火曜日しばらく雑記帳・2023 CW47
10月に入ってから今年の洋書4冊目、Dan Brown の "Origin" を読んでいたがようやく読み終えた。途中まで読んだところでの感想は、3週間前に書いた。
この記事で「面白い読書体験だ」と書いたが、その時点では、11月中頃には読み終えるだろうと予想していた。が、ペースが落ちた。ファンの人には申し訳ないが後半に向って面白さがどんどん減衰して行った。長すぎる。残念ながら、展開はほぼ予想通り、そういう意味では私にとってどんでん返しはなかった。"scientific discovery" の長いプレゼンテーションは、内容もあまりにイマイチだったし演出も退屈だった。
とはいえ、どんでん返しもない結末なのに、そのままエピローグまで読ませてしまうのは、ドラマティックな場面づくりと設定がうまい著者の筆力だとも言える。登場人物それぞれのサブストーリーもうまくからませていて、想像力をかきたてる部分もあり、それなりに楽しめるところもあった。
私がキリスト教徒だったら、感じるスリルや読み取るメッセージは異次元のものとなったかもしれない。あるいはイスラム教やユダヤ教など他の一神教を信じる人たちは、まったく違った楽しみ方や受け取り方をすることだろう。
最重要の登場人物となる AI の Winston は、SFをあまり読んでいない人には新鮮かもしれない。特に最近の ChatGPT の登場で身近になったこともあり、強いリアリティをもって、多くの方にすっと入ってくるだろう。
さて、今年 5 冊目になる洋書は、ヒッグス粒子について。重力の起源を説明するヒッグス粒子は、1964年、ピーター・ヒッグスが35歳のときに予想した素粒子だ。最近になってジュネーブにある CERN (欧州原子核研究機構)のLHC (Large Hadron Collider:大型ハドロン衝突型加速器) によって存在が確認され、ヒッグスはフランソワ・アングレール氏とともに 2013 年にノーベル賞を受賞した。
理論の予測から約50年、膨大なエネルギーと費用を費やして、データ取得そのものも 2010年から2012年の3年かけ、その詳細な解析によって、ようやくその存在が認められた。
ヒッグスはノーベル賞受賞が決まったときに、メディア・サーカスから逃れるために姿をくらましたということだ。
■京都の自宅の近所のスーパーでは、京野菜を中心にちょっと珍しい野菜が比較的手ごろな価格で売っているので、わざわざ新幹線で輸送して新横浜の事務所での食事のメニューにあがる。
先週は菜の花のような黄色い小さい花がたくさんついた「アスパラ菜花」というのが売っていた。アスパラガスがそのまま成長して菜花のように育ったものだということだ。
花や葉、そして茎も、さっと茹でて食べればよいという。
茎はスジっぽいかと思ったらそうでもなく、見た目は菜花だがクセはなく、口当たりも味も柔らかくて、ほのかにアスパラの味がしてなかなか美味い。
他に紅芯大根、紅くるり大根、といった赤い大根がこの季節の楽しみだ。
生で食べても美味しいし、火を通してもよい。おでんにしたことはないが。
昼食にも使う。
先週の後半に、いくつか難問が降りかかって気が急いていて、なかなか余裕がなかった。年末に向けて1日1日ますます余裕がなくなって来ている。
■ギリシャの女性歌手、イオウリア・カラパタキのシングルが耳にとまった。Ιουλία Καραπατάκη - Ρίξε Τσιγγάνα Τα Χαρτιά (Ioulia Karapataki Rikse Tsiggana Ta Hartia) 、曲名は「ジプシー、カードをひいて」ということだ。運命を占ってくれ、という意味だろう。
9/4 拍子 (4/4+5/4 ?) と勘定すればよいのだろうか、拍子をとりにくいがアコースティックベースの上で哀愁を感じるメロディを豊かな声で歌い上げる。途中のサントゥールのような楽器のソロもいい。
2.スペインのシンガー・ソングライター Melendi (メレンディ)が、フラメンコの大御所 ホセ・メルセ José Mercé と共演した Por Amarte Tanto。
メレンディは初めて聴いたが、1979年生まれで44歳の若手ということだ。Spotifyで見ると 2005年からアルバムがリリースされていて、ほぼ1年に1枚のペースでアルバムをリリースしている。ロック色が強いポピュラー音楽の畑のようだ。
フラメンコの要素も軽快にうまくブレンドしていてなかなかよい。
3.アルバ・アルメンゴウや、アンドレア・モティス、リタ・パイエスほか、素晴らしい女性ミュージシャンを輩出するジョアン・チャモロのサン・アンドレウ・ジャズ・バンドのブラジルでのライブアルバムがリリースされていた。
アルバ・アルメンゴウ、アンドレア・モティス、リタ・パイエスも参加しているが、加えてヴァネッサ・モレーノが参加している演奏もあるのが目をひく。好きなミュージシャンどうしの意外なつながりを発見すると、嬉しいものだ。
やはりヴァネッサ・モレーノはいい。
4.最近にノックアウトされたラウ・ノアを聴いていて知ったのが、イギリスの若手マルチミュージシャン Jacob Collier (ジェイコブ・コリアー - Wikipedia)。
この人も、カリスマ性があってなかなか面白い。
つい最近、シングル2曲がリリースされた。"Whereever I Go" に "Little Blue"
歌声もよく歌も聴かせるが、アレンジや音作りもいい。流行りの音でありなながら流行に媚びない感じが好感触だ。
最近、日本の凄腕若手女性ドラマー・川口千里のfacebook投稿に顔を出していて驚いた。こちらも意外な組み合わせだが、近いうちにどこかできっと二人が共演している演奏を聴くことができるのかもしれない。
5.スウェーデンのギタリスト、グスタフ・ランドグレンのライブ演奏、"Straight No Chaser"、言わずと知れたセロニアス・モンクの名曲だが、さすがテンポよくスリリングな演奏だ。
6.先週、ポール・サイモンの記事を書いた。"Live Rhymin'" そのなかの一曲で「ダンカンの歌」というのがある。「ボクサー」とよく似た構成の歌ではあるが、また違った味わいがある。
2011年、コンサートで観客の女性が「私はダンカンの歌でギターを習った!」と叫んだところ、ポール・サイモンは彼女をステージに上げてギターを渡したのだった。
舞い上がっている彼女を励ますように肩を叩き、演奏が始まると、笑顔で頷きながらリズムをとり、ときおりバックのミュージシャンに指示をして、見事に演奏を完成させたのだった。
心温まるシーンだ。
この人のファンでよかったと本当に思った。
■ジョギングは京都で、前日の大雨があがってもう一つ寒くなった朝に、いつものコースをちょっと短縮して 10.2km。
ついこの間まで暑い日もあったけれども、秋が深まってきて、ひと雨ごとに寒くなってくる。
人道的一時停戦なんて、何を言っているだろう、と思う。
人道を言うのならば、恒久的即時停戦を求めるものである。
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