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SNSで「稼げてる自慢」をする人の裏側と末路

「年収2000万円、突破しました!」
SNSでそう自慢しながら、高級品やタワマンの写真をアップしてくる。
そんな人がいるという光景を目にすることも多いのではないだろうか。

お金に関する教養がない人にしてみれば、すごい成功者のように見えるかもしれない。

だが、税理士事務所にいた経験のある私にとっては、その裏側がどうなっているのかということが、なんとなくイメージがついてしまう。

運よく事業がうまくいって本当に成功しているという人も中にはるだろう。
しかし、ほとんどの場合、詐欺師がカモになりそうな人を探しているだけだ。
たくみな話術に騙されて、信じ込んでしまう人もいるかもしれない。

その他にも、見た目は華やかだが、銀行の口座残高はヤバいことになっているということもある。

私が税理士事務所にいた頃を思い出しながら、本当のお金持ちはどんな人なのかや、怪しいネットビジネスで稼いでいる人がどんな末路をたどるのかについて書いてみた。

そもそも年収2000万円って、どんなレベル?

年収2000万円というと、そもそもどれくらいのレベルのものなのか。
まずはそこから解説していこう。

以下に示しているのは、厚生労働省がまとめている平成21年国民生活の概況の中にある所得分布に関するグラフだ。

所得分布

データとしては少し古いが、ざっくりと理解するには十分だろう。

これを見ると、年収2000万円以上の層というのは、全体の1.2%ほどしかいない。
年収1000万以上の層を足し合わせると、12.4%となる。およそ8人に1人という割合だ。

年収2000万円以上となると、年収1000万円以上に比べて急に数が少なくなるというのが分かるだろう。

「年収が1000万円を超えてるんだから、さぞかしお金もたくさん持ってるんだろうな」
たいていの人は、そう思うかもしれない。

しかし実際には、年収1000万円を超えているにも関わらず、貯金ゼロという人もいるのだ!
実は私も、ファイナンシャルプランナーの勉強をしていた時にそのことを知った。
意外にも、モノはたくさんあるのに現金は無いという「高所得貧乏」が存在する。

お金を貯められない人の心理

どうしてたくさん稼げているのに、思うように貯金できていないのか。
それを知るヒントは、「生活感」と「幸福感」にある。

まずは、「生活感」についてだ。
実は、年収400万円の場合は、手取り収入を指していることが多いのに対し、年収1000万円の場合は、税金や社会保険料を差し引く前の金額を指していることが多い。
年収1000万円となると、税金や社会保険料を差し引けば、手取りはおよそ700万円だ。
なので、年収400万円との実質的な差は、300万円程度でしかない。

それにも関わらず、「総収入が1000万円を超えているのに、普通の生活をしていた頃に比べて生活感に思ったほど変化がないのはおかしい!」と感じてしまうとどうなるのか。
自分がイメージする年収1000万円の生活感に合うように、いろいろと余計なものを買いあさってしまうのだ。
収入が増えても、結局支出も増えてしまうわけだから、まともに貯金なんてできない。
人によっては、対外的に見栄を張りたいという心理もあるかもしれない。

もう一つのカギは、「幸福感」だ。
年収が600万円あたりまでは、収入に比例して幸福感も増すという研究結果がある。
しかし、その600万円を超えると幸福感の増加は鈍ってしまうらしいのだ。

今までできなかったことができるようになれば、幸福感を強く感じる。
だが、そこからさらに選択肢が広がったところで、あまりうれしさは感じなくなっていく。

そのことを知らずに、収入に比例して幸福感も無限に増えていくと思い込んでいると、思わぬ落とし穴にハマってしまう。

高収入の状態でお金を使っていて、「あれ?思ったほど幸福感が得られないな・・・」となってしまうと、自分がイメージしている幸福感が得られるまで、どんどんお金を使っていってしまうのだ。

そうして周囲はモノであふれ、銀行の預金残高はゼロに近づいていく。

いくら高所得者になれたところで、お金の流れをコントロールするだけの能力が無ければ、ろくに貯金などできない。

継続して稼げる人であれば、年収を口にしない

SNS上で稼げてる自慢をする人は、たいては一時的に運よく稼げているだけか、必死にカモを狙う自転車操業状態の詐欺師かのどちらかだ。

継続して稼ぎ続けられるレベルの人であれば、収入を口にしない。
その理由は、3つある。

1つ目が、周囲からの嫉妬の回避。

周囲に自分が稼げていることを話して嫉妬心をかってしまうと、なにかと面倒なことになってしまう。
あらぬウワサを立てられてしまうという危険性すらある。
余計な敵を作ってしまわないためにも、自分の収入は口にしないのだ。
稼ぎ続けられる人というのは、あくまで謙虚だ。

2つめが、金銭トラブルの回避。

たくさん稼げていると言いふらしてしまうと、怪しい投資の話や美術品を買わないかという話(下手したらニセモノ)なんかがくるようになってしまう。
さらに、知り合いから「なぁ、金持ってんだろ?ちょっと貸してくれないか?」と頼み込まれるようにもなりかねない。断りづらい上に、貸しても返ってくる可能性は、かなり低い。

だから、それほど稼げていないふりをして、トラブルを引き寄せてしまわないようにするのだ。

最後の3つ目が、税務署からのマークの回避。

たくさん稼げていると公言しておきながら、税金が全然納められていないと、税務署側から「これは脱税している可能性があるな」と目をつけられてしまう。

万が一、税務調査にでも入られてしまったら、たとえ脱税していなかったとしても、周囲からの印象が悪くなってしまう。

そういった面倒なことを回避するためにも、収入については口にしないのだ。

だいたいはこの3つの理由から、自分の収入について口にすることはない。
お金はトラブルを引き寄せるという一面があることを知っているからこそ、稼ぎ続けられる人は、それを回避しようとする。

お金持ちって、実は地味

まともな人かどうかを見抜く上で、重要なポイントがもう一つある。

それが「お金持ちって、実は地味」ということだ。

お金持ちのイメージというと、王族や貴族、ハリウッドスターやアラブの石油王のような感じのものを思い浮かべる人も多いだろう。

メディアの影響もあってか、やたらとお金持ちに対してキラキラしたイメージを持ってしまっているのだ。

だが、そういったケースというのは、名門と言われる家系に生まれたり、特別な才能を持っていたり、お金を生み出す資産をたくさん持っているという特殊なケースだ。

先ほども触れたように、稼ぎ続けられる人というのは、目立つようなことはしない。
メディアに登場しない地味なお金持ちの方が、実は多いのだ。

それに加えて、お金持ちはケチだと言われることも多い。
そう言われてしまうのは、お金持ちは自分にとって本当に必要だと判断したものしか買わないからだ。

ブランド品についても、それを作る材料費だけを考えるのであれば、たいした金額にはならない。
あるブランドのメーカーが作ったというだけで、急に金額が跳ね上がる。
お金持ちの人は、ちゃんとそのことを理解しているから、ブランド価値というフワッとしたものに惑わされることがない。
あくまでお金持ちの人の価値判断の軸は、役に立つかどうかや、自分にとって必要かどうかなのだ。

私が税理士事務所にいた時代を振り返っても、ブランド品を持っている社長というものを、少なくとも私は見たことがなかった。
むしろ、街中でブランド品を持っていて目についた人というのは、年齢的には若く、派手な感じがする人が多かった。
持っているブランド品以外の部分は安物といった感じで、全体的に見てアンバランスな印象を受けた。

やたらとハイブランドなものを見せびらかそうとする人は、貧乏人としてのコンプレックスを引きずっていたり、自分という存在を認めて欲しいという自己顕示欲が強い。
それが、税理士事務所での仕事を通じて私が学んだことだった。

どこかで地雷を踏む時がくる

自分の幸福感を満たすためや、「いいね」が欲しいがために、ひたすら余計なものを買い続けるとどうなるのか。

もちろん、モノは増えても、お金はどんどん無くなっていってしまう。

そして、どうしても現金が必要だという場面になって肝心の現金がないと、とんでもないトラブルになる。

何かの拍子に収入が途絶えてしまい、さらに住居費の請求が来てしまえば、出ていかざるを得なくなるだろう。
また、配偶者と離婚することになって財産分与という話になれば、仕方なしに資産の一部を売ってお金を作り、財産を分割するということもある。
売却する時点で、資産の価値が買ったときに比べて大幅に下がっていれば、かなりの損失だ。

一見すると、たくさん稼いで華やかに見える人も、実は稼いだお金をろくに貯金できずにそのまま吐き出してしまっているだけだったりする。

より深刻なのは、マルチビジネスで稼いでいるという人ではないだろうか。

ビジネスに実態が無いから、会員を募るためにブランド品を買ってセミナーで見せびらかし、必死に「稼げてますアピール」をしないといけない。

マルチビジネスの場合は、それだけではない。
虚業なんて長く続くわけがないから、常に「このまま行って、大丈夫なのか?」という不安にさいなまれる。
さらに、いくら物理的にたくさんの人に囲まれているとはいえ、孤独感にも耐えられなくなってくる。
そうなると、目の前の現実から逃避するために、浪費に走ってしまうのだ。

もちろん、そんな状態でまともに貯金できるはずがない。

すごく当たり前のことだが、貯金するためには支出は収入を上回ってはいけない。
収入に対して支出をできる限り少なくする必要がある。

もし銀行の口座残高がゼロに近い状態になっていて、すぐに現金を用意できないという状況下で、現金で支払わなければならないという地雷を踏んだらどうなるのか。

「現金が無くってつぶれてしまうっていうのは、企業でいうと黒字倒産に似てるな」
税理士事務所出身者の私は、何気にそう感じるのだ。

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