姿勢とパフォーマンス

今回は「姿勢」についての記事になります。

良い姿勢とは何か。いわゆる「理想的な立位姿勢」というものはありますが、何に対して理想的なのかは定義されていません。
個人的には、「目的に対して効率的で安全かつ、さまざまな方向の動きに対応できる」姿勢が理想的かと思います。

そして大事なことは、姿勢というのは基本的に、意識して作るものではありません。勝手に作られるものです。

https://www.physio-pedia.com/Upper-Crossed_Syndrome より引用

例えば写真のような姿勢を気にして背筋を伸ばすと、普段よりも疲れることが多いと思います。

人の姿勢は「Human Resting Muscle Tone:安静時骨格筋緊張」と呼ばれる受動的な筋緊張で作られています。
硬い筋肉があればその方向に引っ張られている、ということです。

クライミングでは特に「手指屈筋群」「肘周辺の回内屈筋群」「広背筋」が主動筋になります。
これらの筋肉はクライミングで反復的に使用されることで硬さを帯びると、安静にしているときの筋緊張が高くなり姿勢に変化が現れます。上述した筋肉は写真のような姿勢を作りやすい筋肉です。いわゆる猫背のような丸みを帯びた姿勢です。

では、その状態の何がよろしくないのか?

①クライミングパフォーマンスへの影響
まず単純に動作に対する関節の硬さが出やすくなります。
特に広背筋は肩関節から胸郭まで関与しますので、体幹部の硬さが出やすくなります。
また、猫背の姿勢は肩甲骨が挙上して前方に引き出されます。この状態により肩甲骨周囲筋のインバランスが生じ、肩周りの感覚が変化します。肩甲骨を「下げた位置」で使いたい場合は、この肩周りの感覚の変化によって「下げた位置」が分かりにくくなります。
肩甲骨が下がらないということは、肩甲骨が安定しにくいということになりますので、引く出力も落ちます。

②怪我への影響
上述したように、広背筋は胸郭まで関与します。ここで最も影響を受けるのは肩関節です。
肩関節は胸郭と協力して動きますので、胸郭の動きが制限されると肩は過剰に動く必要が出てきてしまいます。そうなるともう肩関節痛のリスク増大です。


それでは、どのように修正するのか。
基本的には「過活動している筋肉を抑制し、活動していない筋肉を活性化する」ようなエクササイズを習慣的に行います。

姿勢を見直すことは、きっとパフォーマンスにもつながるはずです。
このような話をすると「別に姿勢が悪くても強い人はいるよね」という声が出てくると思います。その通りなんです。
逆に「姿勢を見直せばもっとパフォーマンスに伸び代が出るかもしれない」と考えていただける場合もあります。

力まず色々な動きに対応できる、臨機応変な姿勢を手に入れたいですね。

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