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就職活動中です。動じない心を手に入れるには?【仏教で答える悩み相談22】

人の数だけ、悩みは尽きぬもの。
皆さまから寄せられた悩みに、お坊さんや仏教関係者たちが答えます。

今月のお悩み

Q 就活中です。面接直前に、転んでしまい、スーツもシャツもドロドロ。気が動転して、面接もしっちゃかめっちゃかでした。どんなことにも揺るがない心がほしいです。手に入れる方法はありますか。
(20代・男性)

A1 心はいつだって揺れるもの


 災難でしたね……でもその状況で心が何も揺るがない人がいたら凄いですよね。
 人間は「自分の身心は自分の思い通りにできる」と考えがちですが、実はそうではありません。
 「定水を凝らすといへども識浪しきりに動き」という言葉があります。そもそも私たちの心とは、静かな水面のように落ち着かせようとしても動いてしまうようにできているのです。
 例えば「いまから10秒間、何を考えてもらっても結構です。ただし〈赤い車〉のことだけは考えないでください」と言われたら、いかがですか。すでに頭の中を消防車などが走っていませんか。自分の心であっても自分ではなかなかコントロールできません。
 ただ、そのことを自覚することは可能かと思います。思わぬアクシデントが起きたときは「そもそも心は揺れるものだ。どうにもならない」と受け止める……実践は難しいですが、思考の選択肢のひとつとしていかがでしょうか。
(武蔵野大学非常勤講師・横内教順)

A2 指針となる灯を持とう


「一燈を提げて、暗夜を行く。暗夜を憂えること勿れ。只一燈を頼め」
   幕末の儒学者、佐藤一斎の言葉です。
「この先どうなるか分からないからといって、手探りで歩くような人生はいけない。足元を照らす灯を持ちなさい」といった、意味だそうです。

 自分の指針となる、灯となるものがあれば、安心して進むことが出来ますよね。どんなことに揺るがない心を持った人、それは自分の中にこれと決めた灯がある人ではないかなと思います。

 仕事をする上でも、日々の生活の中でも、自分はこれに向かって進むんだという強い思い、その思いをもって物事に望めば、苦難にも打ち克つことができると思いますよ。ただ、人は誰でも失敗するものです。それをくよくよするのではなく、その先の灯を目指して一歩一歩進んでいきましょう。

(築地本願寺コンタクトセンター担当・戸見嶋淳昭)

A3 「自分を知る」を積み重ねて


 私もすぐに気が動転するので、どんな状況でも揺るがない心が欲しいです! そんな私なので、ご期待に添えられるかどうか?

 たとえば、まずは自分を知ることの積み重ねをしていくとか? どんな時に辛いのか、どんな時に気持がいいのかなどを知ると、体調の整え方がみえてきますよね。同じようにどんなときに気が動転するのか、動転したときにどうしたら状況が収まるのかなど、データが蓄積されていけば、いざという時に対応できる自信へとつながる気がします。「言うは易く」ですけれど。

 あとは、転ばれた時のように気が動転する状況にたたされたときに、それを笑いにするクセをつけてみるとか。どんな経験も話のネタにできると、動転することすら貴重な経験になるかもしれません。
(編集委員・枝木美香)

※本記事は『築地本願寺新報』掲載の記事を転載したものです。本誌やバックナンバーをご覧になりたい方はこちらからどうぞ。

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