見出し画像

【プールパーティー編】ビーチ・ズーク・ランバダ ・フェスティバル

※「ビーチ・ズーク・ランバダ ・フェスティバル」は、スペイン・バルセロナ近郊で行われる、国際的なランバダ・ズークのフェスティバル。ズークは「踊るヨガ」とも言われる、カリブ諸島、ブラジルを中心に発展したペアダンスで、先にランバダズーク、その後にブラジリアン(リオ)ズークが出来た。今は2種類とも、ヨーロッパを中心に様々な世代に人気を博している。これは、完全な趣味でこのダンスを細々と楽しんでいる、フォロワー女性視点で書かれている。

※2 リーダー=踊りをリードする人。主に男性が多い。
※3 フォロワー=リーダーの踊りについて行く(フォローする)人。主に女性が多い。

ここまでの流れ

このまでの記事で書いた通り、あまりに無知で動物的すぎる性格が原因で、ランバダ・ズークは1回の対面レッスン、2回のオンラインレッスンを受けただけーそう、もはや習い始めてばかりでースペインのズークフェスティバルに参加した、私。

そんな入門レベルにも関わらず、世界で活躍している名ダンサーやインストラクターの魔法によって、レッスンもパーティーもビックリする程楽しめ、その上たくさんのビギナーズラックまで経験できた。

さて、プールパーティーはキゾンバフェスティバルと同様、夕方前から行われた。
日本のフェスティバルではまだあまり登場しない「プールパーティー」について、ズークフェスティバルの中でも触れて行きたい。

時間

「プールパーティー」ということだけれど、これはプールで泳いだりプールの中で泳ぐ訳ではなく、プールサイドでズークを踊るパーティーだった。

反対に、踊るのに疲れた人はプールに入ったりデッキチェアでのんびりしたりも出来る分、夜のパーティーよりもマイペースに過ごしやすいのも、プールパーティーの魅力だろう。

ズークフェスティバルでは最終日にBBQランチが開催され(これは全日通し券のような“フルパス“には含まれず、有料)、ここでたらふく、グリルされた野菜、お肉、そしてデザートを食べた後、参加者は少しずつ、すぐ隣にあるプールパーティーの会場(ホテル内のプールの一つ)に移動して行く。

開催時間は17:00〜20:00ということだったけれど、実際は16時代から移動して踊っている人達も多かった。

18時半位までは、日差しはとても強い。
このズークフェスティバルは、9月中旬に入って開催されたカルガフェスティバルより、たった一週間早い9月上旬に行われたけれど、一週間違うだけで、照りつく暑さもだいぶ違った気がする。

でも、それは日本の湿気のある夏とは違いカラッとしているから、太陽の光や暑さがそこまで不快にならない。
そして踊っていたら楽しすぎて、日差しなんてどうでもよくなってしまう。

ただ、紫外線は虎視眈々と、私達の肌を焼きにやって来ている。

私のように、翌日フェスティバルが終わってから、肌の色がワントーン暗くなっていてビックリしたくなければ、踊り狂う前に、ビキニ、サーフパンツやスイムパンツの上からしっかり帽子や上着を羽織ってから、踊りに徹した方がいいと思う。

一人でも最高に楽しく、二人で踊ると更に楽しい

そうは言ってもノリノリの音楽が流れて来たら、足は勝手に動いてしまう。
日差しが強い時間は、日陰で踊るというのも覚えておきたい。

音楽は、夜にも流れたサルサ要素も感じるトロピカルな音楽から、クラブで流れていそうな、アップテンポのHIPHOPやR&Bのリミックスまであり、ランバダ・ズークを知らない人でも、勝手に身体が揺れてしまうラインナップだった。

デザートを食べてロゼワインが身体中に回って来た頃から、学生時代に楽しんでいたようなリミックスの曲が流れ、
「これは日焼けしちゃってでも、行きたい……!」
と思うきっかけになった。

プールサイドの会場に入ると、私の魂は、週末クラブで踊り明かしていた学生時代の感覚を思い出したようだ。

カルガのキゾンバフェスティバルの時も、同じだった。
洋服ではなくビキニを着る。
くしでとかされ、スタイリングされた髪ではなく、プールにも入れるように無造作にまとめただけの髪にする。
そうして自然に近い姿になると、自分は人間である前に動物であることを、思い出すようだ。

全てから解き放たれ、私の身体は音楽と同化した。

パーティー編で触れた通り、ここに参加しているメンバーは、楽しく遊び、そして向上心があり、それでいてすごく誠実で有言実行な人がすごく多かった。

私はフォロワーサイドからリーダーを見ていたけれど、ご飯の最中や休憩時間に話した限りでは、フォロワーの人達もとても前向きで陽気な人達が多い印象だった。

そんな良いエネルギーで満たされたメンバーが集結して、どこまでも陽気に踊っている会場が素晴らしい雰囲気で満ち溢れないはずがない。

その「太陽」がギュッと凝縮されたような空間に、私の身体も相当喜んでいたようだった。
身体は陽気にゆれ、唇はどこかで聞いたことのあるそのメロディーを奏で出していた。

その様は、いくら始めたてであっても、楽しさを身体中から放出していたのかしれない。
身体を動かしていたら色々なリーダーが一緒に踊り始め、一人のダンスは二人のものになる。

一人でも相当楽しいけれど、二人でその音楽に合わせてランバダ・ズーク(時々は“もどき“になって、暴れていただけだったかもしれないけれど……)を踊ると、陽気さや開放感はますます加速した。

身体の胸から上がエネルギッシュに回され、眼を開けると空が見えた。
いっさいの穢れない、純粋で明るい、辺り一面水色の空。
そこに、生まれたての赤ちゃんのような莫大なエネルギーを持った太陽が、なんの遠慮もなく、まばゆい光を投入して来る。

日本で社会人を始めてから、いつの間にか太陽が「困った敵」になっていた。
「ここでは色白が美しく、エイジングによくないから」と……

でも、こんな空を見上げ、このどこまでの素直な太陽に照らされ踊っていると、太陽は本来は自分達の味方だということも、思い出せて来た(もちろん肌は焼けるし、エイジングはするだろうけれど)。

そうして出来た数々の「忘れられないペアダンス」の感覚は、ずっと忘れず覚えておきたい。

動いた分に比例して?!ここでもラッキーの連続

始めたてで物知らずだったことが、びっくりするような幸運を呼んだことは、「夜のパーティー編」でも書いた通りだ。

それが、このプールパーティーでも起こった!

プールパーティーは、3日目、つまり最終日に行われた。
つまり、全てのレッスンは終わっていて、参加者達も教えてくれたインストラクター達も、私が完全な入門者だということは、踊った感覚で分かったはずだ。

それなのに。
「プールパーティーが楽しくてしょうがない!」
ただただ何も分からず楽しんでいる様子は、時にダンサー達の目を捉えるようだ。

楽しんでいる内に周りに人が寄って来ていて、いつの間にか2人で踊っていた学生時代のクラブの時と同じく、プールパーティーでは、あまりかしこまって誘いを受けるばかりではなくて、いつの間にかリーダーが私の周りを踊りだし、2人で踊っていたということもあった。

ハイテンポでトロピカルな曲が流れた時、私はアフリカのジャングルにいるような気分になってしまい、ジャングルブックの少年のように、跳ねたり伸びたり、好き放題無茶苦茶なダンスを踊っていたかと思う。そこに乱入して踊り出してくれていた人の中の一人は……

なんとランバダ・ズークの王様、Brazだった……!
王様と踊ったトロピカルダンスは、どこまでランバダ・ズークをきちんとフォロー出来ていたかは置いておいて、それはジャングルで皆に賞賛されて真ん中で踊る、王と王女の熱狂的で儀式的なダンスのようで、どこまでも熱く楽しかった。

王様は、入門者を女王にまで昇華できるなんて……。
さすがランバダ・ズークの王様Brazである!

踊り狂うなら、プールでもダンスシューズがベター?!

あまりに楽しすぎて、身体全体から自由と開放を感じて、私は王様をはじめ、たくさんのダンサー達と、魂がやけどするんじゃないかと思うほど、我も忘れ踊り明かした。

幸い、どこまで踊り狂って魂がやけどをしても、痛みどころか、楽しさと愉快さが増す一方だった……。
しかし、プールパーティーが完全終わり、充実感を感じて普通に歩き出すと、左足の小指が痛い。

「何が起こったんだろう?」
サンダルを脱ぐと、足の小指がグロテスクな程、深く靴づれをしていた。
「ぎゃぁぁぁっ!いつの間に……?」

あまりに楽しすぎてゾーンに入ると、神経が鈍るのか、私はどこかのタイミングで靴づれしたまま、この数時間踊り続けていたようだった。

思い出してみるとレッスンから、いきなり始まったり遅刻をしかけたりして、ダンスシューズに履き替えるのを忘れた時があった。
そして、このプールパーティーもBBQで色々食べ過ぎてロゼワインを飲んだ後、思考回路がほぼなくなった状態で向かったからか、ダンスシューズに履き替えるのをすっかり忘れて、普段のサンダルでずっと踊っていた。

写真を見返して参加者達の足元を見たら、同じようにビーチサンダルなどで踊っているダンサーがいる一方で、半数位はフラットなダンスシューズやスニーカーで踊っていたようだった。

この靴づれのまま2日間踊り明かした結果、一時はそのサンダルやダンスシューズが入らないほど小指が化膿して、タンゴのミロンガ(パーティー)に行けなくなってしまった。

普通の靴は、あくまで「普通の時にはく靴」で、踊る時、しかも踊り狂う時は、ダンスシューズの方が靴づれのリスクも低いのかもしれない(実際キゾンバパーティーでは常にダンスシューズを履いたからか、靴づれは一度も起きなかった)。

「プールパーティーなら、そのままの靴でいいじゃん?」
と思ってしまいがちだけれど、ダンススケジュールがだいぶ先まである場合は、念のためにダンスシューズも持参しておいた方が良さそうだ。

個人的に参加必須だと思う、プールパーティーの終盤

18時半から19時位になると、やっと日差しが弱まり、サングラスを外しても空が見上げられるようになる。
快晴だったズークフェスティバルでは、キゾンバフェスティバルの時のような、深い群青色の空ではなく、素直で美しいオレンジの空に出会うことが出来た。

徐々に空の色が変わって行く中で、踊り方が優しく流れるようになって行くダンサーもいたら、反対によりパワーがみなぎって行くダンサーもいて、時間の流れの表現の仕方も、個人個人によって全然違った。

「今日は必ず踊りたいね」
と言ってくれていた、心優しく素晴らしいダンサーでもある主催者、Xabiと、これまた足さばきが見事なダンサー、そして動きの一つ一つがとても綺麗な女性ダンサーと、気付いたら4人でダンサーを取り替えながら、ランバダ・ズークを踊っていた。
私はひたすらついて行ったり、音に身を預けているだけだったけれど、後の3人がプロだからか、そんな面白いダンスまで体験出来ていた。

Hip Hop色の強い曲では、前日のレッスンでサプライズ事件が起きていた後継者・Emanoelとも踊れた。
弾けるような素晴らしい笑顔を持つこのダンサーは、優しさと激しさを同居させていて、曲の中盤でキャラクターが変わった時など、ハッとさせられる瞬間がたまらなかった!

音楽は、夕方に向けて優しくなったキゾンバとは違い、夜のパーティーに向けて全体的にはどんどんヒートアップして行った。

最後は一人の振り付けを全員で一緒にやる、コレオチャレンジ風のダンスで、全員が一体となって締めくくった。
率いてくれたのは、主催者Xabiのお姉様と、そして後継者・Emanoel。
日々が踊りで溢れている国、スペインとブラジルで生まれ育っていると、ふと思いつく振り付けもキュートだったり激しかったり表情豊かで、最後は夜に向けて、南の国ならではのテンションの高さで締めくくった。

私達が歓声を上げたり笑ったりしている上で、オレンジ色を深めた空は、
「いいね、そのハーモニー」
と穏やかに見守ってくれているようだった。
そこに、優しいプールの音、飛行機が離陸、着陸して行く音が勇敢に重なり、ここ、ドン・アンヘルホテルだけのオリジナルのハーモニーが出来上がっていた。

今年だから集まったメンバー。
今年のその日だから重なった景色、そして音。
このプールパーティーだからこそ重なり合った、グリルの美味しい匂いやヨーロッパのサンオイルの強い香り。

美味しかった、BBQやピザ。
そしてこの時期ならではの、カラッとした健康的な汗を感じ合いながら、踊りあったダンサー達との感触。

野外は五感で感じられる場所だからこそ、この場に居合わせられたことがますます特別に感じられた。

大好きになった、プールパーティー。
また海外のダンスフェスティバルに参加できたら、どこでも皆勤で参加して行きたい。

この記事が参加している募集

フェス記録

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?