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ロックしかねーだろ、人生は (最初の旅 vol.12)

オワッつって、起きる。
ああ、気を張っていたら寝てしまった、何時だ、PM2:00だ。
まだ到着まで6時間以上あるではないか、つらい、辛い、ツライ、辛みの極みだ。

PM5:00、もう限界だ、あー、肩、腰、尻が凄く痛い、死ぬかも。
そんなことを思っていたら電車が止まる。ん??、どこかの駅に着いたのかな、なんて思っていたらなんと、駅員的な人が弁当と水を配り始めた。
おお、そうなのか、ベトナムの列車旅は飯付きなのか、あはは、いいね。

弁当が配り終わると電車が動き始める。電車が動いていると弁当が配り辛いだろうから止まっていたなか、それにしても弁当を受け取ると汁的なもんが溢れていて手はベトベトだ。
親子三代潔癖者なおれっちは、あーあー、もー、なんて思いつつ弁当を食べようと思うが、どうも食欲がない。やはり気を張り詰めている緊張からか、常に体に力が入ってカチコチだからか。
それと午前中にホーチミンの町中を歩いたときに軽い日射病になっていたのか、頭が頭痛で痛い。

そしてまた一つ不安要素が持ち上がる。それってのは、この電車が時間通り運航しているのだろうか、ってこと。時々停車駅に着くのだが、看板を見てもベトナム語なのでどこなのか分からない。地球の歩き方を見ても、ホーチミンからニャチャンまでの停車駅は載っていないので、例え読めても今どこにいるのか、正しい運行状況なのか分からんのだ。
こんなこともおれっちを不安にさせる。隣の寡黙な青年に聞こうかとも考えたが、人見知りプラス英語が話せないという海外一人旅にはこれまたある意味反社なおれっちは何もできない。

そうこうしているとニャチャン到着時刻であるPM8:39をなんなく突破してしまっても電車は走り続ける。うーむ、おれっちが知らぬうちにニャチャンを通り過ぎてしまったのか、これまた不安が募る、体中に力が入る。電車つまりトレインは夜闇をグングングルド突き進んでいる、止まる気配はない。もうダメだ、おれっちは降り損ねたのだ、無賃乗車の罪で留置場に連れていかれてしまう、ランボーのごとく素っ裸にされて、ぶっといホースで放水をされてしまう、ああ。

そんな悦状態を楽しんでいたら電車内に構内放送的なアナウンスが鳴り響くPM9:00過ぎ。何を言っているかさっぱり分からぬが、ニャチャン、という単語が聞き取れた気がした、おお、ニャチャンには着いていなかったのだ、もうすぐ着くのだ。
アナウンスが終わると周りの人々が慌ただしくなってきた、席を立つもの、網棚や足元に置いてある荷物をまとめ始める、今までにない動きだ。今までいくつかの停車駅はあったが、それらではほとんど人が降りなかったが、今回は違う。

アナウンスから10分ほど経ってからだろうか、電車は速度を緩めて、最後には停車するという見事なランディング。客からスタンディングオベーションの嵐だった。おれっちのその群衆の一人として参加した、おれっちはスタンディングマスターベーションであったが。

ついにニャチャンの地に降り立った。9時間弱の長旅だった、疲れた、心身共にクタクタだ。

ホーチミンからニャチャン、電車で約9時間

もうPM9:00を過ぎている、辺りは真っ暗。本当に真っ暗。
さて、どうするか、ホテルは予約していない、これからホテルを探さなければいけない、命懸けだ。はぁ。

咳をしても一人、コホンコホン。 (ガサガサ) おい、大丈夫か? えっ、誰?