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はじめての富士山

皆さんには生きているうちにやっておきたい事はありますでしょうか?

私は登山を始めた数年前くらいから「いつか富士山にも登ってみたいな〜」と漠然と思っていましたが、去年の夏ついにその想いを果たすべく、はじめての富士山登頂に挑戦することにしました。

そこでまず考えたのが
・どうせ行くなら御来光(日の出)が見たい…
・自分のペースで登りたいから混んでない時期、登山ルートで…

富士山は主に4つの登山ルートがありまして
・吉田ルート→ 初心者向けのルートなので登山者が多い。(混むのは嫌なので✖️)
・富士宮ルート→ 距離が短い。(歯応えがなさそうなので✖️)
・須走ルート→ 八号目から吉田ルートと合流するので渋滞が…✖️
・御殿場ルート→ 距離は長いが人が少ない。(これや!)

と、ネットサーフィン(←死語)して調べた結果、御殿場ルートに決定!
ちなみに御殿場ルートは、往復距離17.5km、標高差2300mと登山ルートで一番キツイやつなのでありますが
「登山初心者でもないし運動(リングフィットアドベンチャーとか)もしてるし大丈やろ!」
という軽いノリで決めてしまいました。

皆さんは自分に合った登山計画を立てて下さい。(自己責任)

そして日の出を見るなら山小屋に泊まらねばならない訳で、Let's予約テレフォン!
私「すみません○日に泊まりたいんですけど」
宿「15:00までに到着できます?」
私「えーっと、富士山は初めてで御殿場ルートで朝の8時くらいから登るんですけど」
宿「んー、じゃあ大丈夫かな」

と、無事に予約完了!したのだけれども

「え?15時までに着かなアカンのか??」という謎のタイムリミットが出来てしまったのである。

時間制限という一抹の不安を抱えたまま、8月下旬の朝。

御殿場駅 富士山口

出発はここ御殿場駅から。

バス乗り場の周りには早くもそれっぽい格好をした猛者たちが…

登山シーズン中は新五合目までのバスが運行してます。
御殿場駅からは御殿場口行きと須走口行きの2路線あるので間違って乗らないように注意。

バスのチケットは乗り場近くの券売機で買えます。往復チケットだと少しだけお安くなりますよ奥さん!
あと、普通にバスの乗車口のところでICカードでピッとタッチするやつでも大丈夫みたいです。(要確認)

バスに乗客は大学生くらいの男の子からお年寄りまでと幅広く、そんな我々を乗せて走ること30分ほどで到着!

山と渓谷オンライン様より拝借

多分、ほとんどの人が富士山五合目のイメージって上の画像と思うんですけれども御殿場口五合目は…

ただの広場でした。

ベンチと自動販売機と案内所(机を置いてあるだけ)があるだけで…(画像なし)
ちょっと離れたところにトイレはありますのでご安心を。

さてバスを降り案内所で入山料の1千円を払い(登山ルートとか整備するのにもお金必要だからな!)記念のお札みたいのを貰い

おもて
日付が入れられます

受付のお姉さんから

お姉さん「富士山は初めてですか?じゃあ、ここのルート間違いやすいんで気をつけて下さいね」
と優しく丁寧な説明を受け(素敵なお姉さんでした)

THE御殿場口

いざ出発。

はじめての富士山という高揚感と共にテクテク歩くこと10分ほどで第1チェックポイントの大石茶屋さんに到着。

大石茶屋さん

ここを過ぎると七合目まで何ないので貴重なセーブポイントなので、水の補給や御手洗などなどお忘れなく。

登山道と下山道

序盤戦は緩やかな傾斜なので意外とスイスイ進めます。
私はせっかちなので他の登山者をごぼう抜きして行きます。

これが後の悲劇を生むとは、この時の私は知る由もなく…

登山者も少なく軽快に歩みを進めます。このルートを選択して大正解。

良くも悪くもない天気

中高年からご年配の登山者が多い中、明らかに異彩を放つ金髪ロン毛で細身のいかにも売れっ子ホスト風の男性が。ただ出で立ちから登山上級者なのは明白。
私は勝手にローランド先輩(パイセン)と名付けたのであった。

そんなローランド先輩をも華麗に追い抜き、

次郎坊さん

次郎坊に到着。

ここが登山口の受付の(素敵な)お姉さんが注意喚起していたポイント。
登山道と下山道が交わっているので道間違いに注意だ!

2000メートル
いつも間にか雲の中

ここを過ぎたあたりから傾斜がキツくなってきます。そして砂道…
一歩進んでも砂に足を取られてズズずっと下がります。3步進んで2歩下がる。全然進まない…
これは体力的にも精神的にも辛い。

そんな砂の坂道に苦難していると、後ろからさっき追い抜いたはずのローランド先輩が物凄い速さで登ってくるではないか!

軽く挨拶をし情報を引き出す私。
どうやら体を横にしてカニ歩きの要領で進むと良いらしい。

貴重なアドバイスを私に授け、ローランド先輩は颯爽と去っていったのである。

そして砂に足を取られながら新六合目に到着。


パンパンやで

登山開始から2時間ほど
ここいらでちょっと休憩&カロリー補給。

で、当たり前の事なんですけれども寒いです。
歩いている時は全く問題ないんですけど、ちょっと休憩で足を止めたらもう大変(風が強いと更に)
皆様、持っていく衣服には細心の注意を。

休憩終了、いざ出発。

六合目
いつの間にか雲の上に

たまに歩みを止めて景色を堪能しながら、ひたすらに登ります。

頂上までは先が長い

山の上の方を見ると気が滅入るので、あまり見ないようにしましょう。

3000メートル
日の出館さん(休業中)
わらじ館さん
砂走館さん

七合目に来れば山小屋が数件あります。トイレ(有料)もあります。

砂地獄から岩祭りに

上に登るにつれて石や岩が増えて行きます。これはこれで登り辛いし落石注意!

そして七合目くらいから何だか体に異変が…
標高のせいか段々と息が苦しくなってきましたハアハア

チェックポイント

そんなこんなでハアハア言いながら、予約した山小屋に到着!
登山口から約4時間。

赤岩八合館さん

さすがに疲れたので山小屋前のベンチでぐったり休憩。

この時、まだ13時。
早く着き過ぎた。
15時までに到着という謎のタイムリミットもあったが、さすがに早過ぎて時間を持て余してしまうではないか。

行くか?頂上…

本来であれば山小屋一泊して翌早朝に頂上を目指す予定だったが今日のうちに行ってしまおうかしら。

一応、山小屋のスタッフさんに確認。

私「あ、電話で予約したものですけど…今から頂上行ったら、どれくらい時間かかりますかね?」
山小屋「大体1時間半くらいで行けますよ。」
私「15時までには帰って来た方が良いですよね?」
山小屋「?」
私「…?」

話を聞くと、消灯時間を過ぎて山小屋の門を叩く登山者が少なからずいるそうで、結構迷惑してるとの事です。
電話で予約した時の「15時まで」というのは、余裕を持って来てくださいね。という意味だった様で…エヘヘ勘違い

という事で、予定変更して頂上を目指すべく出発。

意気揚々と出発したものの、あれ?やっぱり何かおかしい。
休憩したら戻ると思っていた体力も戻らず、というか息がすぐ上がるんですよ。
大きく息をしないと酸素が全然カラダに入っていかない。苦しい。

この時は登ることに必死で気付かなかったんですけど、これはアレですアレ。

高山病でした(多分)

事前に色々調べていたつもりだったんですけどね。今思えば、序盤に調子に乗って早いペースで登り過ぎたのが敗因ですハイすみませんでした。舐めてました高山病。
もっとゆっくり登って体に気圧を慣れさせておくべきでした。

ちょいちょい休憩を挟み、ヨロヨロになりながらもかなりのペースダウンで登ります。
途中、小学生の男の子にも追い抜かれ…

岩だらけ

岩を避けて足の踏み場を探しながら登るのって結構大変なんですよね。
体力と精神をすり減らしながら登りますが、なかなか頂上が見えてこない。

辛い…

だが、これが登山なのである。

と、それっぽい事を考えてたら

それっぽい鳥居

頂上だ!

残りの力を振り絞り
ゴール!

いやこれでゴールという訳ではないのですが、何とか無事に頂上に到着。

しかしやはり頂上に着いたからには、日本で一番高い場所に行かなくてはと限界を迎えた気力体力を振り絞り、とある場所を目指します。

今この瞬間に噴火したらどうしようと、思案しながら火口を横目に…

火口
最後の難関

あそこを目指します。そう、日本最高峰の剣ヶ峰!

ラスボス坂

見てお分かり頂けるかは分かりませんが、かなりの急勾配で地面は砂で滑りやすい。おまけにコチラは酸欠気味で残りの体力はあとわずか…

これはキツイぜ。

実際に左側の柵みたいなやつにしがみ付きながら、やっとこさ登りました。

そして

3776メートル

やったぜ姉さん!剣ヶ峰登頂!

ただこの時は達成感よりも疲労感の方が遥かに上回っており、早く山小屋に戻って休みたいハアハアの一心でした。

さて、登りが急勾配という事は降りも急勾配なんですよ当たり前ですけれども

先程の剣ヶ峰への最後の坂、下りも大変危険です。
実際、見事にバランス崩して転んでしまいました(危ない)

そんなこんなで山小屋を目指し下ります。

疲れがピークを超えていてあまり良い思い出のない富士山山頂でしたが、
雄大な景色は本当に心を奪われるものでした。

絶景

私的には登山って上りより下りの方が大変なんです、
下りって足に負担がかかるし、岩場では足の置き所を気を付けないと大怪我に繋がるしで、細心の注意を払いながら下ります。

山頂から約1時間ほどで山小屋に到着。疲れた。

山小屋のスタッフさんに予約している旨を伝え料金を払い簡単な説明を受けます。
そして寝床へ

山小屋による違いはあると思いますが、私の泊まった小屋の寝床は本当にただ寝るだけの場所。(多分どこも同じ様なものかと)
寝袋が用意されていて、1人当たりのスペースは寝袋の幅と同じくらい。それが2段の襖のない押し入れみたいな所に敷き詰められている様を想像して下さい。
(ドラえもんスタイル)

寝床の準備や持ち物の整理をしているうちに夕食の時間になりまして

カレーです。(画像なし)

至ってシンプルなカレーでしたが疲れたカラダにエネルギーを欲していたので、そりゃあ美味しいですよね。
こんな山の上で暖かいご飯にありつけるだけで有難い(ありがたい)

夕食後はまったり山小屋前のベンチに座って空を眺めていました。

山小屋からの景色
幻想的

21時に消灯。

室内の照明が消され、そのうち周りからはモソモソする音やイビキが聞こえ始めましたが

寝れない。

疲れているはずなのに全然寝れない。(辛い)

そして左側の人が徐々に私の寝床スペースに侵略してくるではないか。
抵抗するのもアレだな思い、運よく空いていた右側の無人スペースに少し避難。

寝れないので「私、ちょっと夜風に当たってきます…」作戦

綺麗なお月様が見れました。

月と街の光

そして寝床へ戻りモソモソしているうちに眠りにつき朝になったのであった。

ちなみに、山小屋に泊まって山頂で日の出を見られる方は午前3時くらいに起きて出発するそうです。
私は初日に山頂まで行ったので、日の出の時間まで寝させて頂きました。
(もう一回、山頂に登る気力は勿論ない!)

当初の予定とは変わりましたが、八合目から日の出を拝むことに

うっすらと
空も明るくなって来まして
く、来るか
パノラマ
ぴっかリーン

出たーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!

周りからも歓声が

いやあ有難い、そして神々しい。

とても美しい風景。想像以上でした!

ちなみに、うっすら空が明るくなってからお日様が飛び出てくるまで40分くらいかかりました。
夏とはいえ標高が高いと、かなり寒いので防寒具必須。

美しい雲海

さてさて見るべきものも見たので、あとは帰るだけ

山小屋で出された朝食(ハムエッグ定食みたいなやつだったけど画像なし)を召し上がり、荷物の整理をして出発。

私は下山時に足に負担がかかって怪我しやすいので、ストックを必ず使用します。足場が悪くてもバランスがとりやすいのです。

朝日と雲海
絶景しかない

この日は本当に天気に恵まれて、素晴らしい景色を拝みながら下山できました。

良かったです!


大砂走り入口

御殿場ルートの下山時の醍醐味と言えば、ご存知(?)大砂走りであります。


大砂走りとは…

御殿場口下山道の七合目から太郎坊までは厚い火山灰地で「砂走り」と呼ばれています。この火山灰は、1707年の宝永山の噴火により、多量の火山灰が積もったものです。約7kmにおよぶ火山灰地は、歩くたびに足首まで沈みこみ、まるで抵抗を感じさせず、一歩で3m余りも、おもしろいように早く下ることができます。

御殿場市のHP参照
まるでクッションの様な
岩障害あり

下り始めると、これは思ってた以上に

楽しい!

思わず「うっひょーーーーい!!!」と声が出てしまいますのです。

流石に一歩で3mとはいきませんが、まるで月面を歩いているかの様に(行ったことないけれどもだ)ぴょんピョーンと飛び跳ねて走れます。

調子に乗って飛び跳ねながら下山してましたが

…疲れる。

当たり前ですけど疲れます。クッションの様な地面と重力というサポートがあるにせよだ。

注意点としては、岩が散乱してるので着地点に気をつけないと怪我します。
あとゲイター(靴と足首あたりをカバーするやつ)がないと靴の中に砂がいっぱい入って大変なことになるので要装着ですぞ。

大砂走りに飽き…しっかり堪能して、あとは雄大な景色を堪能しながら下山していきます。
途中、下山道と並行している登山道側にはこれから山頂を目指す人々が(頑張れー!)

向こうに見えるが登山道
まだまだ雲の上
下から見た山頂の方

最後の方は、まっすぐな砂道を下ります。

ずっとこんな感じ

聞こえるのは砂道を歩く自分の足音と風の音だけ

大自然って良いな。

と思いながらも、ここまでの登山&下山で体力的にも辛くなって来ました。
そして単調な一本道で精神的にも…

しかし、そんななか

あと何メートル?

お、大石茶屋さんまであと少し!

ゴールは近い。

大石茶屋さんを通り抜けて

そして遂に…

帰って来た

ゴール!!!

山小屋を出発して1時間半くらいで御殿場口に帰還しました。

途中、高山病疑いとかもありましたが無事に下山出来て良かったですありがとうございます。

今回、幸運にも天気に恵まれて素敵な富士山登頂となりました。実際に行ってみなければ感じられない体験ってやっぱりあるんだな、とつくづく感じました。

機会があれば、今度はもっとスマートな登山をしたいです。

というか、多分また行きます。

以上、はじめての富士山でした。


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