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はじめに


株式投資を怖いと感じる理由の一つとして、そもそも株式って一体何なのかを正しく理解していないことが挙げられます。
証券会社を通じて売買される株式を見ているだけではイマイチその本質をつかめません。正しい理解のもとに証券取引を行うことで、いつもとは違った視点をもてると思います。

このnoteでは株式について説明をします。

が、その前に。
まずは企業の時価総額について見てみます。

Yahoo!ファイナンス 株式ランキング 時価総額順位(2022/05/02 18:40)
https://finance.yahoo.co.jp/stocks/ranking/marketCapitalHigh

日本が誇るトヨタ自動車の時価総額はおよそ36兆円。
これは「株価(取引値)  2,228円」×「発行済み株式数 16,314,987,460株」で計算できます。
つまり企業の時価は全株式の価値の合計ということになります。

ところで、時価総額の意味するところは何なのでしょうか。
企業は工場や設備、土地などの資産を持っているはずですが、
これらの価値は時価総額とどう関わってくるのか。
また、企業は毎年利益を出しています(赤字の年もあるかもしれませんが……)が、生み出した利益はどのように時価総額に反映されているのか。

こういった疑問を解決するべく、まずは株式会社の成り立ちから学んでいきたいと思います。

株式会社の歴史


世界初の株式会社は1602年にオランダで設立された東インド会社だと言われています。

当時のヨーロッパは貿易の覇権争いが起こっていました。
イギリスやスペインなどのライバル国よりも強大な船団を作る必要があり、そのためにはまとまった資金が必要です。
それまでの事業は親戚や知人から資金調達をするのが一般的でしたが、規模を大きくするためには見ず知らずの他人からも融資を募りたい。
それでいて強大な船団を作って貿易を行う(かつライバル国に打ち勝つ!)という非常にハイリスクな計画ですから、融資に対して返済を約束するようなことは出来ません。
「融資してくれたら、成功したときに利益を分配するよ!失敗したときは返済出来ないから自己責任でね」という感じです。

この時、融資してくれた人に対して融資額に応じた証書を発行しました。
これが今で言う株式です。
株式を持っていることで、貿易が上手く行った際に利益の一部をわけまえとして受け取ることができました。利益はすべてを株式保有者(株主)に分配するわけではなく、次の貿易のための軍資金として一部留保されることもあります。
こうして事業は徐々に規模を大きくしていき、貿易が成功するたびに株主は利益の還元を受けることが出来るのでした。
ざっくりですが、これが株式会社の成り立ちです。

持っているだけで定期的に利益還元を受けられる株式。
株式に価値が認められると、株式自体に値段が付いて売買されるようになります。
「今回の航海ではかなり沢山のインド産綿布を入手したらしい。大きい儲けが期待できるぞ。」
こんな噂が流れば、東インド会社の株式はいつもより高い値段で売買されたはずです。

株式の価値とは


例えば、東インド会社は100万円融資を募り、1万円あたり1株、合計100株を発行したとします。
貿易は半年に1回。得られた利益の20%を株主に対して分配します。1株当たりの配当金は1000円を超えることもあれば、船が座礁してしまい1円も貰えないこともあります。
あなたなら、この株式をいくらであれば買うでしょうか。

今回のnoteで深く立ち入ることは避けますが、現代のファイナンス理論では株主価値(上記の例で言えば、東インド会社の株式を100株持っている人にとっての会社の価値)は以下で定義されます。

株主価値:事業価値(企業が将来生み出すフリーキャッシュフローを現在価値で割り引いたもの)に非事業価値を加え、負債を差し引いたもの。

企業価値のイメージ

図にするとこんなイメージです。
負債(債券)は東インド会社の説明では省きました。今回は無視してOKです。
非事業価値、フリーキャッシュフロー、現在価値で割り引く。
この辺りの明確な定義を調べた上で計算をする必要がありそうですが、ここで大事なことは2つ。


・株主価値(つまり株価)に企業が今後生み出すであろう利益、企業が持っている設備等の資産は内包されている
・今後生み出すであろう利益がいくらかなんて細かくは分からない

前者は”はじめに”で提起した疑問の回答になっています。
後者の意味するところは、要は正確な株価なんてものは測れないということです。だから日々のニュースや決算発表ごとに株価が上がり下がりするんですね。

株式の価値が正確に測れないのであれば、株式投資はやはりギャンブルのようなものなのでしょうか。
次回はもう少し統計的な視点で株主が得られる利益を見てみます。

おわりに


株式の成り立ちについて説明しました。
次回は株式投資の利回りについて見ていきたいと思います。

「ここの説明分かりづらい!」
「この説明間違っているよ!」
などあればコメントいただけると幸いです。


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