見出し画像

もっとも簡単なRPGの作り方

今回はRPGをお手軽に作る方法について紹介します。

■RPGを作るのは難しい?

RPGは他のジャンルと比べて、作るのが難しいイメージがあります。それはRPGが持つ一般的なイメージが「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」「ポケットモンスター」など、大規模なゲームを連想してしまうためです。
ただ、作り方次第ではそれほど難しいジャンルではありません。
以下、RPGを簡単に作るための方法を紹介します。

■ステージクリア型のRPGを作る

RPGというと一般的には、広大なマップや迷宮を探索して、モンスターを倒してお宝を入手して、街に戻って装備品を購入してキャラクターを強化する……、というゲームループが基本となっています。

これらの一連の流れが「シームレス」につながるゲームを作るのはなかなか大変です。そこで以下のように考えてみます。

1. マップを探索して、アイテムを手に入れたり、敵を倒してレベルアップする
2. マップの出口にいる中ボスを倒すと、先に進むことができる (ステージクリア)
3. 最後のステージにいるボスを倒すとゲームクリア

これはステージクリア型のゲームシステムをRPGに置き換えたものです。ダンジョンの1フロアを1ステージとする構成です。
ステージクリアの概念を入れると、ゲームとして明確な区切りが出て、目標設定が明確になり、メリハリが生まれます。

例えば、30秒以内に魔王を倒さないとゲームオーバーになる「勇者30」がこの形式を取っています。(勇者30は中ボスが常に魔王ですが)

さらに、ここでいうマップを「ダンジョン」のみにするととても作りやすいです。
ダンジョンは「閉鎖空間」のため行動の自由度が制限されており、かつアート的にも "壁" と "通路" さえあれば、それっぽく見えてしまうからです。

■ダンジョンRPGは作りやすい

ダンジョンの地形は、ローグライクでよくある「自動生成」にすると、さらに楽できます。

例は「穴掘り法」によるダンジョンの生成です。穴掘り法はとても簡単なので、プログラムが得意であれば1時間で実装できます。プログラムが得意でなくても1日ほど作れると思います。

実装例とアルゴリズムの説明はこちらに書きました。
穴掘り法の良いところは、全ての通路が繋がっているため、開始地点と次のフロアに進む階段をランダムに配置しても、ゲームが成立することです。
(欠点として行き止まりができやすいので、穴掘り後にランダムな座標の壁を壊しておくと、行き止まりが少し減ります)

また、自動生成すると何が良いかというと、繰り返しプレイする際に変化が生まれ、リプレイバリューが上がることです。
さらに PermaDeath (死んだら全てを失う) を採用するとアーケードスタイルのRPGとなり、短時間で繰り返し遊べるRPGとなります。

【関連記事】PermaDeathをクソゲーにしない方法

ただ、このPermaDeathは好き嫌いが分かれやすいので、そういったRPGは作りたいくないと考えるかもしれません。またPermaDeathはやり込みタイプのゲームを作るには不向きです。もし死んだら全て失う・アイテム持ち帰り不可といったアーケードスタイルではなく、少しずつ攻略していくようなRPGにする場合は、帰還できる拠点が必要となります。拠点からは、ダンジョンの途中からやり直すことができると遊びやすいゲームになると思います。

ダンジョンを歩き回らせるのも面倒、という場合は「ノンフィールドRPG」というジャンルにするのもありです。ノンフィールドRPGとは、マップの移動を「前に進む」「戻る」の2択だけにしてしまったゲームのことです。

私が過去に作ったノンフィールドRPGです。こちらは「探索」しかないため、前に進むことしかできません。
ノンフィールドRPGは、普通のRPGが広大なマップを歩いても何も起きない場所が多いから、いっそのこと自動化してもいいのでは? という発想から生まれたような気がします。
このシステムは古くは「マリーのアトリエ」でダンジョンにアイテムを採取しに行くと"採取を続ける" と "戻る" の二択でフィールドを廃止したのが始まりで、その後「アンディーメンテ」というゲームサークルが多くのゲームで採用したり、CGIゲームで使われたりしました。そして、カードバトルRPGのソーシャルゲーム(ドラコレ・ドリランド・ミリオンアーサー)で使われるようになり、一気に広まった、という印象です。
今では多くの個人制作のゲームでお手軽にRPGを作るシステムとして活用されています。

個人的にノンフィールドRPGでオススメしたいのがヘビクエストです。

バトルにランダム要素がほとんどなく、敵のHPをちょうどゼロにすると行動回数を消費しないというプレスターンっぽいシステムにより、敵をパズルゲームのように理詰めで倒していく面白さがあります。

……とまあ、ノンフィールドRPGはさておき、作り方次第では、拠点となる「街」を省略することも可能です。例えば、ダンジョンの中にショップや自動販売機を置いてしまえば、そこでプレイヤーに買い物をさせることも可能です。

■簡単なバトルの作り方

RPGといえばバトルシステムです。ターン制のバトルを簡単に作るには「1対1」のバトルにします。「1対1」であれば交互に行動するだけなので、処理の流れがとてもシンプルです。

1. プレイヤーのコマンド選択
2. プレイヤーの行動(攻撃、アイテムを使う、など)
3. 敵のAI
4. 敵の行動
5. 1に戻る

これに対して複数のキャラが入り乱れる「多対多」はやや難しいです。たいていは各キャラクターの速度パラメータを見て、行動順を決めるシステムにしているためです。それを実装するには、コマンドを全て入力した後に行動順でソートする必要があり、アルゴリズム的にやや複雑です。
もし「多対多」を採用するのであれば、ファイナルファンタジーシリーズで採用されている、アクティブタイムバトル方式が良いかと思います。これは行動順が回ってきたらコマンドを入力する、という方式です。この方法だとコマンド入力後、即実行となるため、コマンドのソート処理が不要となり、シンプルなフローになるからです。アクティブタイムバトルの派生としては、グランディアのように、バトルに参加しているキャラクター全てを一つの直線上に速度順に並べる方式も良いと思います。

右下に表示されているのが、行動順のバーとなります。
行動順をどのように扱うかは様々な派生があります。真・女神転生Ⅲで採用された行動の選択によりターンの消費を増減させるプレスターン制、ペルソナ3で採用された敵の弱点を突くともう一度行動可能となる1Moreなど。ターン制はリアルタイム制と比べて行動が不自由なので、自由度を高める多くの試みがなされています。

あと、バトルを簡単に作るコツは、マップ(ダンジョン)とシームレスな作りにしないことです。敵との遭遇は、シンボルエンカウントもしくはランダムエンカウントとし、バトルは別のシステムとして切り離した方がシンプルに作れます。

■リソース管理

シンプルなRPGのシステムを構築する場合、装備品を削ってしまうのもありです。理由は、装備品を装備する・しないのUIの制御処理を作るのが少し大変だからです。
アイテムの種類は回復アイテムだけでも割と成立します。”防具” はレベルアップでHPが増えていけばなんとかなるので、なくてもそれなりにうまくいきます。ただ、できるなら「武器」は行動のバリエーションを増やすためにあった方が良いです。アーケードゲーム的発想で行くなら、武器を回数制限の使い捨てにするのも良いかもしれません。

■シナリオ・舞台設定

シンプルなRPGを作る場合、シナリオや舞台設定は無くても問題ありません。
どうしても必要な場合は、なぜ閉鎖空間に閉じ込められているのか、なぜそこに向かうのかを明確にしておきます。

▼目的
* そこにしかないものを手にいれるため:お宝や魔法のレアアイテムを手にいれる
* ダンジョンを占拠するため:モンスターに占領されたダンジョンを取り戻す
* ボスを倒すため:凶悪なボスに懸賞金がかかっている
* ボスを生け捕りにするため:希少種族を生け捕りにする
* ダンジョンから脱出するため:投獄されたダンジョンから逃げ出す
* 人質を助け出すため:ボスに連れ去られたお姫様を取り戻す
* 情報を手にいれる:ダンジョンを調査する

ダンジョンに潜るきっかけとしては、「宝探し」「誰かの依頼」「個人的な理由(身内の救出など)」が考えられます。

舞台として考えられるものには以下のものがあります。直接的なダンジョン以外にも「閉鎖空間」とすればどの空間も舞台にできます。

▼舞台
* 地下迷宮:偶然見つけた家の地下室、という発想も考えられます
* 城、砦、塔:しっかりした設備があり、上に進むダンジョンです
* 館、学校:普通の建物も閉鎖空間にできます。異次元に飛ばされた学校など
* 精神世界:ダンジョンを人の内面を表現した空間とします

シナリオの導入タイミングとしては、「オープニング」「エンディング」の2つがあれば良いと思います。
もしゲームの進行に合わせてストーリーを展開させたい場合は、ステージクリアのタイミングでイベントを挟む、というやり方もありです。

参考になる例:「雪道」「ロードライト・フェイス

■まとめ

簡単なRPGの作り方は以下の通りとなります。

1. ステージクリア型のゲームシステムにする
2. ダンジョンRPGにする
3. バトルは「1対1」にする
4. シナリオイベントは「オープニング」と「エンディング」のみとする

■最後の手段

どうしてもRPGが作れない場合は、「スラ仏百人組手」を作ります。

これはRPGのバトルだけを抜き出したゲームです。ひたすらバトルを続けて100匹倒すとゲームクリアとなります。運の要素が強すぎるためゲームクリアは非常に困難ですが、シンプルなRPGの例として参考になるかもしれません。

■参考資料

ダンジョンシナリオのTRPGを作るときに参考になる資料です。「シナリオ・舞台設定」のパターン例を参考にさせてもらいました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?