内的妥当性と外的妥当性

妥当性とは 

ある論証が、前提が全て真であれば結論も必ず真となるような形になっている時、その論証を妥当である( Validity)という。妥当性は前提と結論との対応関係に関するものであって、その結論の真偽を問うものではないことに注意が必要である。医療・健康情報の妥当性は大きく内的妥当性外的妥当性に分けることができる。

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内的妥当性 

 内的妥当性とは、情報として提示されている出来事の因果関係の確からしさと考えれば良い。出来事の発生には必ず原因があると考えられている。物理法則が必ずしも出来事の全てを表現しているわけではないにせよ、人間にとって、まず原因があって、それゆえ結果がもたらされるということは、自然の仕組みの根幹として理解されている。原因なき結果は、ある種の不気味な現象と認識されることであろう。誰もいないはずの部屋から物音が聞こえたとして、その原因が不明であれば、それは怪奇現象と呼ばれるような何かだ。

 しかし、原因と結果のつながりのように見える現象は、僕たちの想像以上に複雑な編み目を構築しており、その1つ1つをひもとくことはとても難しい。物事の原因が単一のものと考えるのも、僕たちの認識の癖のようなものであり、端的には錯覚である。認識される関連性はまさに氷山の一角であり、水面下には、膨大な数の因子が複雑に影響し合いながら出来事の発生を支えている

 薬やサプリメント、運動や食事療法の影響など、医学的介入と健康の関連について考えるときも同じである。健康状態に影響を及ぼしているのは単一の原因と言うよりはむしろ、原因を含めた因子の集まりである要因と考えたほうが分かりやすい。内的妥当性とは情報が表しているものが単一の原因によってもたらされた結果であると、そう主張できるだけの裏打ちがあるかどうかの度合いである。

外的妥当性

 外的妥当性とは情報の一般化可能性のことである。動物実験データが人の生活環境に妥当するかどうかといえば、議論の余地があろう。このことはまた、小児を対象とした医学研究の結果が高齢者に当てはまるかどうかは分からないことと同義である。

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