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包む、食材、パッケージデザイン。

2024年4月がスタートした。

東北芸術工科大学も3年目となる。

大学も授業シラバスを作り上げ、その地図をもとに
船出を起こすのだが、その地図の中には、いくつか「課題」をもうけ
ゲームのように、ひとつひとつクリアし、階梯する仕組みを設けている。

今回の課題の中で、表題のあるような
「包む」「食材」「パッケージ」を検討するものを考えることになった。

お題はこちらである。「EARTH FOODSのパッケージデザイン」

[お題内容]
25個のEARTH FOODSの中からパッケージデザインしてみたいものを選び、デザインのスケッチやパッケージの試作写真などをご応募ください。審査を通過し採用された作品は、2025年関西・大阪万博のシグネチャーパビリオン「EARTH MART」にて、EARTH FOODS 25 のパッケージとして展示されます。

私が2024年度春から担当する「企画構想研究1」の4月の課題である。
お題内容に含まれている様々な用語に、ヒントが散りばめられているのだが、其の中でも【EARTH FOODS 25】が気になる。つまり「内包される食材たちをパッケージデザインする」ということだ。

其の25食材が目指すべきものとして
【日本の食文化は、「地球との共生」と「食の知恵・技術」の集積】
という記載がある。つまり「集積」であるからこそ、25を見せる仕組みが欲しいのだ。

豆のように小さくバラバラのものもあれば、大きな物体のものもあるだろう。パッケージは「サイズ」がポイントであり、その「サイズ感」をどうイメージするのかが面白い。それも「物体」なのか「テキスト」なのか「写真」なのか「電子体」なのか。

そして、その『集積』について
・豊かな海洋国家(海の面積は世界第6位)として、昔から受け継がれてきた「海藻文化」と「発酵文化」がある。
・そこには多くの知恵や技術の集積があり、菜食・発酵・健康が結びついた食の自然観をもっている。
・この日本がもつ食の価値・本質を再定義し、世界に共有することで、食文化発展や環境問題解決への貢献につながることを目指す

といった意味を持ち、そこから取り出して拝見したり、
新たな視点として使うべき何かに紐づく「何か」、
つまり「企画のタネ」が封じられているという意図がある。

また本課題は、「万博」という性質を持っている。

デザイン性で一眼で人間をひきつけ、惹きつけられた人間がストーリーをもって、記録として残るものを求めている一方で、世界の人々が、「持っておきたい」「残しておきたい」というモチベーションを一定の年代において、持ち続けておかなければならないという意図もあるだろう。そうすると自ずと「歴史観」をベースに持っていくべきことが必要だ。

そうしたなか、コンペのページには下記の内容が記されていた。

(中略)そもそも現在の商業パッケージは、商品の販売・流通のしやすさ・機能的な便利さ等を考えてデザインされています。しかし、今回のEARTH FOODSのパッケージでは商業パッケージのようなルールを取り払い、“未来”をキーワードに世界中の人々にどうしたらEARTH FOODSの魅力が伝わるか、を考えることが必要です。そのためには選んだEARTH FOODについて、いまの暮らしの中でどのように使われているのか、食材の色は何色か、など研究してみると良いかもしれません。

■BSフジ『東京会議』EARTH FOODS パッケージデザインのヒントを考える<O.Aのダイジェストを公開中!>

■考え方のヒント
◯今の常識を疑ってみる。大きさ、形、数、素材、色など
◯好きなところを探してみる。
◯思い切り極端にやってみる。
◯未来のくらしがどうなると良いか、考えてみる。
◯どう見せたらその食材がスターになれるか、考えてみる。

包むとは。

包むという字の語源は、母親がお腹の中で、胎児を羊水で大切に護っている形から“包”という字が出来たそうです。 包装の歴史は古く、神社や仏閣にその年に収穫したお米や野菜と一緒に、手作りのお菓子や小銭を「和紙に包んでおひねり」にして供えたのが包装の原点と言われております。

祈りであり、言葉である。

日本人にとって「包む」とは、
単なる造形の美しさや、単なる高機能を求めるための装飾ではありません。
この国の包む文化は、縄文時代以降、数千年に渡って
実用性と芸術性と信仰の3つの要素がからみあいながら発達してきました。

我々は真っ白な紙に包まれた「折形」からは、
まだだれにも使用されていない清浄さを感じ、
無駄のない造形の「たまごつと」には自然の高機能とそれを見出した人間の感覚を思い、
一枚の「風呂敷」からは水のような柔軟性を感じとります。
日本人にとって包みは、自然への尊敬と知恵の集合体であり、
神との対話であり、見えない意識を通わせて、
相手とより一層深くつながるための言葉でもあります。

https://www.japanhouse.jp/stories/09-tsutsumu.html


さて、ここからは「構造」を考えてみよう(続く)

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