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【人事に効く論文】組織学習? なんや、それで会社が儲かるようになるんか? → なります

1. 20秒で分かる論文の概要

組織学習(Organizational Learning)と組織コミットメント・職務満足度・ワークパフォーマンスの関係について定量分析した論文です。マレーシアの公務員(行政官と外交官)を対象にアンケート調査を実施し、435名分の回答を元に以下の内容について有意であることを明らかにしました。

①組織学習は、組織コミットメント・職務満足度・ワークパフォーマンスと正の相関がある
②組織コミットメントはワークパフォーマンスと正の相関がある
③職務満足度はワークパフォーマンスと正の相関がある
④組織コミットメントと職務満足度は、組織学習とワークパフォーマンスの関係を部分的に媒介する

一応、相関係数のテーブルを掲載しておきますね。

2. 私的な解説/感想

この論文の新規性は上記の④のみです。①②③については先行研究で検証され尽くした内容であり、追確認の位置付けになります。
また、当note記事のタイトルにもある「組織学習によって会社が儲かるようになるのか?」という問いを「組織学習によってワークパフォーマンスが上がるのか?」に読み替えますと、以下のような様々な先行研究で支持されることが確認されているそうです。
Correa, Morales, and Pozo (2007)
Ellinger et al. (2003)
Garver (1996)
Jashapara (1993) 
Jimenez and Navarro (2006)
Khandekar and Sharma (2006)
Power and Waddell (2004)
Schroeder, Bates, and Junttila (2002)
Skerlavaj, Stemberger, Skrinjar and Dimovski (2006)
Spicer and Sadler-Smith (2006)
→ 正式な論文名を知りたい方は、当論文のREFERENCESで確認してください。

3. 読後の余談

人材マネジメントに関連する論文で行われている検証の内容は「まぁ、そりゃそうだよね」というものが多いです。この論文もまた「まぁ、そりゃそうだよね」という感じで、新鮮な発見とまでは言えません。しかし、仮にそうであっても、データでしっかり検証しているのとしていないのでは、大きな差があるのだと思います。
また、この論文と同様の検証は、日本企業の人事部門がその気になれば、自社でも実施できます。ぜひトライしてみてほしいところです。

2024年2月12日 初稿作成

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