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年末年始繁盛日記 事始めの段 

12月13日 
正月準備を始める「事始め」の日。
奉職先の神社では夜に鎮火祭という神事の後、「みかんまき」という行事を行なう。氏子崇敬者、総代などから奉納された大量のみかんをまく行事。参列者は大きな袋を持参でそのみかんをもらって帰る。
そんな事始めの日の朝、中学生の息子と娘と、彼らが学校に行く前の会話。

私「今日みかんまきだから遅くなるよ。カレーとご飯置いとくから食べといて」
息子「もうそんな季節か」
私「誰」
娘「みかんまきって、普通にやってるけど奇祭だよね」
息子「俺 久しぶりに行って無双しようかな」
私「いや、君たちが塾に行っている頃にちょうど佳境だから無理だよ」
娘「親が奇祭やってる間に勉強。神。」


12月14日
新年のえびす祭でご奉仕する福娘さんが決定し、百貨店の鮮魚売り場を大きなまぐろと一緒に練り歩くお披露目行列。私と宮組組長は囃子方として笛と鉦で行列に加わる。その後、まぐろがさばかれていく時には、「ヨっ」「いいねっ」「光ってる」「出たっ」等の掛け声をかけて盛り上げる。黒の着物に白い帯の粋な宮組組長は「中落ち頂戴!」と挙手して中落ちをゲット。良い景色。

行列が終わった後、私の袖をぐぃっとつかむ者あり。振り向くとお買い物籠を提げたマダム。

「今日は偶然いいもん見させてもらったから、宝くじ買いに行く。3枚。」

とおっしゃる。私は「絶対当たりますよ!」と、はっぴの袖から腕を出し、なかやまきんに君の「パワー」のポーズをした。年末の百貨店の雰囲気、特に食料品売り場は独特の活気があり魅力的だ。小学生の頃、家族で上野のアメ横に買い出しに行った年末を思い出す。












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