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ペレを超える(かも知れない)静動両刀遣いの怪物ムバッペ~2022カタールW杯 round of 16 フランス3-1ポーランド

pic. by 共同

失点は、レバンドフスキのPK1点のみ。
ムバッペの活躍で、フランスがポーランドを粉砕した。

ムバッペの大活躍でフランス圧勝

ムバッペは、2得点1アシストの無双状態で、フランス圧勝の主役だった。

前半終了間際。
ペナルティーエリア外でボールを受け、ゴール前へと抜け出したジルーにスルーパスでお膳立て。
ジルーは、GKシュチェンスニの逆を突き、左足でゴール右隅に流し込んだ。
フランス先制。

後半29分。
デンベレが、右サイドでカウンター発動。
ペナルティーエリア左で待ち構えたムバッペは、フリーでパスを受けると落ち着いて右足を振り抜き、GKのニア上を抜く凄まじいゴールを決める。
DF2人にファーが切られた状態だったとは言え、名手シュチェンスニのニア上をぶち抜くのは、簡単なことではない。
ドヤ顔で仁王立ちするムバッペ。
もうこの時点で、何だかすごいモノを目撃している実感があって、鳥肌モンであった。

後半アディショナルタイム。
ペナルティーエリア左でチュラム(息子)からのパスを受けると、今度はDF2人の間を抜くシュートをファーに見舞い、勝利を決定づける3点目を挙げた。
もうこの得点など、余裕だった。

「怪物ムバッペが覚醒した」という感じ。
ジルーの先制点は、アンリの記録を抜いてフランス代表歴代トップの52点目なのだけれど、そんなこと霞んでしまうほどの活躍だった。

期待がかかる個人タイトル

今大会4試合で、既に5ゴール目。
2018ロシアでは既に4ゴールを挙げているので、通算9ゴール。

これは歴代の記録では14番目だが、現役選手としてはほとんど最高得点である。
既に、クリスティアーノ・ロナウドの8得点を超え、メッシの9得点に並んだ。
10得点を挙げているトーマス・ミュラーは、チームは敗退しおそらく4年後は出場しない。
これはとりもなおさず、「現在最も優れたフットボーラー」はムバッペであり、メッシやロナウドの時代は終わりに近い、ということだ。

こうなったら、歴代のレジェンドたち、例えばペレ(12ゴールで5位)や母国の英雄フォンテーヌ(13ゴールで4位)の記録を、早いトコロ塗り替えてもらいたい。

王様ペレに重なるデビュー~現在

ペレといえば。
ムバッペの姿は、どうしても王様ペレに重なってしまう。

ペレは、1958スウェーデン大会でW杯デビュー。
17歳の若さで、最優秀若手選手賞を獲得し、チームも優勝した。
以来、計4回の大会14試合に出場し、12ゴールを挙げた。

一方のムバッペは、2018ロシア大会でW杯デビュー。
19歳で、最優秀若手選手賞を獲得し、チームも優勝した。
以来、通算11試合で9ゴールを挙げている。

なんだかまるでそっくりじゃないか(今のトコロ)!

それに彼は、若干23歳なのである。
もう、期待せずにいられない。

「静の勝負」の凄み

実はこの試合、左ウィンガーとしては(ほぼ完璧に)封じられていた。

ポーランドは1人で止めるのが無理だと判断し、2人目が寄せてくる。
相当研究し、対策してきたに違いない。
つまり、あの爆発的「速さでブッちぎる系のプレー」は通用しなかった。
というか、ポーランドが通用させなかった。

しかし、ムバッペが凄いのは、ここからである。
動が制されれば別の武器を使うまで、と判断したのかどうかはわからないが、ともかく彼は「動での勝負」を捨てた。
それは「静の凄み」ともいうべき、第2の武器発動である。

特に際立つのは、後半29分のプレー。
フリーで受けたムバッペは、動きをピタリと止めた。
DF2人はファーを切ったポジションで、釘付けになる。
恐らく、動けないのだ。
自分から動けば一瞬にして逆を取られ、決定的な仕事をされることが解っているので、ムバッペによって「その場に立たされている」のだ。

その後の結果はあのとおり、ニア上にズドンである。

恐らく私が感じた「鳥肌」の理由は、この「静の凄み」であった。
これまで、スピードスターの異名をとるような選手の中で、これほどまでに「静の勝負」ができる選手は、あまり記憶がない。
この褐色の若者の、クールなクレバーさ、狡猾さに、打ちのめされた。

それにしても、あの爆発的なスピードに使う筋肉と、静から一転ズドンとニアをぶち抜くシュートを見舞うための筋肉が、一つの肉体に同居しうるものなのだろうか。
彼は、本当に人間なのだろうか。

もう、ムバッペの快(怪?)進撃から、目が離せない!!

QFはイングランド戦

準々決勝の相手は、イングランドと決まった。

そのイングランドは、グループリーグから無敗で、前線は12得点と絶好調。
主将ケインはアシストに得点に大活躍、若手も躍進。
しかもイエローカードがなく、当然出場停止も居ない。
まさに万全の状態である。

事実上の決勝戦とも言える最高の戦いが、準々決勝で実現する。

この試合でフランスが勝てば、一気にファイナルまで駆け上がる気がするし、イングランドとてフランスの連覇阻止に燃えているだろう。
今大会もフランスが快進撃を続ければ、「ムバッペの大会」として人々の記憶に刻まれるようなことになるのかもしれない。

期待せずにいられない!


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