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可動域改善・向上の為の基礎知識+α

関節可動域回復・拡大エクササイズの適応と注意

関節可動域とは、関節の動く範囲のことであり、関節可動域障害には、関節可動域制限と、動揺関節がある。

可動域制限:本来持ち備えている関節の可動範囲の一部に制限がある状態。
動揺関節:関節自体が正常よりも過剰の動く状態。

関節可動域障害には、上述の2つがあるが、関節の可動域改善・向上エクササイズは可動域制限をきたした関節に対して実施するのもであり、その制限を来している原因を理解する事は、エクササイズを行う上で必須である。

可動域制限をきたす原因を以下に記す。

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関節可動域回復・拡大エクササズの導入

関節に関する基礎的検査
可動域の改善を目的にエクササイズを行うにあたり、該当する関節に対して以下の項目について検査し、関節の性状を把握することが重要である。


不安定性:可動域の改善のために、外力を加えるため、その対象となる関節に
     不安定性があるかを把握しておく必要がある。


弛緩性:実施前にその選手自身の関節の弛緩性「ゆるさ」を掴んでおくことは重要
    である。


運動軸の検査:個人的にはものすごく重要な検査項目としています。

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運動軸の検査については、可動域制限がある場合、運動軸を徒手的に他動的に変化を起こし、その違いを評価するものを指します。

肩外転時のつまり感:臼蓋に対して上腕骨頭を足方へ誘導する。
距腿関節の背屈可動域制限:踵骨を介して距骨を足方牽引し、背側へ滑り込ませます。
徒手的な介入により、症状が改善されたとなれば、リコンディショニングすべき項目が見えてきます。


関節可動域制限の原因
関節の可動域制限をきたす原因には、以下の項目がある。
原因を探ることは、可動域の改善を図る上で必須となる。

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ざっくりいうと、原因が筋肉なのか、関節なのか*、他部位からの影響を受けているのか。そんな理解の仕方です。


*関節が硬い・・・・。という表現がありますが、実際に関節は骨と骨で構成されている部分を指します。よって骨同士の摩擦は非常に低く、かつ、一定の空間があるため、関節が硬いという表現は的を得ているようで得ていない。と解釈しています。この表現をするのであれば、関節周囲の関節包や関節方が一部肥厚してできる靭帯、支帯が硬いといった方がより正しい表現だと感じています。


また、原因がわかれば、原因に応じた改善のプログラム立案がしやすくなります。

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筋由来の可動域制限について
可動域制限の原因の一つに、筋萎縮や、筋短縮という病態がある。

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可動域回復・向上エクササイズのプログラミング

実際に、スポーツ現場で可動域エクササズを行う際には、実施しようとしているエクササイズの分類を理解しておく必要がある。

関節運動を引き起こす外力による分類と関節可動域の原因による分類について理解を深めておくことは重要であり必須である。

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上記スライドの中にある自動介助運動には、他動的に運動を支える処方として捉えることができ、徒手的な介入の他に、重力浮力機械重錘を用いての方法が含まれる。

上記スライドの中にある、「関節の遊びの低下」については、関節ボリライゼーションにより、関節が本来兼ね備えている関節のあそびを回復させることが、適切な処方として考えられる。
「筋短縮」については、一般的なストレッチが功を奏することが多い。
「配列異常」では、ストレッチの要素を含んだ反復的な運動が功を奏することが
 多い。
「滑動性の低下」については、筋肉を直接把持し、筋肉の走行に対して垂直に圧を加える様なアプローチが功を奏することが多い。

この様に、原因にあったアプローチを行うことで、実施前後での変化を生じやすい環境を手にすることができる。

自動運動によるエクササイズ

自動運動によるエクササズとは、文字のごとく「自ら」運動を起こす手法である。
実際には、重力に抗して運動を形成するため、重力以外の負荷*を掛けずに行う自動運動のことを指す。

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*重力以外の負荷:例えば徒手での抵抗下にて。重錘を用いてという場合は、自動運動の範疇を超え、抵抗運動となる。

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この自動運動によるエクササイズの中には、ストレッチも含まれる。
ストレッチの適応については、以下のスライドの通りである。

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重要な点は、関節運動が正常なことである。つまり、関節運動が正常ではない場合、ストレッチを行う前にすべきアプローチ(関節運動を正常化させること)があり、この手順を間違うと返って筋は元より関節に火必要な負担を強いてしまう結果となる。

他動運動によるエクササイズ

他動運動とは、随意的な努力を全く必要とせず、他からの誘導(ガイド)により、正常な関節運動を反復する方法である。
他動運動の適応については「正常な」関節運動であることが前提である。
言い換えると、むやみに硬さを取り除こうとするのではなく、運動学的知識に則ったアプローチであるべきである。

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他動運動をエクササイズとして用いる場合は、最終可動域より少しだけ広い範囲について適応しなければならない
他動運動を関節可動域制限の評価のために実施する場合は、他動運動の最終域での抵抗感を感知し、その性状を理解しなければならない。

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この章の最後に、自動運動と他動運動の違いについてまとめた。

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+α スポーツ現場での実際

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