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マスクをつけていない人はやばい奴かもしれないという話

僕は某古本屋チェーン店でアルバイトをしており、
最近になってマスクの着用や立ち読みのご遠慮を促すマイクトークを行うようになった。
もともと店内に貼り紙をしていたのだが、それを無視する人は無視するため、さらに肉声での呼びかけも行うようになったのだ。
にもかかわらず、マスクをせずに長時間の立ち読みをする輩はいる。
日本語がわからないのに、どうやって本を読んでいるのだろうか。
もしや挿絵しか見ていないのではないだろうか。
少し本から目を上げれば、マイクトークしている僕たちの姿が見えるだろうに、いったいどういう神経をしているのだろうか。

というわけで、そういう人たちはどういう人なのかを調べてみた。

○研究内容

今回紹介する研究は、2377人(有効だったのは1520人)のイタリア人(平均年齢34.62, SD=16.15)にオンラインでアンケートに記入してもらった。

アンケートでは主に以下の3点を評価した。

パーソナリティ(協調性、情緒的安定性、誠実性、ダークトライアド)
モラル・ディスエンゲージメント傾向(端的にいうと非道徳的行為の正当化)
ルール遵守行動(ソーシャル・ディスタンス、ステイ・ホーム)

ダークトライアドとは、共感性が低く恐怖を感じづらいサイコパシーと自分大好きなナルシシズム、他人をコントロールしたがるマキャベリアニズムの総称である。
つまり、付き合うとやばい奴だ。
また、これに攻撃することを楽しむ特性のサディズムが加わったものをダークテトラドと呼ぶ。

○結果

その結果、以下のことがわかった。

ダークトライアドパーソナリティモラル・ディスエンゲージメント傾向には中程度の正の関連がある (rm=0.30, p<.01)
正常なパーソナリティ(協調性と情緒的安定性、誠実性)とモラル・ディスエンゲージメント傾向には低程度の負の関連がある (rm=-0.16, p<.01)

ほかにもダークトライアド傾向が高いソーシャル・ディスタンスをとらない傾向があったり、逆に協調性と誠実性が高いソーシャル・ディスタンスをとる傾向がみられた。

○ルールを守らない人はやばい奴

これらからわかることは、社会的規範を守らない人はサイコパスやナルシスト、マキャベリアリスト、すなわちやばい奴かもしれないということだ。
本研究にはマスクの着用は言及されていないが、モラル・ディスエンゲージメントと負の関連があることが予測される。
つまり、タイトルの通り、マスクをつけていない人はやばい奴かもしれないのだ。

○あくまで「かもしれない」

ちなみに、本記事でかたくなに「かもしれない」と述べてきたのは、本研究で得られたデータの関連が低いからだ。
それが、「傾向がある」といえる程度のレベルではないと判断したため、ここでは「かもしれない」と述べてきたのである。

○理由あってマスクができない人もいる

また、マスクをつけられない人もいることを留意しておかなければならない。
一部には様々な要因によってマスクをつけると皮膚が荒れたり気分が悪くなったりする人がいる。
現在ではマスクをつけられないという「意思表示カード」もあるので、そのことを多くの人に知ってもらいたい。

○ぼやき

それにしても、マスクをせずに長時間立ち読みするのはいかがなものか。
そんな客を強制退店させてもいいマニュアルがあってほしいものだ。

○文献

Alessandri, G., Filosa, L., Tisak, M.S., Crocetti, E., Crea, G., & Avanzi, L. (2020). Moral Disengagement and Generalized Social Trust as Mediators and Moderators of Rule-Respecting Behaviors During the COVID-19 Outbreak. Frontiers in Psychology, 27. https://dx.doi.org/10.3389%2Ffpsyg.2020.02102

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