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本質的な差別化~PCの画面ってどのぐらいの角度まで見える必要あるの?~

一橋大学の楠木健先生の講義を受ける機会があり、そこで聞いた、こんな話。
”以前、PCメーカーの方々に呼ばれて、どの会社のPCが一番優れているかをプレゼンされた。「ウチのはこの角度(正面から30度ぐらいずれて)から見ても画面がクリアに見えます」「いやいや、うちのはこんな角度(正面から45度以上ずれて)でも字が読めますよ」「いやいやいや、うちのはこんなところから(90度ずれたほぼ水平)からでも・・・」って。みなさん、そんな角度から見ながらPC使うことって、あります?って言いました”

本質的な差別化、という話。
楠木先生の例もそうだけど、”同じ競争軸”で”程度”を競ってる限り、本質的な差別化にはならず、新たな顧客を獲得したり、市場を切り開いたり、みたいな領域にはたどり着かない。
こういうパターンって、”定量的な”比較で起こりやすいと思う。
軽さ、早さ、強さ、長さとか。10グラムも50グラムもそう変わらないし、1秒も5秒も、そう、変わらない。
例外なのは、定量的でも、圧倒的な差がある場合。
例えば、PCの重さが10グラム違うとかだと差別化にならないけど、500グラムぐらい違って、すんげー軽い、とか、ダウンロードのスピードが圧倒的(5Gとか6Gとかはそういう世界なのかな)とか、最近の話題で言うと、Chatgptもそうなんだと思う。似たようなAIがなくはなかったけど、精度がハンパない。

けど、普通に仕事して、世の中にはない差別化を考えていくには、やっぱり圧倒的な定量面で検討するより、最初から”物の見方””検討の視点”を変えて、明らかな違いを作りにいくことを大切にしたほうがいいと思う。
それも簡単には見つからないんだけど、定量面を追う努力は、さらに改良されたり、さらに努力されたら、いつかはまた一般化の波に埋もれていくので、そこにリソース割くよりも、尺度の違う差別化を見つけにいくほうがいい。

こういったことを、経営者やマネージャー層が視点として持てているかで、会社の競争力って大きく変わると思う。

そして、視点を変えて見ることって、確立された方法論とか、ノウハウとかがあるものでもないのかなって思うけど、近いこととしては、「やめること」「やらないこと」「省くこと」を決める、というのは、ひとつの解というか、方向性な気がする。

どんな商品やサービスも、いっこ前のバージョンにあったものは、当たり前のように、次のバージョンにもなくちゃいけない、みたいな固定観念があるから。
そこの視点を変えて、本質的にはなくてもよさそうなものを思いっきり省いて、尖る機能に特化する。

これだけモノ・コトが溢れてる世の中で、それでも目新しく売れるものって、そういう視点が入ってると思う。

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