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インタビュー中に頭が真っ白になってしまうあなたへ

誰もが知る著名人のインタビュー取材をゲットしました。
人脈をフルに使ってようやくつかんだ取材。失敗は許されません。
いざ、本番。あらかじめ決めていた質問も消化し、順調に進んでいます。
しかし、どうやらお相手の様子が変です…
明らかに「質問のポイントがずれているんだよな…」という顔をしています。もう用意した質問はありません。

そのときです!
あなたの頭は真っ白になりました。
全てが、ぶっ飛んだのです。
容赦なく過ぎていく時間…
皆さん、明日は我が身です。

準備は役に立たないことがある

取材先で頭が真っ白になることは、長く経験しているライターなら一度や二度じゃないと思います。
その場で修復するのは至難の業で、5分前の質問を一人でぶつぶつ繰り返したり、「え~と、つまりどういうことでしたっけ?」と情けない質問をしたり。
いくら準備をしても、インタビューは生き物。準備通りに話が進むわけがありませんし、むしろ、準備通りに書いた原稿なんておもしろくありません。
こんな悩みを抱えている方がいらしたら、まずは準備に頼るのはやめましょう。
では、どうやったらインタビューを失敗しないか。
具体例を挙げて解決方法を紹介します。

ベンチャー社長の信念は

設定は、ライター歴3年のMさん(男性)が急成長のベンチャー企業社長をインタビューするとしましょう。業種はコンサルティング営業です。
Mさんは会社設立の経緯、業務内容、社風、ビジョンなどをテンプレート通りに聞きました。
そして、60分の取材時間のうち、40分が過ぎたあたりで、社長からこんな質問をされました。

社長「どうですか?書けそうですか?」
Mさん「もちろんです。ばっちりですよ」
社長「うちの会社、どんなことがテーマになるんですか?」
Mさん「先ほどお聞きした通り、販促や経費節減などの商品を提案していくんですよね」
社長「たしかにそうですけど、記事にインパクトがほしいんです。何かいい切り口ありませんか?」
Mさん「う~ん……」

このとき、Mさんの頭がスパークしました。
一問一答に集中してしまっただけに、逆質問されてパニックに陥ってしまったのです。
ライターは話を聞く立場ですが、自分はこう思った、こう感じている、というのをうまい具合に出していかないと、取材相手は逆に不安になるものです(出し過ぎはいけません)。
話をきちんと聞いた上で、このぐらい攻めていきましょう。

社長「どうですか?書けそうですか?」
Mさん「一つ気になったのですが、社長のSNSのプロフィールに、人とコミュニケーションを取るのが苦手と書いていますが、どうして営業の仕事を選ばれたのですか?」
社長「そうなんです。今でも得意ではありません。でも、相手に気持ちを伝えたいという誠意さえあれば、技術はそんなに重要じゃないことに気が付いたんです。それから、少しずつ自分の意識が変わっていきました」
Mさん「気持ちを伝える誠意。商品を提案する上で、とても大事なことだと思います」
社長「分かってくれますか。実は、コミュニケーションを取るのが苦手な社員をどんどん採用しているんです。この会社に入ったことで一緒に成長し、人生が変わったと思ってくれたら、僕にとっても幸せなことです」

いかがでしょうか?少し抽象的ですが、話が本質に向けて動き出すスピード感を感じませんか?
そしてこの記事は、
「急成長のコンサル営業ベンチャー 徹底した聞き取りで売上前年比500%アップ」という準備していた見出しから、
「技術よりも誠意 〝話し下手〟のスペシャリスト集団が達成した脅威の営業成績」
という見出しに変わりました。

経験でしか身に付かないもの

インタビュー中に頭が真っ白にならないようにするためには、取材相手への興味を高めましょう。
相手のことをもっと知りたい、もっと伝えたい、という気持ちを大切にすれば、自然と他人が気付かないようなリサーチができるかもしれませんし、何より、相手はその気持ちをうれしく思います。
取材相手に「あなたには話してもいい」と思わせたら、こっちの勝ちです。本音を引き出すためには、限られた時間で信頼関係を作らなければなりません。あなたが取材相手を尊敬しているのであれば、はじめにその気持ちとその理由を伝えるだけでも、相手は心を許してくれます。

インタビュー取材は、一朝一夕でうまくできるものではありません。
経験がものを言う仕事です。
よく頭が真っ白になる方、大丈夫です。
インタビュー取材は、その経験を繰り返し、乗り越えた人だけが極められるスキルなのですから。

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