【書評】Pythonによる経済・経営分析のためのデータサイエンス~分析の基礎から因果推論まで

今回ご紹介する書籍はこちら。
かなり辛口な内容になっているので、そういうのが苦手な方は読まないで欲しい。

「経営分析のためのデータサイエンス」というフレーズで興味をもったので買ってみたのだが、私自身には何も役に立たなかった。
著者が経営の実務者ではなくアカデミックである事と、対象読者を見ると、あまり真面目でない学生や社会人向けのようなので、それは仕方がない。Pythonの逆引き辞書もあるので、対象とされているプログラミングやデータ分析と無縁であった初心者には、読みやすいのかも知れない。

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なのだが、それでも雑すぎる。特に後半の内容が投げやりな感じで、初心者向けとはいえ良く書籍にしたな、という印象だ。このまま鵜呑みにすると事故が起きてしまうのではないだろうか。

例えば、第5章で事例をベースに回帰分析を行っているが、2つ目の例から決定係数が総じて低い。いくら解釈が目的といってもそれはないだろう、というくらい低い(0.015とか)。個人的な感覚ではあるが、せめて0.4前後は欲しいところだ。ところが、本書では、以下のようにお茶を濁している。

決定係数はまだまだ高くないので、いろいろなパラメータを入れて解析をしてみたいところです。
是非、読者の皆さんも自分なりの変数セットで説明力の高いモデルを作成して下さい。

せめて、このままでは使い物にならない、という事は書いておくべきだ。1〜2%程度しか説明できていないモデルで意思決定なんて恐ろしくて出来ないだろう。
おそらく、いろいろ試したが結果が出なかった上に時間がなくて他のデータでやり直す時間が無かったとか、そんな所ではないだろうか。

さらに、第6章に関しては、Pythonのコードでページ数を稼いでるとしか思えない内容である。読み込んだデータフレームからわざわざ利用する変数を一つずつ取り出して結合するなど、素で書いているとしたら初心者レベルだ。各手法の説明もほぼ無く、何が目的で何がうれしいのか、が書かれていないので初心者は混乱するのではないだろうか。初心者向けの書籍は、後半は読まれないことが多いので問題ないという判断なのかも知れないが、ピンポイントでその辺を知りたい中級者が買うとがっかりしてしまう内容である。


かなり辛口に書いたが、「経済・経営分析のためのデータサイエンスを大雑把に知りたい」という非技術者には読みやすい書籍だとは思う(思いたい)。細かい話は技術者に任せれば良い。逆に、技術者は初心者であっても別の書籍で学ぶべきだ。例えば、データサイエンス界隈で有名なTJO氏が推薦図書を紹介してるので参考にすると良いだろう。



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