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#8 『うまいパスタを作る8つの秘訣』


パスタの調理そのものは基本的に麺を茹でてソースと絡めるだけですので、それほど難易度は高くないはずなのですが、お店で食べるパスタと自宅で作るパスタとでは美味しさが全く違うと感じていらっしゃる方は多いことかと思います。

もちろん何か少しのコツを覚えたからといって長年にわたり知識と技術を磨き上げてきたプロのシェフと同レベルのパスタが作れるようになるなんてことは無いのですが、僕が多くの人がご家庭で作られているパスタをネットやSNSなどで目にした時、『ここを少しだけ変えたら一気にレベルが上がるのになぁ。せっかく手間ひまかけて作ってるのにもったいないなぁ…。』と感じてしまうポイントがいくつかあります。

今回はパスタをご家庭で作る際にこれを実行するだけで美味しさのレベルが数段階あがりますよ、という多くの方が見落としがちなパスタ調理における8つの秘訣をご紹介します。

すでに実行している項目はそのまま継続実行していない項目があればぜひ次回作る際にでも取り入れてみてください

きっと絶大な効果を実感していただけることかと思います。

① ブランドにこだわる

まず多くの人がパスタのブランドにあまりにもこだわっていないという現実があります。スーパーで安売りされている大袋商品や短時間調理をウリにした国産パスタなど利便性や経済性を優先して適当にパスタを選んでいる方が実に多いようです。

そういう人はおそらくパスタなんて、どこのメーカーのものでも大して変わらないと考えているのでしょう。だから、どうせなら少しでも安いもの短時間で作れる便利な商品を買うのだと思います。

ですが、これこそが美味しいパスタを作る上で多くの人が見落としがちな最初の間違いです。

一度、お米に置き換えて考えてみてください。激安の生活応援ブレンド米新潟県産コシヒカリの美味しさは同じでしょうか?…いいえ、実際に食べ比べれば小学生でも一口で分かるほど完全な別物です。

パスタの麺そのものにもメーカーによって味わい、コシ、歯ごたえ、風味、ツヤ、仕上がり、ソースとの絡み具合など厳しい品質基準や売りとしている特徴があるのです。

パスタを日々の主食とし、特に食にうるさいイタリア国内においてトップブランドの地位に登りつめ、世界中のシェフからも認められているメーカーのこだわりや品質はやはり他の三流商品や無名ブランド商品とは明らかに一線を画しています。

日本ブランドも独自に研究や努力を重ねてはいますが僕から言わせれば現地メーカーの足元にも及びません。これはもう、そもそもの歴史や風土からして違うので仕方がありません。日本人のニーズに合わせた商品開発に力を入れているため国内では一定のシェアを確保していますがイタリアのスーパーに並んでいても誰も買う人はいないでしょう。

お米とは違い、パスタの価格差なんて無名のものトップブランドのものでもほんの数百円くらいです。しかも家庭ではパスタを毎日のように作って食べるわけではなく、多くて週1回、一般的には月1~2回程度しか作らないと思われます。

少しだけ予算を追加し、騙されたと思ってパスタのブランドにこだわってみてください。

でもイタリアのパスタブランドなんて知らないし、どこのものを買えばいいのか分からないという方も多いことでしょう。

以下は僕が今までに食べてきた中でも特に信頼を寄せているイタリアの有名パスタブランドをおすすめ順にランキングしたものです。これらのブランドは日本のスーパーや輸入食品店などでも比較的よく見かけるものばかりで、ネットでも容易に手に入りますのでご参考にされてください。


[僕のおすすめするパスタブランドランキング]

第1位 DE CECCO(ディ・チェコ)
第2位 AGNESI(アネージ)
第3位 DELVERDE(デルヴェルデ)
第4位 Voiello(ヴォイエロ)
第5位 Barilla(バリラ)


メーカーごとにそれぞれ独自製法によるこだわりがありますので人によっては僕が1位に選んでいるものより、に選んでいるブランドのものの方が美味しいと感じるようなこともあるかと思います。これはコシヒカリよりもあきたこまちが好みだという理屈と同じことで各社に品質的な優劣があるわけではありません。

できれば1位から5位までのパスタを全て食べ比べ、自身の好みや特徴の違いを自らの舌で実感していただければと思います。

また人の好みは年を追うごとに変化し、メーカーも品質改善を重ねていくものですので5年後には別メーカーのほうが好みに近くなっていたりすることも充分に考えられます。僕も20年前からベスト5はコロコロ入れ変わっていますが大体パスタを作る際にはこの5つのメーカーのうちのいずれかを使っています。

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② 太さや形状にこだわる

パッと見では似ているように見えるパスタでも太さや形状に微妙な違いがあることはご存知でしょうか。

ブランドの次に注目していただきたいポイントはこのパスタの太さと形状です。これを変えるだけで味わいや食感にも想像以上に大きな変化が生じるからです。

一般にスパゲッティとして認識されているのは太さ1.6㎜~1.9㎜断面が円形のロングパスタのことですが、イタリアではさらに細かく細めのスパゲッティを『スパゲッティーニ』、中間くらいの太さのものを『スパゲッティ』、太めのスパゲッティを『スパゲットーニ』と呼んで区別しています。

そしてスパゲッティーニよりもさらにひと回り細い1.4㎜~1.5㎜くらいのものを『フェデリーニ』、さらに0.8㎜~1㎜の極細パスタを『カペッリーニ』と定めています。

[イタリアでは通じないイタリア語]
余談ですが日本では一般に『カッペリーニ』と認識されていますが、これは『カペッリーニ』という発音が日本人には少し言いにくいために都合よく作り変えられた造語であり、本来は『カペッリーニ』が正しい名称です。同じように『カプチーノ』も正しくは『カップッチーノ』ですし、『アラビアータ』も『アララッビッアータ』のほうが本来の発音に近いです。日本人が日本国内で使う分には何でも良いのですが一応、知識としては知っておいてください。

どこぞの外国で言いにくいからといって日本の『天ぷら』を『ドンブーラ』という名称で販売されていたりすると違和感を感じますし、そのまま日本人に言っても通じませんよね。言いにくかろうが何だろうが発祥地の正しい呼称への敬意を忘れてはいけません。


パスタには太さの違いだけでなく様々な形状の違いもあり、そのバリエーションは実に500種類以上ともいわれています。

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現地ではスーパーの巨大な商品棚が端から端まで全てパスタということも珍しくないくらい多数の種類が並んでいますが、中でも日本で入手しやすく人気のあるパスタをいくつか紹介します。


[リングイネ]
リングイネ』は太いスパゲットーニを上から押しつぶしたような、やや平たく断面が楕円形になっているロングパスタです。

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[フェットチーネ]

フェットチーネ』は地域によっては『タリアテッレ』とも呼ばれている平たいきしめん状のパスタです。きっと、どこかで見かけられたことはありますよね。

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[ブカティーニ]
ブカティーニ』はストローのように中心に穴の空いた長いマカロニ状のロングパスタです。ちょっと珍しいのでその辺のスーパーには売ってないかもしれませんがネットでは広く出回っていますので入手はそれほど難しくありません

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パスタの解説はキリがないので詳しい説明は端折りますが、スパゲッティに似た形状の乾燥ロングパスタで日本でも入手しやすいものといえば、このあたりが主要どころかと思います。


ご家庭でパスタの太さや形状を使い分ける上で押さえておくべきポイントは1つだけです。

薄味は細麺、濃厚は太麺。

料理なのでルールに縛られず自由に作ればよいのですが、あらゆる食材には味付けとの相性というものが少なからず存在します。基本的に繊細な味付けには細いパスタ、ソースが濃厚になっていくほど太めのパスタや厚みのあるパスタが好相性になっていくということだけ覚えておけば十分です。

例えばペペロンチーノやアサリを使ったボンゴレ・ビアンコなどオリーブオイルの香りと野菜や魚介出汁などの繊細な風味を楽しむようなあっさり系パスタにはフェデリーニスパゲッティーニなど細めのパスタが良く合います。しょうゆやポン酢、タラコや明太子、キノコや海苔などの香りを活かした和風系にも細めのパスタがおすすめです。

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ただ、細めのパスタが良いとはいってもカペッリーニくらいの極細麺になると逆に大量には食べづらくなってしまいますカペッリーニは日本のそうめんに近い感覚冷製パスタとして少量を使用したり、にゅうめんのようにバラバラに折って野菜スープに加えたりといった使い方が一般的です。単純にスパゲッティの代用としては扱いにくいので注意が必要です。

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1.7㎜前後のスパゲッティはオールラウンダータイプであっさり系からこってり系まで幅広く使えます。一番使い勝手の良い太さですがソースのタイプによっては他のパスタを選択したほうが、より一層美味しくなる場合も多々あります。固定観念にとらわれず、普段食べたことのない太さや形状のパスタにも挑戦することでパスタの世界が一気に広がります。

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1.9㎜くらいのスパゲットーニこってり系のパスタに良く合います。チーズやクリームを使ったパスタをはじめ、日本で親しまれている『ナポリタン』なんかにもおすすめです。汁気の多いパスタよりはネチネチとした濃厚なソースとの相性がよいです。

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独特の形状をしたリングイネも太めなので濃厚なソースに良く合います。バジルペーストを使ったジェノヴェーゼワタリガニやエビを使ったトマトクリーム、複数の魚介の旨味を濃縮したトマトソース(ペスカトーレ)などにも良く使われています。

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フェットチーネタリアテッレは特にサーモンクリームキノコクリームなどの濃厚なクリームソース系パスタとの相性が抜群です。クリームソース以外にもミートソースなどの煮こみ系ソース(ラグー)にも良く使われます。イタリアの正統派ミートソース(ボロネーゼ)には、このタリアテッレしか使われません

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ブカティーニはローマ発祥のアマトリチャーナカルボナーラに使われるのが定番です。うどんのように太くプリプリした食感で、長いままでは食べにくいため、普通はゆでる前に半分に折ってから使われます。

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その日に予定しているソースや味付けと相性の良さそうな形状(または太さ)のパスタを組み合わせることで、いつもと同じはずの味わいが驚くほど変化するという驚愕の事実をぜひ体感してみてください。


③ 塩分濃度2%で静かに茹でる

パスタ調理の基本として茹でる時のお湯にを加えるという説明は良く見かけられるかと思います。塩分濃度の目安は1%程度。お湯の量が3リットルなら30gのがちょうど良いと言われています。少し塩辛いお吸い物くらいと表現される濃度です。

お湯にを加える理由は厳密には色々あるのですが、もっとも重要なのはパスタに下味を入れるということです。乾麺に味のお湯を吸い込ませることで、ソースがなくてもゆでしたパスタだけを食べても美味しい状態にするのです。

ソースの味を濃くしてもパスタを噛んだ時に麺の中身に味がなければ口の中で一体感は損なわれてしまいます。それならば麺そのものにあらかじめ程よいを付けておき、その分、ソースの塩分濃度を下げてバランスをとったほうが具材の味や風味などもソースの濃さに邪魔されることなく活きてくるといった原理です。

最初に述べたように一般的には1%と言われている塩分濃度ですが僕はあえて2%の濃度にされることを推奨します。つまり3リットルなら60gのを入れるということになります。感覚的にはしょっぱくて飲めないレベルです。

そして、パスタのソース側にはほとんどは使わないようにするのです。

ただ、それだとパスタの麺にはがあるけどソースには無いからバランスが悪くなるじゃないか…と思われるかも知れませんがそうはなりません

なぜなら茹で上げたばかりのパスタ麺の周囲には湯切りをした後でも、たくさんの水が残っているからです。パスタの麺をソースのフライパンに加えて混ぜ合わせた瞬間、一気にソース側にも味が入るのです。

そして、もしソースと麺を合わせた後に少し味見をして気が足りないと感じた時は食塩を加えるのではなく、この塩分濃度2%の茹で汁を加えて調整するようにします。

茹で汁にはパスタから溶け出した小麦粉の成分が混ざっており、のように固形物ではないためソースに素早く馴染み生のを加えるよりもまろやかに濃度を調整できるため失敗しにくくなります。

特に料理のプロでない人は味付けに時間がかかりがちです。後でも説明しますがパスタは茹で上がった瞬間からはスピード勝負です。を少し入れて混ぜて溶かし、味見をして首をかしげ、またを足して混ぜて溶かし、味見をして首をかしげ…と繰り返していると確実に不味くなっていきます

理想としてはソースとパスタを混ぜた時点で完成。味を再調整するにしても茹で汁を1回だけ加え混ぜた時点で完成するくらいがベストです。

お湯の塩分濃度を2%に設定することで、それが簡単に実現できるようになります。

また、良質なブランドパスタの表面にはソースが絡みやすくなるよう、わざと製造工程で微細な傷が付けられています。

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茹でる時の火加減が強く、お湯が激しく煮立っている状態だとパスタの麺同士が激しくこすれ合うことで、このせっかくの微細傷がほとんど削れて無くなってしまいます

表面の傷を失わないよう、お湯のグラグラした状態をかろうじて維持できる程度の火加減に調節し、麺同士がくっつかないよう放射状に広げて静かに茹でていきます。あとは茹でている途中で1度だけ全体をやさしく混ぜるくらいで十分なので、それ以外はなるべく触らないようにしましょう。

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④ 表示より1分短く茹であげる

パッケージに書かれている茹で時間はパスタがベストな状態に仕上がる目安時間です。逆に言えば、それ以降は時間が超過する毎にどんどん劣化していくと考えてください。

つまり、パスタを最高の状態に仕上げるには湯切りをしている時間やソースと混ぜ合わせている時間も考慮に入れて逆算しなければなりません。

プロは茹で時間ジャストや30秒前にあげたりしますが、それはその後の工程を高速で仕上げる技術を有しているからであり、家庭ではどうしても手際が悪く時間もかかりがちです。

そこでパッケージの茹で時間よりも1分短くタイマーを設定し、タイマーがなったら少し固いように見えても思い切って湯切りしてしまいましょう。

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湯切りする際はシンクに小さなボウルをおき、その上に手付きザルを置いてのパスタをお湯ごと流し込み手付きザルだけを持ち上げてお湯を切ります。これはパスタの味を調整する際に茹で汁を使うかもしれないのでボウル少し残しておきたいためです。

20秒程度で速やかに作業できる自信があればトングからパスタだけをつかみ上げ、軽く湯切りしながらソースのフライパンへ直接移していっても構いません。僕は自宅ではいつもそのようにしています

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湯切りしたパスタはソースを作っておいたフライパンに加え、火にかけて手早くあえます。下手にプロのマネをして激しくあおったりすると冷めてしまうので菜箸トングなどでしっかりと混ぜわせればフライパンをあおる必要は一切ありません

火を止め、麺1本だけでは味が分かりにくいので2~3本のパスタを手にとって味見し、塩加減が弱ければとっておいた茹で汁を少量だけ加えて味を整えます。

あらかじめ用意しておいた皿に素早く盛り付けたら余計な間を置かず、できるだけすぐに食べ始めます。これだけでも美味しさは数倍UPします。

ちなみにトマトソース系パスタの場合のみ、さらに30秒ほど早く上げ、少し多めのソースと一緒に20秒~30秒煮てやることで麺にもトマトソースの旨味が染み込み、より一体感が増します

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⑤ 全ての下準備をしてから作る

パスタを作る時は食材から食器調理に使う道具まで全ての準備を整えてから実調理に入るようにします。

1. に水を量って入れ、火にかけて沸かす。
2. 水の量に対して2%のも小皿に量っておく。
3. 具材のカットや調味料の軽量なども全て済ませておく。
4. 仕上げにかける粉チーズオリーブオイルなども用意。
5. 手付きザルフライパンなどの調理道具もスタンバイ。
6. パスタの皿やフォークなどの食器類も食卓にセット。
7. パスタ以外のサラダやパンや飲み物なども先に準備。

ひとたびパスタを茹で始めるとノンストップで仕上げから食べるところまで流れていかなければ本当に美味しいパスタを味わうことはできません

そのために重要なのは作っている最中にバタバタしたり、時間に焦ったりしないようにすることです。

いざ麺を茹で始めてから野菜を切ったり、調味料を量ったりしていると思いのほか時間がかかってしまい、すでにパスタが茹で上がっているにも関わらずソースが完成していなかったり、せっかく手早く作っても食器やサイドメニューを準備している間に麺がのびてしまったり冷めてしまってはそれまでの努力が全て水の泡です。

スムーズにパスタの調理工程を終え、完成直後からすぐに食事を始められるよう、あらゆる準備や環境を事前に整えておくこと。

多くの人が軽視しがちな重要ポイントです。

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⑥ 絡めるだけで炒めない

たまにパスタを焼きそばと同じ様な扱いで炒めている人を見かけますがパスタとは炒めるものではなく、ソースと手早くあえるだけのものです。

オリジナル創作メニューとして意図的に焼きパスタを作っている場合を除き、ペペロンチーノからトマトソース、クリームソース、和風パスタなどいずれも炒めるような作り方をすると100%まずくなってしまいます

パスタとソースを合わせてから火にかけるのは、そこからさらに加熱調理をするためではなく、100%出来あがっているソース100%出来あがっているパスタを絡め合わせている間、冷めないように保温する目的のためだけです。

つまり少しぬるくなっても良いのであれば、ソースとパスタを合わせてからは本来、火を使う必要すらないものだということです。

ここを勘違いし、炒めている工程だと捉えているとソースの水分が蒸発してパサパサになってしまったり、麺に火が入りすぎてアルデンテの歯ごたえが無くなってしまったりと仕上がりに大きな悪影響を及ぼします。

茹で上がったあとは、とにかく素早くソースと絡めて1分以内にに盛りつけるだけだということを強く意識しておきましょう。

この認識だけでパスタの仕上がりが180度変わります

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⑦ 盛り付けにこだわる

食事をする時、人間は五感を使って『美味しさ』を感じています。

[五感]
・ 視覚 ・ 聴覚 ・ 触覚 ・ 嗅覚 ・ 味覚

ここで意外なことは食事を美味しいと感じているときの五感の割合は視覚がその87%をしめているということ。そして、実際に舌で感じている味覚とはまさかの1%に過ぎないといわれています。嘘のような本当の話です。

実験として目隠しをした状態で食事をすると『生のジャガイモをりんごと信じきって美味しそうに食べる』、無味無臭の赤い色素を入れただけの白ワインを飲むと『色素を入れていない同じワインを飲んだ時と味の評価が大きく異なる』など視覚情報によって味覚が鈍くなり、食べ物に対する識別能力大幅に低下するという研究結果世界中で報告されています。

分かりやすく言うと美味しそうに見えるパスタは実際に美味しく感じ、マズそうに見えるパスタは実際にマズく感じるということです。

フライパンでパスタとソースをあえる際、最後に菜箸トングでパスタを掴み、中心付近で円を描くようにかき混ぜると遠心力で具材やソースがフライパンの周囲に集まります

先に麺だけを取り出して皿の中央が山型に高くなるようにねじりながら盛り付け、その次にソースと具材を上からかけるように盛り付ければ見た目が美しく仕上がります。

具材は一箇所に偏らないよう微調整し、刻んだパセリドライパセリでもOK)の他、イタリアンパセリセルフィーユバジルなどのグリーンハーブ類を添えることで彩りが格段に華やかになります。

また、パスタの盛り付けにこだわるのであれば必然的にのチョイスも重要となってきます。

パスタを盛り付ける器は平らなものよりは中央が少し凹んだタイプのものを選んだほうがソースの裾が広がらず中央を山高に盛り付けやすいというメリットがあります。

定番の真っ白な皿なら周囲の汚れ(はねたソースなど)を丁寧に拭き取り、あえて余白を多く残すことで高級感が漂いますし、色や柄のある皿でも上手に扱うことでカフェレストランのようなお洒落さを演出できます。

器と料理の相性を見極めるには少なからず美的センスも必要となりますので様々な美しい料理写真を参考にしつつ、得意なパスタに合わせた勝負皿を数枚用意しておくと役立つでしょう。

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⑧ オリーブオイルを使いこなす

お皿にパスタを盛り付けた後、オイル系、トマト系、クリーム系、和風系などソースや味付けの種類を問わず大半のパスタに最後の仕上げとして小さじ1~2杯(5~10ml)程度の上質なエキストラバージンオリーブオイルを回しかけることで上品な風味とまろやかなコクが加わり、美味しさが倍増します。

ただ、このエキストラバージンオリーブオイルをイタリアンだからといって、パスタを作る工程の最初から何でもかんでも具材を炒めるのに使う方がたまにいますが、これは僕的にはNGです。

なぜならば、せっかくの上質なオリーブオイルであっても火を通すことで独特の風味が飛んでしまい、単なる胃に重いだけの油に変わってしまうからです。

どうせ香りが消えてしまうのであれば工程のほとんどはサラダ油を使って調理し、最後の仕上げだけに上質なオリーブオイルを回しかけることでソースは軽やかヘルシーかつ経済的高級なオリーブオイルは最少量で最大限に香りを引き立たせることが可能となります。

唯一の例外ナスを扱うとき。

ナス油を香りごと吸収しますのでオリーブオイルで先に炒めておくと食べた時にオリーブの香りがフワッと口の中いっぱいに広がります。これは何にも代えがたい美味しさなので否定しません

イタリアではエキストラバージンオリーブオイルよりも安価なピュアオリーブオイルと呼ばれる油が出回っており、ほとんどの調理や揚げ物などはこれを使って行われています。

もちろん、日本でもこのピュアオリーブオイルを入手することは可能ですが、それこそ日本の誇るクセのないヘルシーなサラダ油ピュアオリーブオイルよりもはるかに上質だと感じる上、どこでも安価で買えるとあって僕はサラダ油での代用をおすすめしているわけです。

オリーブオイルは一回しかけるだけで料理の味を変えてしまうほどの絶大な力をもった魔法の油ですが使い方を謝ると逆効果を引き起こしてしまう諸刃の剣だともいえます。

正しい使い方を心得て、その魅力を最大限に引き出しましょう

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⑨ 要点まとめ

[うまいパスタを作る8つの秘訣]
・ ブランドにこだわる。
・ 太さと形状にこだわる。
・ 塩分濃度2%で静かに茹でる。
・ 表示より1分短く茹であげる。
・ 全ての下準備をしてから作る。
・ 絡めるだけで炒めない。
・ 盛り付けにこだわる。
・ オリーブオイルを使いこなす。

※内容にご意見ご質問等ございましたらお気軽にコメントくださいませ。

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