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あなたのことを好きじゃない、わけではない。

「好き、って言ってもらえるって、すごくうれしいことじゃん」

高校生のときに、元クラスメイトの男の子に好かれていたことがある。自慢話をしたいわけではない。でも、そんなことがあった。わたしと彼は1年生のとき同じ委員会で、クラスの中では話す方。思春期とは言え、わたしは特別に彼のことを好きと思ったことはなかった。嫌いではなかったけど。

それがクラスが変わった2年生の体育祭あたりで、なぜだかとても、よく話しかけられるようになった。本人の感じや周りの雰囲気を察知して「あ、やばいな」と思ったことは覚えている。わたしにはその気が1mmもないのに、本人や周りだけがどんどん恋愛モードをヒートアップさせていく。今週中に告白するつもりだと友人づてに聞いて、わたしは怯えた。当時は迷惑だと思っていたけど、今思えば恐怖のほうが近かった。

やめてくれ。本当に、意味がわからない。

そんなことをクラスメイトの女の子に相談したとき言われたのが、冒頭のセリフだった。

「なんでそんなに迷惑がるの? 好き、って言ってもらえるって、すごくうれしいことじゃん」

好きと言われることは、うれしいことなの?

当時のわたしの価値観とは、あまりに違いすぎる言葉に拍子抜けした。好きじゃない人に好きって言われるのは、うれしいことなの? 意味が、よくわからなかった。わたしの中にはない価値観すぎたから。

結局その彼とは無理やり距離を置くことにして特に展開は起こさせなかった。そして彼はその後、学年で五本指に入るかわいい女の子に猛アタックされて付き合うことになったのだという。

どうやら、世間の"好き"はわたしが思うよりもライトなものらしい。

そんなことをぐるぐるぐるぐる考えていたら、好きって何かわからなくなっていた。そんな思春期の後遺症を抱えながら、今日も生きている。

そしてさっき気づいたんだけど、わたしはSNSで「いいね!」と思っても心にしまっておくことのほうが多いらしい。本当に、さっきまで気づかなかったんだけど、そうらしい。

どうして素直に言えないのかというと、無意識に相手と自分の好きの重さを比べているんだろう。相手より自分が重くても相手の方が重たくても、怖くなるから。

もっと深掘りすると、基本的に自分のことが好きになれないから「こんなわたしに好きって言ってもらうなんて迷惑だろうな」と思っている節がある。

高校生のときの話も同じ。わたしが特別好きだと思っていない人に自分が嫌いな自分を好きって言われたことが理解できなくて、うれしくなかったんだと思う。

ま、どちらも自己肯定感の低さ、という結論です。シンプル。

あー

好きって言えるって強いなあ。
自分のことを好きって、本当に強いなあ。

そんなことを思いながら、伝わらないとわかりながら、わたしは今日もライトに好きとは言えず、画面越しに誰かを応援している。(直接会えたら伝えるようにはしているけれど。)

だから、好きと言わないからといって、あなたのことを好きじゃないわけではない。

ただ、わたしに「好き」と伝える勇気がないだけ。ただ、それだけ。





来世はがんばります。


読んでもらえてうれしいです!とにかくありがとうと伝えたい!