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思い出のポケモン映画を再び劇場で

はじめに

25周年ポケモン映画祭では迷うことなく本作に投票。

視聴前の随想

僕にとって本作ほど印象深いポケモン映画はない。だがそれは記憶が確かであることを意味していない。
むしろ「思い出補正」やネットでの「ネタ」による接触回数の多さが、そういった位置づけにしているとするのが妥当。実際、大まかなストーリーは把握しているけれども、日常パートなどはほとんど覚えていない。
強いて言えば、この頃から既にしょこたん(中川翔子)が声優として登場していた…………はず。

あまり具体的な年齢は言えないが、広義の「子ども」であった当時の僕は、日曜日のポケモン番組(アニメではない)「ポケモン☆サンデー」や「ポケモンスマッシュ!」を時々みていた。
それと平日の朝には「おはスタ」で山寺宏一さんも見慣れていたので、僕にとってポケモン声優とは山寺宏一と中川翔子の二人といっても過言ではない。

本作の公開時に、それらの番組を観ていたかと問われれば正直怪しい。しかし、本作がきっかけで、ポケモンを好きなゲームの一つではなしに、好きな作品として大々的に享受し始めることとなるきっかけではあると思っている。
僕はDSソフトでは「ダイヤモンド」を購入していたので、ディアルガ派なのだが、ダークライはその姿や在り方からして超越的だ。
今思えば、浮遊しているポケモンが好きになったのは、ダークライからかもしれない。

現在、僕が公式ショップ「ポケモンセンター」でゲットし、手持ちに加えているポケモン(ぬいぐるみ)は、レアコイル・ドータクン・サマヨールの三体。
個人的には「目」「視線」に惹かれているのかなと考察していたが、なるほど浮遊も共通している。

そして、今でこそ僕の中では愛玩対象・懐古対象となったポケモンだが、当時はコミュニケーションツールとしての役割もあった。友達と通信対戦云々は勿論、異性の幼馴染と毎年ポケモン映画を観るのがある種の恒例だったからだ。実のところ、その子と交換・対戦をした記憶はあまりない。僕があまりにも自分のポケモンに愛着があったからかもしれないし、ゲームよりは映画の方が大きく役割を果たしていたからかと思われる。
とにかく今では連絡は取っていないし、そもそもゲームもしていないので、先述のように、懐古対象に他ならないのが現状だ。

そんな折も折、投票によって三作が再び劇場にて放映される。
この時代に、わざわざ過去作を映画館で観る意味なんて実際、それほど列挙できない気がする。

だが、少なくとも本作だけは、僕にとって映画館で観るべき作品だと感じた。もし家でネットなりレンタルなりして観るとして、なるほど面白さは同程度だろうが、いわゆる感傷マゾ的感慨や楽しみ方は半減に近いだろう。
すぐ横には現在の日常があるから。
すなわち僕は今回、映画館に行くことで、タイムトラベルしようといった感があるのだ。

今の僕が観れば、思い出補正と冒頭で言ったが、もしかすると「そこまで感」が出てくるかもしれない。けれども、没入・懐古することで、それを和らげ、まさしく童心に還ることができたなら、山寺宏一さんとCMに映った見知らぬ来館者たちによって「夏はポケモン!」と刷り込まれてきたかつての夏を再び体感できるかもしれない。

思ったままに書いていっているので、内容はまた変わってくるが、僕が宗教・文化に興味を持ったのも、「伝説ポケモン」の存在と影響があるのかもしれない。時間のディアルガ、空間のパルキア等々。
この頃もはや個人的には、この言葉を使うのもまた自称するのもあまり好ましくないのだが、いわゆる「オタク」的になったのも、「ポケモン図鑑」の存在が強かった。
ちなみに、その前身として、主にウルトラセブンの「怪獣」「星人」が好きだったのもある。ウルトラ兄弟たちよりも。

視聴後の感想

泣きました。
何度も本当に泣きました。目が赤くなっていたので、どこにも寄らずまっすぐ帰宅。
それにしても、実際観てみると、ほとんど内容を覚えていなかったことに気づかされました。ある種、初見に近かったとも言えます。覚えていたのは特別キャラくらいでしょうか。

ダークライの孤独や悲痛な献身が身に染みました。今回、本当に観に行って良かったです。中盤から既に涙腺が刺激されていましたし。泣くの早すぎ。

「考察厨」とまでは言いませんが、論評癖のある僕は往々にして見ながらも、感想を既に言語的に抱いているものなのですが、今回は非常に没入しており、感動の涙がそれを物語っていました。

それと当時のアニポケOPでもある「Together(2007)」が良かった。
視聴後はまさしく心が洗われたといった感じでした。とにかくひとり静かに余韻に浸りたかった。

僕はあまり作画の良さにこだわりはないですが、やはりポケモンの世界の「水」は透き通っていて、冷たそうな、触れてみたくなる質感が素晴らしいですよね。自然の木々や街もいいですが、僕は水を推したいです。
なお、しょこたんはしっかり声優として出演されてました。勿論、山寺さんも。

某番組よろしくnoteアニメ夜話といった趣で解説しようかとも思いましたが、しばらくはこのまま再び幾年先まで過ごそうと思います、視聴前同様、一番好きなポケモン映画として。
本作は10周年記念作だった訳だが、今年でポケモン映画は25周年となった。この機会と巡り合わせに感謝したい、と言うと、流石に人が変わり過ぎだろうか。

蛇足を承知で二三、書き加えるならば、主人公はサトシで間違いないが、主役となるとダークライだと思う。
今回、各キャラの活躍はあまりなく、神々と戦いと追憶に委ねられている、ある種の被害・傍観に近い。ロケット団も悪事を一度も働いていないし、サトシたちから認識もされていない。

そして前半、日常パートでポケモンたちが些細なことがきっかけでケンカに発展するシーンがある。
争いではなく諍いだと言えるのは、それぞれに敵意がないこと。これはディアルガとパルキアの戦闘にも通ずるのだろう。この二体が結局、どうして闘うこととなったのかは描かれていない。
だが、この日常パートを念頭に置いてみると、「偶然」というものが幾度も意識されていることが分かる。ダークライに対する街の評判も、偶然が積み重なった結果に過ぎないの。
ダークライは「あんこくポケモン」でタイプも「あく」だが、一方で正義・善タイプのポケモンは現状、存在していないわけで、対立軸・二元論で捉えてしまうのもまた、そういった状況の偶然なのである。ダークライが「影」であることもまた、そういったところを感じさせる。

かつてはスクリーンにDSを向けて、赤外線通信していた。
シリアルコードは特別前売券のイメージ。

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