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なぜ戦争は無くならないのか?民族の利益のために「戦わない」選択をしたのに国民から国賊あつかいされたアルメニア首相

・終わりなき戦争と言われたナゴルノカラバフ戦争が、驚くほど速く終わった



アルメニアとアゼルバイジャンという国は40年以上ずっと戦争をしています。ナゴルノカラバフ地域をめぐる紛争は30年以上は続いています。詳しい経緯は長くなりすぎるので省きますが、2023年9月19日、アゼルバイジャン軍は(トルコの支援を受けて)、ナゴルノカラバフ地域に総攻撃をしかけました。わずか2日でナゴルノカラバフ軍は降伏して、アゼルバイジャンの勝利となりました。

ナゴルノカラバフ地域は住民のほとんどがアルメニア人でしたが、アゼルバイジャン政府側は自分らの領土だとしていました。
(ソ連時代には実際にアゼルバイジャンの自治領でした)

30年も続いたこの戦争がアゼルバイジャンの勝利で幕を閉じたのはずばりアルメニア軍が戦わなかったからです。
ナゴルノ・カラバフ地域政府にはナゴルノ・カラバフ国防軍という軍隊がありましたが、これはアルメニア本土の軍隊を連携することを全体としていました。
アルメニア政府のニコル・パシニャン首相はロシアが提案した停戦合意を受け入れて「ナゴルノ・カラバフからのアルメニア軍の撤退、武装組織の解散と武装解除」で合意しました。


・愛国者は民族の誇りの為に戦争を望む

このことからアルメニアでは愛国的な国民達から「パシニャンは売国奴だ」「ロシアはアルメニアを守らなかった嘘つきだ」と反発する暴動が起きました。一連のアルメニアの愛国者らの行動を見ていて、やはり戦争は人類からまだまだ無くなりそうにないなと思いました。

パシニャン首相の「戦わない」という戦略的降伏は十分合理性があるものなのです。しかし悲しいかな「恋は盲目」というように「愛国心は破滅への快速電車」なのです。

・軍事力の運営に必要なのは感情(愛国心)よりも冷静な理性


過去の私の記事を読んでくれたら分かると思いますが、私は憲法改正に賛成です。内閣府の指揮系統強化のために緊急事態条項にも賛成です。
さらに自衛隊を自衛「軍」の漢字表記にすべきだと考えてるし、小型戦術核の保有も賛成です。すべての小学校で国防知識教育もやるべきだと思っています。私は「自衛戦争」は主権国家の権利として認めるべきだと思っています。
しかし同時に「戦争の回避を政治の第一の目標」とするべきだとも思っています。
戦争とは侵略戦争が良くないのは当然として、自衛戦争であってもやらないのが一番なのです。
戦争とは人命の大量の消耗でありそれ自体が国力の浪費なのです。
また軍隊とはそれ自体が国費を消費しても生産性は低いのです。


・アルメニア軍はまず勝てない

アルメニアの政府が今回、「降伏してナゴルノカラバフ地域を放棄する」という選択肢をしたのはやはり「勝てないから」が大きいと思います。
アゼルバイジャンにはバクー油田があり、カスピ海の資源もあります。
さらに超金持ち国家のトルコが同盟国として援助しているのです。
アルメニアは士気こそ高いけれど、軍事力も経済力もアゼルバイジャンには負けるのです。
ならばナゴルノ・カラバフ地域で「民族の誇りの為に銃を手にする」という選択肢をしたら大量のアルメニア人はせん滅される運命なのです。

もちろん「戦わないで侵略者に占領されても人権侵害が起きる」という反論があるでしょう。
しかしウクライナ戦争で証明されたように侵略軍を押し返そうとして戦争をしても、産業基盤は破壊されて大勢の死者が出るのです。
勝てない戦争をするならやはりある程度の犠牲は覚悟したうえで、避難ルートを確保したうえで降伏すると言うのは賢い選択だと思います。
恥や面子(メンツ)を捨ててでも実益(人命)をとるか、その逆かです。

ナゴルノカラバフ地域のアルメニア人は出来るだけ多くアルメニア本土に避難する。残留者は、アゼルバイジャン人と同化して平和共存を目指す。
これしかないと思います。
もっとも口で言うのは簡単ですが。

・「領土を捨てる」という選択肢は有っても良いのではないか


「戦争を回避するために領土問題がある係争地は放棄する」という選択は有ってもいいと思います。
私は韓国と戦争をするくらいなら竹島は放棄したらよいと思ってるし、
尖閣諸島も台湾に譲ったら良いと思います。北方領土にしてもロシアの領有を認めたら良いと思います。
命を捨てるくらいなら、領土を捨てた方が良いと思っているのです。
もちろん、それ以上侵攻されても困ります。なので自衛軍や小型戦術核兵器も保有した方が良いし、憲法改正もしたらいいと思います。(憲法9条は自衛戦争や自衛戦力はそもそも否定してないですが)

しかしその主張はどの政党も、どのマスコミも流しません。
まず悲しいことにどの国の政府も自分が間違っているとは認めないのです。
政府が自分らが間違っていると認めると国民に支配の正当性を疑われるのです。
なので政府は「我が国は常に正しい」とプロパガンダしなければなりません。
さらに政党も「選挙の為に愛国的スローガンを唱える必要があるのです」

社民党や日本共産党も普段は「平和主義」を唱えてますが、彼らもしょせんは選挙に勝って議席が欲しいのです。
なので「領土を譲る」なんて口が裂けても言えないのです。
仮に自民党が韓国に竹島を譲渡したとします。すると野党は必ず「自民党は売国だ」と非難するでしょう。

安倍晋三さんが北方領土をロシア領土と認める事を示唆すると、
立憲民主党など野党勢力は「安倍晋三総理は北方領土を売り渡した」と批判してました。
しかしこれは奇妙な話です。
野党は普段は「軍拡に反対!戦争反対!憲法改正反対!」と主張しているのです。
普段は安全保障や国防に反対してるのに安倍晋三さんに反対するために領土問題では過激に出ろと言っていたのです。

・戦争を望むのは「普通の市民」の愛国心である

やはり戦争を望むのは「民族の誇り」と「愛国心」なのです。
勿論、どの国も侵略戦争から身を守る権利があります。
なので自衛戦争をする権利があるし、国防軍や核兵器の保有の権利もあります。上記したように私も憲法改正は賛成ですし、自衛隊は自衛軍にして最終的には日本国防軍したら良いと思います。また小型戦術核兵器を保有したらよいと思います。

しかし「領土問題の解決のために戦争をするべきか?」と言われたら私は戦いません。
勿論、日本本土が侵略軍に占領されたらレジスタンス活動に参加するかもしれません。
しかし、離島防衛とか竹島や尖閣諸島の為に戦争をするだとか、まして台湾有事で戦うなど私は自己利益のためにやりません。
領土問題とは政府の意地とプライドのために行われてるのがほとんどなのです。
私は自分の利益に成らないなら戦争には参加しないつもりです。
出征して月収100万円で福利厚生費付きなら考えるかもしれませんが・・・。

・「戦わない」選択肢でパシニャン首相は多くのアルメニア人を救った

パシニャン首相はナゴルノカラバフ地域を放棄して、戦わない(全面降伏)して多くのアルメニア人の命を救ったのです。
本当なら、ノーベル平和賞は勿論、全国の日本の小学校にも憲法9条よりも平和主義を体現した人として、二ノ宮の銅像の代わりに銅像が建てられてもいいくらいです。
しかし現実では「戦争よりも負けて平和」を選んだ徳川慶喜(よしのぶ)のように歴史的には低い評価に成るでしょう。

愛国や国益を唱えて戦争をする勇気よりも、非国民や国賊と言われる覚悟で戦争をしない勇気の方がある意味、勇気がいると思います。
やはり普通の市民らが「民族の誇り」や「愛国心」は良くないんだと気が付かないと人類から戦争は無くならないと思います。

どこかで国防と自衛戦争に備える一方で、敵への妥協と諦めも必要だと思います。
敵国に負けることもやらないと戦争は永遠に終わらないのです。









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