『プラネピタ』 デザイナーノート②アートワーク編
こんにちは、シュピラボのアートワーク担当遠山です。
2022年春に制作したボードゲーム『プラネピタ』のアートワークの話です。
世に出すつもりのなかった制作途中の資料をたくさん載せることになり大分恥ずかしいですが、プラネピタへのこだわりと愛情が詰まったnoteになっていますので最後までご覧いただけたら嬉しいです!
ゲームデザインについては前回の記事を見てください↓
プラネピタってどんなゲーム?
『プラネピタ』は指で弾くカーリングのような陣取りゲームです。基本的にコマを順番に弾いて得点エリアに配置するのですが、
・打ったコマを裏返すと磁石で固定される
・ただし表のほうが得点は高い
という仕組みがあり、単純なアクションだけでなく戦略を考える要素があることが特徴です。
プラネピタを知らない方はまずこちらを御覧ください
経緯
私はゲームデザインがある程度固まった段階でチームに加わりました。
その時は"磁石でひっくり返すとはじかれにくくなるおはじきゲーム"というだけで、テーマはまだ決まっていない状態でした。
デザインテイスト
私自身ボードゲームは好きでよく遊ぶほうですが、ボードゲームのデザインをするのは初めてだったので、まずは市場調査から始めました。
世の中の売れているボードゲームのデザイントンマナを分類し、ざっくりとした傾向を掴みました。
ゲームデザイナーの目指したいイメージや届けたい年齢層などをヒアリングし、おしゃれな感じか可愛い感じなのか、大人なのか子供なのか、作りたい世界観を擦り合わせていきます。
「大人でも子供でも楽しめるけど、どちらかというと大人寄り」
「おしゃれだけど親しみやすさがある」
というおおよその方向性が決まります。
テーマ選定
チームの考えとして
「磁石を全面に出したテーマや、アブストラクトにはしたくない」
というものがあり、3人で円形に合う具体的なモチーフを考えました。
島と湖、山、ピザ、ケーキなどいくつかアイデアが出ましたが、磁石ギミックとの相性を考えて宇宙が良さそうということになりました。
そこでゲームデザイナーからのラフをもとに、ざっくりデザインの方向性を3つ提案しました。
比較の末、親しみやすさという観点から、Aの方向性で決まりました。
惑星ボード
A案の3エリアをそれぞれ何にするか、チームで意見交換をしました。
ゲームデザイン的には各エリアにわかりやすいモチーフをつけて「宇宙エリア」「水エリア」「森エリア」「惑星エリア」のように、それぞれモチーフで呼びやすくなることが理想でしたが、最終的にはそこにはあまり固執せず、見栄え重視で良い案を選びました。
ゲームデザイナーから言われた「机に出して置きたくなるデザインがいい」という言葉が印象に残っていて、そんなデザインになるように、水彩のテクスチャを使って、おしゃれかつ大人すぎないデザインを目指しました。
子どもにも大人にも愛されている、エリックカールの絵本のようなイメージです。
コマの配色
ボードの3色がおおよそ決まった時点でコマの配色に着手しました。
画面上で選んでも、実物で試さないとわからない部分だったので、工場から候補となるサンプルを12色取り寄せ、実際の見え方から一番良い配色を決めていきました。
例えば黄色はできれば使いたい色でしたが、工場サンプルの色が良くなかったので外しています。
一点、色弱対応のチェックはしたものの、当事者の方から「識別しづらい」との意見があり、ゲームの配色選びは丁寧に行わないとプレイができなくなってしまうのだなと反省しました。
キャラクター
シンプルにしたくて、最初は目玉のようなデザインにしていました。
単体で見ると可愛いものの、届いたコマに貼り付けて実際に遊んでみると目玉だらけになって怖…となりました。
シンプルで視認性の良いデザインにしたいことと、愛着を持てる可愛らしさを意識した結果、今の一つ目の宇宙人が生まれました。
コマの裏側はあえて何も貼らないことで、盤面上ごちゃっとしすぎず、バランスよく見えるようになりました。
おじゃまコマは名前も形も当初からほぼ変化していません。
おじゃまコマだけは輪郭をなくし、宇宙人と比べて大きな存在に見えるようにデザインしています。
得点チップ
意外と悩ましかったのが得点チップ。
3~5点の得点の大小をわかりやすくしつつ、ボードのエリア色と対応させるのに苦労しました。
得点の大小はわかりやすく金銀銅をベースにして、アクセントとして各エリアの色を少しだけ入れています。
ボード、コマが全部丸い形なので、チップの形はあえて六角形にしました。
チップに描かれている王冠のトゲトゲの数が得点と対応していること、みなさん気づきましたか?
シューター
シューターはプレイ感に関わる部分なので、打ちやすいサイズをまず決めてからロケットの形にデザインしていきました。
手に取った時の特別感を出すには何か素材感のあるものを入れたいなと思ったことと、目立ちすぎないようにしたかったので透明アクリルを使うことにしました。
製造が大変過ぎたので第2版では印刷にして、代わりにプレイヤーカラーを付けました。
素材だけで見ると「アクリルのほうが良かった」と言われかねないので、第2版は形状を少し変えたり、色やテクスチャの入れ方を何種類も作り、より良いデザインを目指しました。
メインビジュアル、箱
ボードのデザインを流用して作ったメインビジュアルの画像がSNSで好評だったので、箱のデザインもボードのデザインを基本的に流用し、正方形で可愛く見えるように整えました。
プレイ中のコンポーネントの見た目と箱の見た目があまり乖離しないほうが良いと考えています。
ニッチなこだわりですが、実は箱に印刷されている黄色の惑星は正円ではありません。
斜めから見た時、天面と側面の惑星の見え方に違和感がないように微調整をしています。
おわりに
『プラネピタ』のアートワークのお話をさせていただきました。
現在プラネピタについては第1版、2版ともに完売しており、今後はアークライトゲームズから商業出版が予定されています。
もしこのnoteで気になった方はそちらの情報をチェックしてください!
また、プラネピタに続く私たちシュピラボの2作品目、
『ラフレシアン』が現在クラウドファンディングを行っております!
プラネピタと同様、ギミックやゲームの面白さ、またもちろんアートワークにとことんこだわって作っている作品なので、興味を持っていただけた方はぜひご支援お願いします!
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