのお酒になることもありますね。流行るということは一般的に飲みやすいことが多いですので。
ただ、ここで気をつけるのは流行っているからと言ってその「流行りの銘柄を売る」ことをしない。これだとつまらないし、ビギナーさんが求めているのとはちょっと違うと思います。
なので、そこは唎酒師としての経験・感・コネをフル活用し、お店の雰囲気に寄り添いつつビギナーが求めるお酒を探すようにする。(最悪お店の雰囲気に合わなくても良い)

正直私は【ビギナー向けのお酒】探しが一番むずかしいと思っています。
好みを左右する可能性があるし、興味が嫌いになることもありますので。

私が一番嬉しい瞬間はそういった方々が美味しかった・また飲みたい、次も楽しみにしていると言ってくれることなので探すのが大変でも頑張ろうと思えるわけです。

かなり蛇足な文章でしたが、私が日本酒選びで心がけているのは【お店に合う日本酒】【辛口のお酒】【ビギナー向けのお酒】をしっかり分けてお客様にお届けするということでした!


……【辛口のお酒】はお店によってはコンセプトに合わない場合あったり【お店に合う日本酒】に含まれる場合もあるので正直省いてもいいですけどね笑


以上!

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