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マネタリーベースとマネーストックについて マネーは〇〇で増えます

ニュースには出てきてもまだまだ浸透してない概念だと思いますので、まとめてみました。

マネタリーベースとは

中央銀行が発行した現金+預金通貨のことです。
日銀のHPには
【マネタリーベースとは、「日本銀行が供給する通貨」のことです。
具体的には、市中に出回っているお金である流通現金(「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」)と「日銀当座預金」の合計値です。

マネタリーベース=「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」+「日銀当座預金」】

と記載されています。
(参考:日銀のHP

簡単に言うと、マネタリーベースは「中央銀行が供給する通貨」となります。
そしてそれは日銀にとっては負債です。
(といっても、それは無利息、償還期限なしなので、ほぼ無利子負債になりますが)
では簿記上で、B/S上で反対側に来る資産は何かというと今の時代は主に政府債務=国債です。
日銀のB/Sを見るとその他に色々ありますが、国債が460兆以上あって大部分を占めてるのがわかりますね。(2018/上半期現在

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アメリカのFRBも主に財務省証券=米国債とモーゲージ証券が担保になっています。

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繰り返しますがまず円やドルが何を担保に発行されてるかというと主に政府債務になります。
現代のマネーはベースマネー、根幹のところから「債務性通貨」になってますね。
金本位制のころは主な担保はゴールドだったので「債務性」ではなかったのですが。

現在行われている金融緩和では、
民間銀行が所有する国債を中央銀行が買い取り
→その銀行が日銀内に持つ当座預金に資金を供給する

という事が行われています。

マネーストックとは

このマネタリーベース供給はまだ中央銀行と民間銀行のハナシ、
まだ「上流」の部分であってこれだけでは市中に出回りません。
市中に出回るのは個人や法人が民間銀行から融資を受けた時、
いわゆる「借金した時」です。


そうですよね、銀行がお金配って歩くわけにもいきませんから。
そうして民間銀行のB/Sには「貸付金」という債権資産が生まれ、
同銀行内に顧客の口座を作りそこに入金することによって同額の預金も増えます。

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簡単に言って銀行のB/S上にこういう仕訳が発生することになります。
ここで民間銀行が特殊なのは、この時点でバランスシートが拡大することです。
増えた預金の数%程を日銀当座預金内に準備として置いておかないといけませんが、
これを銀行内で、銀行同士で繰り返していくと、マネーは増えていきます。
これが「信用創造」の仕組みであって、
その総量が「マネーストック」です。

信用創造の仕組み参考動画(良い番組ばかりのCGSさんより)

マネーストックはM2やM3として表され、
定義としてはこうなります
M2=現金通貨+国内銀行等に預けられた預金
M3=M1+準通貨+CD(譲渡性預金)=現金通貨+全預金取扱機関に預けられた預金

シンプルに言うと
「誰かの銀行からの借金」の総量です。
(その誰かというのは公的機関や政府も含みます)
この辺りの感覚が世の中に余り浸透してないように感じます。

為替ニュースとかでM2=+2%とか発表された場合は、誰かの債務が総量として2%増えたってことですね。

資本主義社会のお金は誰かの債務によって増える。
銀行に返済すると、帳簿処理されてお金は消える。

(ちなみに硬貨は政府発行なので別です)

お金が債務として発行されているという事は、発行されるすべてに金利がかかっている。
ということは増え続けないと返せない人が出てきて破綻が連鎖する。
そういう理由もありマネーストックは増え続けています。

そしてマネーストックが増えるとお金が増えるんですから、
それがモノの供給量以上だとインフレ率も上がりますし、単純にGDPも上がることになります。
こういう式もありますね。

MV=PT=名目GDP

M : 貨幣量
V : 貨幣の取引流通速度
P : 物価
T : 1期間における財・サービスの取引量

日銀が行ってる金融緩和の目的もこれにありますし、
一応日本もマネーストックは増えてます、、が、貨幣乗数がその分減ってるのかGDPやインフレ率は上がりませんね。

↓マネーストックは増えてはいます。

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ただ銀行融資も政府中心で民間への貸出はまだ不活発ですし(国債運用の意味で)
貨幣の取引流通速度が減っているのかと。
ということは消費が不活発。
何が消費を減らしているか?

消費税などの増税の影響も大きいでしょうね。
あとやはり皆さん豊かになってますので、
「投資先/消費先がない」
というところもあると思います
「消費の関所/障害」が取り除かれると共に、
新しい需要が掘り起こされないと
経済成長はなかなか難しいのかなと考えます。


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