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元 アパレル小売店長が感じた事。

ども、TONOです。

さて、先日の日記でチラッと書いた件です。
久しぶりに、ショッピングモールをじっくり歩いてみて、感じたことを書きます。

2019年の消費増税や暖冬に加え、2020年から続く新型コロナウイルス感染拡大がアパレル関連業界に暗い影を落としている。2021年1-5月の繊維工業、繊維製品卸・小売業(以下、アパレル関連)の倒産は132件(前年同期比35.6%減)と低水準にとどまっている。政府のコロナ関連支援の資金繰り緩和効果が下支えしているが、同期間に倒産した132件のうち、コロナ関連倒産は46件(構成比34.8%)を占め、長引くコロナ禍でアパレル関連の疲弊感は強まっている

上記のような、ニュースを見ました。
前年同期比では、35.6%減と倒産件数は減っていますが、おそらく店舗数はかなり減っているでしょう。あのユニクロでさえ、2015年から2020年で国内の店舗数は40店舗ほど減っているとのことです。

しかし、ユニクロは堅調です。その他のアパレルは軒並み苦戦しています。
一時期、御三家と呼ばれたUAですら、下記のように都心の店を閉めていくようです。

つまり、今は、名の通ったブランドや店舗でも苦戦しており、再編や再構築に必死なんだということなんでしょう。

そこで、先日のショッピングモールの話しです。

しばらくアパレルや小売から離れていたので、かなり新鮮味を持ってウィンドーショッピングできました。が、感じたのは、「どの店も同じ。」でした。S/Sシーズンなので、アイテムのバリエーションは少ないのですが、それにしても、各SHOPの違いを感じにくかったです。これは、男性女性のブランド関係なくです。それぞれのお店の「匂い」というか、「特徴」をVPなどからも感じ取ることが出来ませんでした。

(しばらく離れていて感度が鈍っている可能性もありますが・・・orz )

そこで、思い出したのが、アパレル時代によく言われていた「差別化」です

差別化=競合他社に対して自社のポジションを確立するために意味のある違いを打ち出す活動のことをいう。

他のブランドとの違いを、どうにかして、お客様に伝わるように打ち出す。
店頭のマネキンを、POPを、店員の接客を、自ブランドを選んでいただけるように、ブラッシュアップさせていく・・・やってました。今もやっているでしょう。

でも、もはや商品では”意味のある違い”を打ち出せ無くなっているのではないか?というのが、自分が在籍していたときに感じたことでした。

ということは、サービス面での”意味のある違い”を打ち出すほかないのではないか?

では、サービスとは?

接客
価格
品質
特典

などでしょうか?

接客や接遇に関しては、実はそうそうGOODな店舗は作れません。
「接客=売上をあげる」がゴールになっている状況ですし、
入店時には、大きな声で、元気よく「いらっしゃいませっ!」って言えばいいと思っているとか(言わないよりは全然良いですが・・・)、
商品に触れたら、ファースロアプローチに行くとか、
そういうのは果たして今のお客様は求めているのでしょうか?
それなのに、目線も合わせずに挨拶するスタッフとか、後ろ向きながら声出しているスタッフとか見かけると、
「あー、作業で挨拶してるんだなぁ。言わないと怒られたりすんだろうなぁ」と穿った見方をしてしまうのです。

では、価格はいかがでしょう?
モールに寄った日も、各SHOPはセールをやっていました。時期的にそうなんですが・・・。ですが、セールで20%〜50%オフだとか、まとめて買うと〇〇%オフとかは、なんだか定価の信用度をどんどん無くしていくんですよね・・・。

「じゃ、普段の価格はいったいなんなんだ????」ってなりますよね?

そうすると、定価の時期に売れない⇨在庫を抱える⇨捌くためにセールやる⇨定価の信頼また失くす⇨最初に戻る・・・っていう、ループに突入です。

では、素材などの品質はどうでしょう??

「他のブランドより、良い素材を使っていますが、お安いです」とか、
「某有名ブランドと同じ素材、同じ工場、同じラインで作っています」とか、ですね。
興味あります、このコメント??


「最高級クラスのコットンをふんだんに使い〜」とか、
「希少な素材を惜しみなく使い〜」とか、
心揺さぶられます?

「今年のトレンドなんですよ」とか、
「流行りのカラーなんですよ」とか、
・・・「で、何??」ってなりませんか??

そうなんです。品質のことなんて、洗濯機で洗えるかどうかとか、乾燥機は使えるのか程度の情報が必要で、テキスタイルレベルの話は、あまりどーでも良いのだと思います。素材についても同じで、肌触りが良いのか?長持ちするのか?程度で良いのです。。。おそらく。

では、特典はどうでしょう?

会員限定のポイントとか、セールとかはあります。ですが、会員登録すると、毎日のようにDMが送られてくるんです。鬱陶しくないですか?望んでない情報が勝手にやってくるんです。そして、大体のDMが長いし、読みにくい。。。

そして、これらの現状を、その惨状を目の当たりにして、言われるのです。

『他ブランドとの差別化だっ!!!それが足りんっ!!!』
『販売力が足りんっ!!!現場がなっとらんっ!!!』
と・・・現場からすると、「アホか、お前・・・」ってなるのです。

そこで、本部と現場に温度差が出来るので、現場の生の声が本部に伝わらないのです。すると、意思決定の場所に、現場の声が届かないので、チグハグなことが起きてしまい、結果的に苦戦が続くということになり、現場は疲弊する一方なんです。
(そして、私はアパレル小売から離れることになるんです・・・)

では、ユニクロが堅調な理由は??(独自な勝手な視点ですので、悪しからず)

「新素材や機能性を付加したベーシックアイテムを、規模の力で大ロット発注することでコストを抑え、値頃感のある価格で売っている」からです。また、「ブランドとしての安心感」もあります。
もちろん、トレンドを無視しているわけではないのですが、店舗に行くとよくわかります。ほんとにベーシックです。そして、機能性の付加されたITEMが多い。
また、その機能性の説明も、使用時に顧客が感じることを中心に書かれており、想像しやすい。などなど。

下記のTEDのようなことを実践しているんだろうなぁと感じるのです。
whyから始めよう。ゴールデンサークルって話です。
(TEDで僕が大好きな回です。2009年のですが、オススメです。)

まだまだ、淘汰されていくのでしょう。
BtoCのみならず、メルカリなどでのCtoCも盛んになりました。また、自己表現の場がSNSでたくさん出来たことにより、自身の所属を示すためのファッションも必要なくなりました。サブスクもあります。レンタルもあります。売ることが非常にしんどい時代なのだと思います。

ですが、がんばれ、頑張ってくれっと思うのです。自分はアパレル小売に育ててもらったと感じています。特に店舗で頑張っている販売員の方たちが、もっと楽しく働けるようになれば良いのにと思っているのです。

また、店舗での買い物がしにくくなってしまったという側面もあります。
ネットで購入することが増えると、自分の見たいものをある程度絞り込んで見れます(色や形、素材などで絞り込めるので)
でも、店舗だと歩いて、動いて探さないといけないのですが、見つけにくい。その上、獲物を狙うかのような店員の視線とプレッシャーを感じながらだと、居心地悪しなので、商品を触らずに済ます人も多いのかと思います。

そんな中、以前から自分が思う一つの正解は、アメリカのEVERLANEという、ブランドではないかと思っています。2010年頃にできたブランドで、原価など含め多くの情報を公開しているアパレル企業です。

日本にもこういうブランドできないかなぁ。。。
もしくは、日本にEVERLANE来ないかなぁ。。。

もしくは、完全に自分好みのものが一からオーダーできるショップです。
スーツも、シャツも、Tシャツも、デニムも、カバンも、それが1STOPで出来たら良いのになあと思っています。

以上、元アパレル小売店長が見た、現在のアパレルと、エールでした。

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