壮大なスクリーンの中に。
滋賀県北小松市の日の出予想時刻は、5:44だった。
湖畔に座り、水面の鳥たちが浮かぶのを眺めていた。
淡く青の白く、まだ薄明るい湖面は、遠くに浮かぶ島をぼぅっと浮かびあがらせ。
まだ明けない湖へ、釣り人たちがゆっくりと舟を出していく。
やがて紫がゆらゆらと揺れる湖面にピンク色を帯びはじめ、空と湖との境界はぼんやりと染まる。
ただただ
静に。
チョポンと水鳥が潜る音と。
そしてその時を、色彩に見蕩れながらいる。
半円の陽が、遠くの山を昇りはじめ
見蕩れているうちにその全貌を現す。
空はその間
光を失い、橙の帯がまっすぐに届く。
こんな風に
明けていく日を見届けたのは初めてだった。
ただただ日が昇り暮れていく
一つにすぎないそのはじまりは
こんなにも美しく。
こうして
淡々と繰り広げられる
壮大な美しいスクリーンの中に、
私たちはいたのだ。
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