見出し画像

【映画『ARGYLLE/アーガイル』】をApple専門誌の編集者(ちょっぴりNBA好き)が観た

■前談

東宝東和宣伝部にお招きいただき、1/31に映画『ARGYLLE/アーガイル』の試写に参加した。Apple Original Filmsが制作に関わっているとあって、本業のネタにならないかと思ったわけだ。

というのは建前で、実は私、かねてからマシュー・ヴォーン監督の作品が大好きである。大学生のときに「キック・アス」に出会い、「キングスマン」は劇場で2回観た。当然、シリーズ3部作はすべて劇場で楽しんでいる(個人的には1→3→2の順で好き)。監督作品ではないが、「イーグルジャンプ」や「ロケットマン」も観た(こういうとタロン・エガートン好きみたいだが)。

学生時代、特にキングスマンには大きく影響された。友人と「紳士会」なるものを結成し、一張羅でビシッと決め、晴れているのに傘を持ち、都内のイケている(と当時思っていた)街を散策する催しを行ったくらいだ。ちなみに、紳士会の締めはバーに行く決まりであり、慣れないマティーニをヒィヒィ言いながら飲み干した青い思い出でもある(メンバーのひとりが、バーテンダーに「マティーニを薄めで…」とオーダーしてしまうくらいの若さだった)。

とまあ前置きはこれくらいにして、「アーガイル」について話していこう。

https://argylle-movie.jp

■シンプルに映画の感想

まずは簡単なあらすじを。

凄腕エージェントのアーガイルが、謎のスパイ組織の正体に迫る大人気小説「アーガイル」。ハードなシリーズの作者エリー・コンウェイの素顔は、自宅で愛猫のアルフィーと過ごすのが至福の時という平和主義。だが、新作の物語が実在するスパイ組織の活動とまさかの一致でエリーの人生は大混乱に! 小説の続きをめぐって追われる身となった彼女の前に現れたのは、猫アレルギーのスパイ、エイダン。
果たして、出会うはずのなかった二人と一匹の危険なミッションの行方は──?

「ARGYLLE/アーガイル」公式サイトより(https://argylle-movie.jp

「キングスマン」という大ヒットシリーズを生み出したのだ。ヴォーン監督にとって、スパイ映画はオハコと言っていいだろう。当然、大きな期待をして試写会場に行った(しかもTOHOシネマズ 日本橋と超豪華)。

端的にいうと、ファンは大いに期待してかまわない。ことアクションにおいては、キック・アスやキングスマンにあったカッコよさは控えめだが、変わらぬ斬新さと派手さがある。観たことがない画、そして"正気を疑いたくなる発想”は健在だ。そして、これまたお家芸と言っていいだろう。ド派手なカラースモークが存分に使われている。新しさをブチたてつつ期待の芯を外さない感じ、さすがのヒットメーカーだ。ユニバーサル・ピクチャーズの公式Xにアップされている動画はどれもかっこいいので、これまた観てみてほしい。

一方、これまでの作品よりもコメディ要素が強めである。といっても爆笑ギャグというわけではなく、イギリスらしいウィットとユーモアに溢れた、「こいつらアホやろ」と言いたくなるようなシュールな笑いだ。アクションシーンの随所で失笑してしまった(辞書通りの意味で)。

スパイ映画らしい裏切りもいい。先に挙げた監督の過去作はいずれも、巧みなギミックで視聴者を欺いてきた。それに負けず劣らずの展開をみせてくれたと思う。

それから、エールビールが本当に美味そうだ。本作は、映画タイトルにちなみ、エールビールがなみなみと注がれたアーガイル柄のカットグラスのアップから始まる。数やシーンは失念してしまったが、、その後もうまそうなエールビールが何度か登場したと思う(思い返せば、キングスマンもギネスビールが美味そうだった)。

■Apple専門誌の編集者として

映画本編が始まる前、巨大なAppleロゴがスクリーンに映し出された時点で気分が高まった。考えてみれば、WWDCやAppleのスペシャルイベントに現地参加した経験のない私にとって史上最大のAppleロゴだったかもしれない(どうでもいいが)。

突然の宣伝。4月号が好評発売中である。画像はAmazonへのリンクなので、よろしければぜひ。

作品内もApple製品のオンパレードだ。主人公のエリー・コンウェイは、オレンジ色のiMacを素敵なデスクに設置し、「Pages」を開いて小説の原稿を執筆しているし、原稿の完成度について母親と「FaceTime」で話し合う(母親はMacBookを使っていた)。Appleを日頃追っているゆえに、iMacの壁紙がmacOS Monteryだなあなんて思いながら観てしまう。一度気になると画面の中でApple製品を探してしまい、物語への集中力が下がるのが残念だった(本当に)。

主人公で小説家のエリー・コンウェイ。映画「アーガイル」公式サイトより。

ちなみに、iPhoneも随所に登場する。レンズの数やカメラユニットの形を見て、モデルを推理してしまうのも仕事の悪い癖だ。

メタ的に面白かったのは、やはり明らかな悪者はApple製品を使っていないこと。Macがたくさん登場するのに、敵組織は謎のマシンで謎のOSを操作している。秘密のデータが入ったスマホも、やぼったい形のオリジナルアイテムだった。

そして、スパイ映画らしくパソコンがハッキングされるシーンがあるのだが、ここの描写が面白かった(やや苦しくも感じたが笑)。

主人公がiMacで執筆していた小説の内容が悪の組織に漏れていた、というシーンがある。Apple的に、Macがハックされるなんてことをフィクションのエンタメ作品であっても表現したくなかったのであろう。何がどうして漏れたのか、そのルートについてまったく言及されないのだ。部屋に隠しカメラが設置されており、物理的に覗かれたことを示唆しているようにもとれる演出があるものの、そうとは明言もせず(あるいは、某登場人物経由で…ということかもしれない)。

一方、天才ハッカーが敵組織の情報にアクセスするシーンがあるのだが、そこで使われているマシンはMacではなく、ディスプレイに映し出されている画面もmacOSとはまったくの別物だった。

また、物語の中盤以降にサミュエル・L・ジャクソンが登場するのだが、彼が3台のiPadを駆使して活躍するの姿はひっじょーにかっこいい。NBAの試合を大画面で観戦しながら仕事もバチッとこなす彼の姿は、キングスマンで演じた異常なテロリストとは打って変わって頼れる存在だ。

■余談(NBAの話)とまとめ

実はNBAがちょっぴり好きな私にとって、サミュエルの部屋に飾られたジャージにも目が吸い寄せられた。何度も何度も映るのだが、どうやらいずれも1990〜2000年台に活躍した怪物センター、シャキール・オニールのジャージのようだ。ただスーパースター時代のものに限られており、フェニックス・サンズ、クリーブラント・キャバリアーズ、ボストン・セルティックスのジャージはなかった(はずだ)。

ちなみに、サミュエルが観ている試合はロサンゼルス・レイカーズ対ロサンゼルス・クリッパーズのLAゲーム。レブロン・ジェームス、アンソニー・デイビス、そしてカワイ・レナード、ポール・ジョージの姿が見えることから、少なくともここ数年の試合であることは間違いない(余談の余談だが、私はクリッパーズのテレンス・マンが好きだ)。

それにしても、なぜLA対決なのだろう。サミュエルといえば、サンアントニオ・スパーズのスーパーファンとして知られているのに。〝ちょっぴりNBAファン〟なので、残念ながらそれ以上のことはわからない。

サミュエル・エル・ジャクソンのInstagramには、NY KNICKSのスーパーファンとしてしられるスパイク・リー、NBAのレジェンドであるマジック・ジョンソン、チャールズ・バークレーが登場する動画(おそらくCM)が公開されている。とてもよい。

なお、同じ部屋の壁面には、ほかにもロサンゼルスのプロスポーツチームのグッズが多数飾られているので、ファンの方々にはぜひその詳細を教えてほしい。

そんなアーガイルは、本日より全国で公開される。映画好きはもちろん、マシューボーン監督好き(特にキングスマン)には無論おすすめだ。Apple好き、NBA好き、アメリカスポーツ好きたちは、ちょっとメタな視点で楽しんでみてはいかがだろうか(PRみたいになってしまった)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?