創作
電線のうえで歌っていた鳥たちは
夜の黝いインキに塗り潰されてしまった
やがて 静けさだけが残った
死を想わせる不吉な静けさだけが…
私はそれに抗おうとして
ひたすらノートを黒いインキで汚してゆく
(恰も夜がそうしたように)
部屋をペン先が紙をひっかく音で満ちてゆく
そうしてひとつの詩が作られてゆく
私は静けさを忘れ 詩とひとつになる
私は不吉な不安を克服した
黒いインキでびっしりと書かれた私の詩
その文字のひとつひとつが救いの形をして
私が穏やかな眠りに就くことを赦す
(2023.10.29)
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