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人生に無駄なことは一つもない。全ての経験は今に繋がっている。

チェンライ出張報告記③


今回チェンライを訪れたメインの目的は、とある職人ご夫婦に会いに行くことでした。


何をやっている夫婦かと言うと、


古木を使った小物、雑貨や小型家具を作っています。


彼らの作る製品はとても丁寧ながら、古木独特の味があり、非常に温かみがあるモノなのです。


その製品には彼らの想いや人柄も現れているようでした。


今回、彼らの自宅兼工房を訪問し、色々お話していましたが、その温かみの理由がよーく分かりました。


彼らがこの「古木を使ったものづくり」を始めたストーリーがとても興味深かったのでシェアします。


今メインでものづくりをしているご主人は、元々木工職人ではありませんでした。


チェンライのナイトバザールで洋服や靴、アート画などを販売しながら、生計を立てていたとのこと。


学生時代に美術を学んで、デザインやものづくりに関してのセンスは持ち合わせていたものの、まだその時には木を使った製品づくりはしていませんでした。


この世界に入った(このビジネスを始めた)きっかけは、とある古民家を購入したこと。


彼は直感で、この古民家の木を使って、夫婦がともに暮らす家を建てたい、そう思ったのです。


その後約1年位かけて、ゆっくりゆっくりと家を創っていきます。



デザインはできるものの建築に関しては素人なので、大工だった親戚のおじさんにも手伝ってもらいながら、見様見真似で木材加工技術を学び、身につけていったとのことです。


そして、家造りを通じて、ものづくりが大好きになったそうです。


家を建てた後、しばらくは主力のアパレルやアート製品の販売を行っていましたが、とあるきっかけから、自宅建築後に残った古木を利用して小物雑貨を作って販売することを思いつき、そのビジネスを始めます。



当時まだコロナ禍の前で、タイの観光業も賑わいを見せていましたので、彼の商品も地元チェンライは元より、チェンマイ、プーケットやパタヤなどの外国人が多数訪れる観光地を中心に順調に売れていたようです。


しかし、転機は突然訪れます。


コロナ騒動が始まり、入国制限が始まったことで、観光客が皆無となり、彼のビジネスも大打撃を受けます。


「これからどうしようか。」


夫婦で途方に暮れた際、


ご主人が購入したとある製品用に、古木を使ってある木製品を作ったのです。


それを知人に見せたところ、「これは僕も欲しい!」ということになり、それを他のグループにもシェアしてみたところ、「欲しい!」という人が多数現れるようになり、今はこうして、その製品をメインに作ってビジネスをしているという経緯です。


とは言っても、材料は古木。


そう大量に入手できるものでもなく、それにまだご主人が一人、手作業で作り上げていますので、大量生産することも難しいです。


だからこそ、一つ一つ、丁寧に、確実に気持ちを込めて作っておられるので、その想いが製品を通じて、僕たちにも伝わってきているのだと思います。


添付の写真は彼ら夫婦と大工のおじさんが作り上げた手作りの家です。

家も家の中も彼らの作品で溢れていて、どこを切り取っても絵になる、素敵な家でした。


自分たちの想いを、こうして家や家具、雑貨にして表現できるというのは実に素晴らしいことだと、今回一緒に訪れたパートナーと共に感動したのでした。


彼ら夫婦のお話を聞き、僕は個人的に、家とまではいかなくとも、夫婦、親子で何か共同で後々まで残るような作品を作ってみたいというゴールができました。


人生と言うのはいつどんなことが起こるか分かりませんが、彼らの様に、前を向いて、何か自分たちができることに対して愚直に行動していたら道は拓けるものだということを教えてもらったように思います。


人生に無駄なことは一つもないと思える、エピソードでした。

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