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magic I know❤️

秋というのは複雑な季節である。
松茸や芋類、柿が旬で美味しく感じ、
暑くなく、寒くもなく非常に過ごしやすい季節だ。
だがそれも束の間、すぐに紅葉が落ち時雨と同時に冬が訪れる。

「時雨」は初冬とされるが、調べてみると漢語で通り雨のこととされていた。ならば夏にも使えるのではと思い使うと、案の定季節を大事にする方から苦言を頂いた。

それはそうと先日、シーズン中にも関わらずフットボールファンに衝撃が走り、是非が問われたニュースがある。

5ヶ月前、CL決勝へ導きクラブに名を残した彼が解任という形でトッテナムを去ることになると誰が予想しただろう。

スパーズファンにはもちろん悲しいニュースであり簡単に受け入れれることではなくポチェッティーノと歩んできた5年半を走馬灯のように思い出しただろう。

14/15シーズン

ポチェッティーノの就任

14/15シーズンにサウサンプトンからやってきた彼はお世辞にも歓迎された監督とは言えなかっただろう。
当時、スパーズの第一候補の監督はワールドカップでオランダを率いてスペインなどを倒しベスト4を果たしたファン・ハールだった。

しかしユナイテッドの横槍。他に候補が上がっていたデブールもメディアに来年もオランダにいる宣言され「しかたなく来た監督」という位置付けだった。

なぜなら若い監督で前期失敗していたが故だ。
AVB、シャーウッドと若い監督での失敗は心に大きく傷を負っていた。
そして同じイングランド内で中堅チームの監督を招聘して失敗したユナイテッドというクラブもあった。
少し引目でみたそのシーズン。
結果だけ見ると、アーセナルに勝ち越し。スパーズを応援して初めてチェルシーに勝つ。
キャピタルワンカップ決勝という今思えば岐路ともいえるシーズンだったのだろう。

15/16シーズン

CL決定と優勝争い

このシーズンは世界中のフットボールファンの記憶に残る5001倍のオッズを跳ね除けレスターがプレミアリーグを制覇したシーズンだ。
そして記憶に残らないがスパーズがヒール役として優勝争いを盛り上げていた。
結果だけでなく中身としても晩年EL止まりなチームが勝てるチームになれたのは紛れもなくポチェッティーノの功績だろう。
ソルダード、カブール、キリケシュを放出したシーズンで言ったら悪いがいかに迷走していたチームかがわかり、どれだけこのシーズンだけでも方向性が固まったかがわかる。

ウィンクスの飛躍


One of our own.
ポチェッティーノが抜擢したユース選手の1人であり、ウィンクスが初ゴールをした試合で我が子のゴールのように喜んだのは有名な話だ。
そしてウィンクスがトップチームとしてプレーする機会を与え、デビューさせたのはポチェッティーノであるということは双方にとっても、ファンにとっても非常に記憶に残るシーズンであっただろう。

16/17シーズン

チャンピオンズリーグ参戦

モナコ、レバークーゼン、CSKAモスクワという比較的に楽なグループに入ったと始まる前は思っていたがムバッペやベルナルドシウバ、ファビーニョなど率いるモナコや毎年CLに出ていたレバークーゼンという付加価値を加えと大半の選手、ポチェッティーノが初のCLだったあの頃からすれば十分死の組だったのだろう。CLで予選敗退を屈してしまった。

しかし可変的なシステムで前からプレスに行き、攻撃時は両サイドバックが高い位置を取りボランチのダイアーがセンターバックに入りリスクを取る。
デンベレ、エリクセンの中盤でのゲームコントロール。デレアリ、ソン、ケインでリーグだけでシーズン50ゴール近く獲得。
今思えばこのシーズンが1番ポチェッティーノ体制で強かったのではないかと感じる。
結果としても2位、FA杯もベスト4進出とタイトルにも確実に近くなっており、ポチェッティーノとスパーズの未来は明るいと信じてやまなかった。

17/18シーズン

8年ぶりのCL決勝ラウンド

グアルディオラ、モウリーニョ、クロップが2年目のシーズンでありスパーズは3位という結果でリーグを終了した。そしてCLでは逆転負けという形でユベントスに敗退した。

勝てない理由をその時様々な方向から探したのを今でも覚えている。ディバラ、イグアイン、ロナウドやメッシのような試合を決めれるスーパースターが必要なのか。
アロンソやイニエスタのような中盤で落ち着きを持つスーパースターが必要なのか。
ボヌッチ、チアゴシウバみたいな世界1と言われるセンターバックが必要なのか。

だが答えは毎度同じく、その経験をした選手がいつか上記のような選手になることを期待してまたスパーズを応援し続けるという答えに行き着いた。

それはポチェッティーノに関してもそうだ。
グアルディオラやモウリーニョみたく長い目で見ていつかスパーズで世界1の監督と肩を並べて欲しいと。

18/19シーズン

CL決勝

まだ記憶に新しく、つい何ヶ月前のシーズンの話だ。
結果としてリーグ戦では得点数がポチェッティーノ体制で1年目の次に少なく、失点数は1番多かった。
アーセナルとユナイテッドが低迷してなければ間違いなくCL圏外だっただろう。

試合内容としてもワールドクラスの選手がシソコのみということが多く、普通に考えれば限界がきていたのかも知れない。

だがCLで歴史的な快挙があった。

ジョレンテのゴールで追いつき、VARでアグエロのゴールが取り消されシティを下し準決勝進出。
モウラのハットトリックで逆転しアムステルダムの地で決勝に進出した。
そしてマドリーでリバプールの前に敗北。
全てがセンセーショナルでエモーショナルだったあの熱さの一瞬一瞬を死ぬまで忘れることはないだろう。 

解任

振り返ると、EL常連で良い選手を軒並みビッククラブに引き抜かれては若手を育てる。
そんな中堅なクラブを勝ちを求められる。それを求めて選手が入るようなクラブにしたのは間違いなくポチェッティーノの功績だろう。

ポチェッティーノが来る前に、ポルトガルのユースにいたダイアーがリーグ最小失点の3バックの一角になる。
ミルウォールなどでローンを繰り返していた選手が国を代表するキャプテンでありメッシ、ロナウドと肩を並べるストライカー。
ウォーカーとローズがプレミアを代表するサイドバック。
MKドンズのユース選手が最優秀若手選手になり1億ポンドの価値が付く。など想像できただろうか。

Mauricio Pochettino, He's magic you know.

これは試合後や試合中にファンが良く歌っていたチャントであるがこれはマジックとかチンケな言葉では片付けられないレベルだろう。
あのスパーズがこのレベルになるなんて狂っている。

ポチェッティーノがトッテナムの未来だとスパーズファンは誰もが信じ疑わなかっただろう。
彼と別れを告げる日が来たことを頭を整理しても、どこかにまだ受け入れられない自分がいることも否定できない。
そして、シーズン途中にも関わらず解任された事実で悲しくなる。
しかしこれまでスパーズを応援していて悲しいシーズンもあればそれが明るい未来に繋がっていたのも事実だ。
恐らくこれがどの季節だったとしても「時雨」として暗い道を抜けた、まだ見ぬ明るい未来のためにまた応援し続けるのだろう。

#スパーズ #トッテナム #ポチェッティーノ #サッカー #欧州サッカー






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