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独自解釈。FarCry6の感想と考察。なぜ後半に行くほど後味が悪くなるのか。


※ネタバレ注意

超人気FPSシリーズのFarCryですが、6をクリアしたので感想を書きます。
結論から言うとゲームとしては面白かったが、ストーリーは後半に行くほど胸糞というか釈然としない感じでした。
「つまらない」訳ではないんです。しかしもっとベストエンドがあったのでは?と感じてしまいました。
最初にメインをクリアしたときはバッドエンドなのかなと思いました。

がっつりとネタバレに成りますので注意してご閲覧ください。


①今作の「狂気」とは反乱軍側、ないしヤーラの歴史では無いのか

まずファークライシリーズは、「狂気」がテーマです。
パラノイア(偏執病)だったりサイコパス(罪悪感皆無)な敵キャラクターに戦慄しながらも彼らを倒していくパターンが多かったです。

今作のファークライ6は狂気とは誰から感じたかと言うと、反乱軍(リベルタド)の側からでした。
確かにカスティロ大統領は冷酷な独裁者です。
労働者の命をゴミくずのように扱う、人体実験、裁判なき処刑、秘密警察や軍によるヤーラ人への弾圧、、、。
しかしそれらは第三世界(南米やアフリカなど)では珍しい事ではありません。
ヤーラは開発途上国であり、民主主義や資本主義経済を導入しても上手くいかないのではないでしょうか?さらに銃火器や麻薬などが蔓延していて戒厳令(軍隊行政)をしかないと治安は言わずもがなカオス化するでしょう。
しばらくはカスティロの開発独裁も必要だったのでは無いでしょうか。

リベルタード軍は「カスティロを倒した後のビジョン」をほぼ持っていません。「民主的な選挙」をやりたいと暫定指導者のクララは言ってましたが、
その選挙の候補者や選挙管理委員会も決まっていません。
そしてクララが居なくなってしまい主人公が暫定指導者となりますが、主人公のダニーは「政治はごめん」だといいます。
結局はヤーラは象徴となるような指導者を失い無政府状態になってしまったのです。ヤーラとは主人公たちの反乱によりカオスへと導かれたのです。


②なぜカスティロは息子ディエゴを〇したのか?

ファークライ6(以下FC6)では、後味が悪いと言うよりも釈然としない(納得できない)エンディングでした。
なぜディエゴはあそこで死ぬのか?
大統領は死んでも、ディエゴは生き残ってリベルタード軍と手を取り合うグッドエンドは無かったのかと。
「僕の父も、僕の祖父も過ちを犯しました。せめて僕は先祖の因縁を断ち切りたいのです。そしてそれには反乱軍と手を取ると言う選択肢があると思います。」とディエゴに言わせても良かったと思います。

しかし後味が悪いエンディングで有名な、ファークライシリーズはそうはさせませんでした。
アントン・カスティロ大統領は、息子はまっとうに育ててやると言ったリベルタ―ド軍に「嘘だ。」といって自害します。

嘘だ。とは何に対して言っているのか?
おそらくアントン大統領は、自分が子供の頃に67年反乱の時も同じことをゲリラ(エル・ティグレ?)に言われたのではないでしょうか?
「お前は処刑されるが、息子は助けてやる。」と。

しかし大人になったアントンは結局は父親と同じような独裁者になりました。アントンの暴政は根本にヤーラへの復讐があると思います。アントンは深層心理では、ヤーラ人を見下して恨んでいたのかもしれません。自分の父を殺したのもありますがヤーラ人は結局は革命と独裁の繰り返し。常にお互いに争い、時の政権に暴力革命をして反発はするがその後の国家ビジョンを持たない。
ヤーラ人には国家を理性的に運営する気持ちも能力もないと。

アントン大統領の「嘘だ。」は結局は自分がかつての父と同じような立場になってしまったという意味だったと思います。

ヤーラの歴史の輪廻は変わらない。
ならばこのスパイラルからカスティロ一家だけでも救うには、直系のディエゴを殺すしかなかったと。
仮にディエゴが生きていて、リベルタ―ドと手を組んでも結果は同じで、復讐の鬼としてディエゴは暴君になるだけだと思ったのではないでしょうか。


③癌に効くと言われてるヴィヴィロとは何なのか?


今作で、アントン・カスティロ大統領の軍事独裁政権の資金源でもあるヴィヴィロですが、癌に効くと言われて注目されていますが、実際には癌の進行をゆるやかに遅らせるだけなのです。
つまり根本的な問題の解決には成らないのです。

これはヤーラの歴史の象徴でもあります。
スペインからの独立、67年の共産主義勢力による革命そして昨今の民主化運動革命どれも結局は「問題の先送り」であり、なんの解決にもならないのです。革命でヤーラは変わるのか?いな、残念ながら現政権への不満が一時的に解消されるだけで、結局は先延ばしにすぎなのです。

ヴィヴィロは、特殊な薬品をタバコの葉っぱに吹きかけて生産されますが、
この「赤い薬品」は「ヤーラ人の血」のメタファーではないでしょうか。
そして多くの血が流されますが、それは問題の先延ばしにしか効果が無いと。


④ではヤーラが安定化するにはどうすればいいのか。結局は大国の干渉しかないのか。


ではヤーラが歴史の負のスパイラルから抜けるにはどうしたらいいのか。
結局はCIAを通じて親米政権としてアメリカの衛星国に成るしかないと思います。
ヤーラは銃火器や麻薬が蔓延しており、とても民族自決(独立)しても正常な政治が行われるとは思えません。
やはり今後はしばらくは大国の干渉を受けるしかないと思います。

良くも悪くも日本国がアジアで真っ先に繫栄したのは、外国勢力の干渉を受け入れたからだと思います。
ヤーラは民族主義や愛国主義を捨ててでもアメリカ帝国主義の干渉を受けて、国家としての枠組みを作ってもらうしかないと思います。


⑤黒幕としてのフアンとCIA。

今作の内戦の黒幕として考えられるのが、CIAとその仲介役のフアンです。フアンは元KGBの工作員で、冷戦崩壊後は世界各地で戦争ビジネスに手を出しています。そしてその中でモサッド(イスラエル情報機関)やCIAともコネクションがあります。
カスティロは反米感情が強くて、ヴィヴィロをアメリカには輸出しないと決めています。
カスティロ政権の打倒には米国が関与している可能性があります。
動機はヴィヴィロの利権でしょう。
早くヤーラに手を出さないと、ロシアや中国に先を越されるという焦りもあったのかもしれません。

フアンは最初の頃は「軽いノリのフランクなイケおじ」として登場しますが、だんだんと本性が現れてきます。
軽口やジョークが多いのもそれを隠すためなのかと疑いたくなります。

彼はCIAとのコネクションをちらつかせます。
私はこれでファークライシリーズのCIA工作員ウィリスの事を思い出しました。
そして驚くことに物語のエピローグでは、ファークライ3の敵役で海賊の指導者「バース・モンテネグロ」と密輸の会話をしているのです。
この戦争の勝利は戦争屋でCIAの協力者であるフアンなのでしょう。
つまりヤーラは結局は大国の干渉に負けているのです。


まとめ ラスボスは「ヤーラの歴史」と「カスティロ家の運命」だった。


FC6のゲームソフトのパッケージにはカスティロ親子が書いてあります。
そう、今作のラスボスは「歴史の繰り返し」なのです。
だから親子が書いてあるのです。
それまではボスキャラが1人で前に出ていたのに。
先祖からの因縁、運命こそがラスボスなのです。
そしてそれは本人たちの意志では断ち切ることが不可能で、フアンのようなトリックスター(意図しない介入者)によって変わろうとしているのです。





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