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「自担が結婚する」こと、「自担と結婚する」こと

2022年9月27日。
わたしは、何となくこれまでのことを思い出していた。「明日なんかあるかも」―第六感のようなものを、ふと覚えた。
福山雅治が結婚発表した日、相葉雅紀と櫻井翔が同時に結婚発表した日。どちらも9月28日だったことを覚えている。なぜなら、わたしの誕生日の前日だからだ。

当然、発表当日と翌日はロスにまみれた方々が、そこら中にわんさかいる。わたしは福山雅治が大好きでもあるし、ジャニオタということを知っている人が多いためか、その中の一人であるかのように「結婚したんだね~~!おめでとうじゃん~!」と慰めのようなふりした好奇心でその話題を持ち掛けられ、29日になっても、わたしに対する「おめでとう」の言葉を最初に聞くことができなかった。

いいんだけど。おめでたいことだし。でもさ、自担が結婚するってどういうことか分かってる? わたしは確かに福山雅治が結婚して悲しくなったり、一瞬相葉ちゃんと翔くんが結婚したんかと混乱するくらい、ちょっと寂しくなったりした。
わたしですらこんななのに、ガチガチのファンはそんなもんじゃすまないよな……と、溢れる「本当にファンなら受け入れてあげるべき」論を踏みつぶしながら、「9月28日、誰かにとってのおめでとうと悲しいが一緒に来る日説」を自分の中だけで立証できそうと考えていた。あと一回あれば「二度あることは三度ある」になると思った。

そしてその「誰か」はきっと「次は自分だ」と何となく感じていた。岡田将生くんかな、内博貴くんかな、KinKi Kidsは…なさそう。いやこれで亮ちゃんだったらさすがに立ち直れないかも。

まだ「自担の結婚」を体験したことないわたしは、その日が来たら一体どんな気持ちになるんだろうと、想像するしか出来なかったのが、ある程度心の準備はしておかなければな、と思った。

そして去る2022年9月28日。
その日はあっけないほど普通に過ぎていった。「まぁ毎年毎年なわけないもんな」と思いながら、なんとなく昨日からちらちらしている予感を拭い去ることができない。
そんななか夜中に開いたLINEニュースの画面に、待ち受けにしている見慣れた7人の顔があった。

「Travis Japan デビューへ  報道」

電気が走った。わたしの予感はこれだったのか。なんということだ。
でも、別に公式からは何のお知らせもないし、騒がれている様子はない。「Travis Japan」と「デビュー」という文字だけで先走り、どくどくと鳴り出した心臓を落ち着けながらその記事を恐る恐る読んだ。

あぁ、本当なんだなと思った。そうでなければここまで完成度の高い記事を出すわけがない。そっか、トラジャは世界に行くんだなぁ。

でも。同時に「なんでそれを文春さんに教られたんだろう」と悲しくなる気持ちも生まれた。
掘り返したくはないけれど、Travis Japanが留学を発表したあの日、直前に少し気になる記事が出た。あれは、「ジャニーズJr.のTravis Japanが大きな発表をするらしい」と事前にリークされ、デビューだと思ったマスコミがここぞとばかりに流したんじゃないかと勝手に疑っていた。

そのとき、果たしてどれだけのマスコミが留学からデビューする、この事実を知っていたのだろうか。文春の正確さは近年折り紙だし、この数年は情報の速さも桁違いになった。これはもう確定事項なんだろう。本当に近いうちに発表されるんだなぁ、ということは確信していた。

最近の目覚ましい活躍ぶりと、どこを切り取っても自信に満ち溢れたメンバーの発言に、それまでにもきっと確信していたトラジャ担も多かったと思う。
スノストはライブで、なにわ男子もライブで。じゃあトラジャは? アメリカで孤軍奮闘しているTravis Japanは、どんな形でわたしたちに「ぷれぜんと」を持ってきてくれるんだろうと、ワクワクしていた。

大きなライブがあると、情報を握っているマスコミでなくとも「何となくこの日かな」みたいなソワソワした気持ちが湧き出るものだ。
あぁトラジャ担には、彼らの目の前で、鳴り止まない心臓と震える手足と、もうそこまで出ている涙を抑えながらその瞬間を待ち、「おめでとう!」と(今はまだ心の中で)叫びながらありったけの拍手を贈る―そんな未来は叶わなくなったのか。

嬉しいけれど、おめでたいことなんだけど、やっぱり9月28日は何だかモヤモヤした気持ちになるんだなと眠りについた。

そして9月29日の朝。昨日と変わらない、でも一つ年を重ねたわたしに待っていたのは、正式に発表されたデビューだった。
一つ一つの文字を丁寧に追っているつもりでも、なんにも頭に入ってこない。「あぁ、本当だった。本当にTravis Japanは世界に行くんだ」と、寝起きで働いていない頭がさらにぼんやりする。でも何か書かなきゃ、と仕事を始める前にパソコンを開き、noteを開いた。

自担である川島如恵留くんは「デビューはファンとの結婚」といった。そのおかげで「いつか9月28日に”自担の結婚”を経験するんじゃないか」と感じていたわたしにとって、それは「誕生日に”自担と結婚”できることになった」に変わった。

周りの方々ははじめて、純粋なダブルの「おめでとう」をくれた。単純に、ものすごく嬉しかった。
そりゃ確かにモヤモヤが消えたわけじゃない。あの方々に関ジャニ∞をぶち壊された経験のあるわたしにとって「報道って何なんだ」「向こうも仕事なのは分かってるけど、どこまでもファンの気持ちより記事の衝撃をとるのか」という気持ちが消えたわけじゃない。
本人たちの口から一番に聞きたかったに決まってる。

でも、わたしは生涯忘れない。自分にとってのある種の「呪い」が「祝い」になった、この最高の誕生日ぷれぜんとを。

Travis Japan、デビューおめでとう。本当におめでとう。

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