しっかり休む。 フィットネス疲労理論

 トレーニング効果は、どのようにして現れるのでしょうか。
 おそらく最も認知されているものは「超回復理論」でしょう。これはもともと「汎適応症候群:GAS」というものから来ています。

 人間は「今ある生理的バランス状態を維持」しようとします。これは「ホメオスタシス」という人間の機能です。
 トレーニングというストレスに対して、身体に適応を引き起こそうとします。これが「筋力の向上」だったり「柔軟性の向上」だったり、さまざまな反応が生じるわけです。
 この反応は「警告反応期」「抵抗期」「疲弊期」の3段階に分けれられていますが、これを細かくフェージングしたものが「超回復理論」になります。

超回復理論は、「疲労」という1次元的な要素の変化を中心に考えられています。これに対して、今回紹介するフィットネス疲労理論は「フィットネス(体力)」と「疲労」の2次元的な要素の相対的な関係性からコンディションが決定されるというものです。


「フィットネス」は、トレーニングで得られる効果を指す、プラスの要素。
「疲労」は、トレーニングにより蓄積される疲労を指す、マイナスの要素。
プラスとマイナスの合計値を「準備状態(ここではコンディションという言葉に変えさせていただきます)」と呼びます。

NSCA Japan volume 18 Number6
ピリオダイゼーションの化学と実践 簡潔なレビュー Anthony Tuener  より引用

「疲労」の変化量は素早く多いです。一方「フィットネス」の変化量はゆっくりで小さいです。
この二つの関係性が「プラス」に転じた時、良いコンディション状態となります。

プラスに転じるというのはつまり、「疲労」が「フィットネス」を下回った時に転じます。
トレーニングを続けているがゆえに、疲労が溜まり、フィットネスに対して疲労が多くなっている状態では、コンディションはプラスに転じる事はありません。
「より良いトレーニング」も「より良い登り」も、疲労が蓄積している場合は出来なくなります。

「大会がある」「今日こそあの課題を落とす」「今日は待ちに待った遠征だ」なんていう日には、しっかり疲労を取って、コンディションをプラスの状態に持っていくことが重要です。勝負の日から逆算することが必要になります。

疲労はトレーニングによる疲労だけではなく、日常生活の疲労も含んでいます。学業・仕事・家事育児など、日常生活で生じる疲労も、トレーニングで蓄積される疲労も同じストレッサーです。

しっかり休んで、良いコンディションでトレーニングをしましょう。
アクティブレスト、栄養摂取、睡眠、ストレス発散。休むこともトレーニングです!

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